【相棒13】最終回 カイトはダークナイトだった/たしかに“衝撃の結末” 『相棒』はどうなるのか?
相棒シリーズ3代目相棒・甲斐享(カイト)役の成宮寛貴さんの卒業回、
『相棒season13』最終回2時間スペシャル第19話「ダークナイト」の放送が終わりました。
カイトはこの2年間で起こった5件の連続暴行事件の犯人“ダークナイト”だった。
たしかに、衝撃的なラストでした。
ネット上でも賛否両論・・・、いや、さすがに今回は否定的意見が多いようです。
関連My Blog:甲斐享卒業 最終回「ダークナイト」がこれだけ非難される理由を検証する
今回の放送にあたっては、番組の公式サイトやブログで、とにかく「衝撃の結末」が喧伝されていました。
前人気を盛り上げる為の誇大宣伝ではとの見方もありましたが、
私は前にも書きましたが、スタッフすら引いてしまうほどのとんでもない幕切れだから、
批判の集中砲火を懸念して、予防線を張っているようにも感じていました。
やはり、そういう面もあったのではないでしょうか。
さて、前にも書いた通り、予告編やメイキング映像を見ると、明らかにカイト=ダークナイトなのですが、
それはミスリードを誘ってるのであって、さすがにないのでは、とも思っていました。
しかし、しっかりやってくれましたね。
しかも、いきなり冒頭からカイトがダークナイトでした。
ただ、これもミスリードの可能性もありかとも思いましたが、そのままでした。
特命係在任中に犯罪者に
2代目相棒の神戸尊(及川光博)も偽証という過去が暴かれたことがありました。
しかしこれは、特命係に着任するはるか以前のことです。
カイトの登場は2012年10月の放送からなので2年半前ですが、設定上はもう少し前かもしれません
(劇中では特命に来て「3年」といわれてます)
ダークナイトとされる最初の犯行が2013年の8月。
その少し前に、通り魔に殺された友人の妹の敵討ちとして最初の暴行事件を起こしていますが、
その妹の三回忌が行われていましたので、妹の死は約2年前。2013年の春頃でしょう。
つまり、カイトがダークサイドに落ちていったのは特命係在任中なのです。
しかも、カイトは初代相棒の亀山薫(寺脇康文)や2代目の神戸、
あるいは、それ以前にやめていった名もなき特命係員達と違い、杉下右京(水谷豊)によるスカウトで特命係に来ました。
そのカイトが在任中に犯罪者に堕ちていったとは。
ネットではこの3年間(3シーズン)はなんだったのか、全否定するようなものではないか?
そんな不満も上がっています。
今回、たまたま起こしてしまったのではなく、右京と共に様々な事件を捜査してきたこの2年間、
継続的に罪を犯していたというのですから、当然の不満でしょう。
細かい指摘をすると、特命在任中のカイトの友人の妹が通り魔に殺され、その犯人が暴行を受け重傷、
という事件が起こっているのに、右京が何も思わなかったというのも不思議ですが。
伏線なき結末
多く指摘されているのが、これだけ衝撃的なラストが用意されているのに、
今までの回で、なんの伏線も張られていなかったことです。
(こじつければなくもないでしょうが、無理があると思います。)
ダークナイトに襲われたのは暴力団員か、それに準ずる連中ばかりでしたが、
カイトは今までの回で、こういった連中とあまり絡んでないし、どう思っていたかもよくわかりません。
伏線なくこの展開だったからこそ、より衝撃的であったともいえますが。
少し前、第16話でカイトの恋人の笛吹悦子(真飛聖)の妊娠と病気発覚がありましたが、
これは必要だったのでしょうか?
闘病しつつ、できれば子どもも産みたいというところでしょうが、夫となる人間が重罪で逮捕とは。
やりきれなさ、絶望感が増すばかりです。
そもそも、この最終話のストーリー展開、そして結末はいつ頃決まったのか?
気になるところです。
正直な感想をいえば、直前に決まったストーリーで、伏線など張りようもなく、唐突な印象になってしまった。
そんな風にも思えます。
犯行の動機・理由
カイトの最初の暴行事件の動機は、妹を殺された友人に代わっての敵討ちであり、
友人を殺人犯にしないためでした。
取り調べにあたった大河内監察官(神保悟志)も言っていたように、ここまではわかります。
しかし、その後の5件については・・・、劇中でも色々言われてましたが、明瞭ではなかったですね。
カイトの行為は、いわば『必殺仕事人』みたいなことではあります。
どうもカイトは、周囲の人達に迷惑をかけたことは反省しているが、犯行そのものを悔いてはいないようにも思えます。
それならば、「法で裁けぬ悪人を成敗した」と開き直った方が、まだスッキリしたかと思いますが、
自分でもよくわからないみたいな言い方でしたね。
ネットでヒーローみたいに称賛され、舞い上がってしまったのか。
父親で警察庁次長の甲斐峯秋(石坂浩ニ)が言うように、右京へのコンプレックスなのか。
展開が無理過ぎて、納得できるような理屈付けができなかっただけのようにも思います。
最後の重罪
そして最後に、自らの身代わりとして、友人を暴行犯にしてしまいました。
そもそも、友人を犯罪者にしない為にやった行為が発端だった筈なのに。
カイト自身も暴行教唆ということになるのでしょうか。
更に自分は、模倣犯(殺人犯)の脱獄・逃亡の手引きまでてす。警察官の立場を利用して。
暴行6件に加えてのこれですから、一体どれほどの量刑になるのか?
ダークナイトとしての悪人への暴行だけなら、見様によっては一種のアンチヒーローです。
最終回で描かれた一連の行為が、姑息で嫌な印象を与えてしまっています。
特命係は、そして『相棒』はどうなる?
カイトは懲戒免職で逮捕、右京は無期限の停職となり、海外へ旅立ちました。
この後はどうなるのでしょう?
まず物語内の話ですが、
元々、いつ廃止されてもおかしくない窓際部署。
しかも、右京自身がスカウトした若い部下が在任中に重罪を犯した。
特命係は廃止が当然でしょう。
存続した上に、新しい部下が配任されるのは、考え難いです。
ただ、そこはフィクションのテレビドラマ。理屈付けはどうとでもなるかも知れません。
しかし、不条理、後味の悪さ、やりきれなさも『相棒』のテイストではありますが、
軽妙なやりとりも大きな魅力です。
今までと同様にシリーズを続けられるのか。
2015年10月に新相棒を迎えて『相棒season14』としてスタートするのでしょうか?
最終回の視聴率は20.3%。2年ぶりの20%越えとなったようです。
http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/03/19/kiji/K20150319009994220.html
この高視聴率の国民的人気ドラマをやめるとも思えませんが、どうなりますか?
諸々には目をつぶり、この回だけを見れば、成宮さんは熱演でした。
この人は、こういう役の似合う俳優なのでしょう。
Old Fashioned Club 月野景史
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