【相棒13】1月14日放送第11話「米沢守、最後の挨拶」?/鑑識の米沢(六角精児)が降板???
『相棒』シリーズ初期からのレギュラーで人気キャラクターである、
警視庁鑑識課 米沢守(よねざわ まもる )役の六角精児さんが
降板するのではないか、との噂が流れています。
放送は終わりました。感想などはこちら。
原因は、ネットに画像がアップされているこのチラシです。
埼玉県川口市にある前川北公園で、来年1月中旬放送予定の
『相棒 シーズン13』第11話のロケが11月の13日と18日に予定されており、
その近隣住民への告知のようです。
※電話番号は伏字にしました。
本物でしょうか?
捏造だとすれば、だいぶ手が込んでます。
一応、本物として話を続けます。
さて、問題はその11話のタイトルです。
「米沢守、最後の挨拶」
これでは、まるで米沢の最後の登場回のように聞こえます。
ということは、この回で六角精児さんが『相棒』を降板してしまうのでしょうか?
最後の挨拶
「最後の挨拶」とは変わった言い回しで、でも聞いたことのあるフレーズと思う人もいるでしょうが、
出典はシャーロック・ホームズシリーズです。
『最後の挨拶 (His Last Bow)』は、ホームズ物語全5本の短編集の4本目のタイトルであり、
同書のラストに収録された短編作品の題名でもあります。
原題はどちらも『His Last Bow』ですが、
日本では一般に、
短編集は『シャーロック・ホームズ 最後の挨拶』
短編作品は『最後の挨拶』と区別されます。
短編作品『最後の挨拶』は、シャーロック・ホームズが作中の時系列上で、最後に関わった事件記録です。
ただし、発表順でのシリーズ最後の作品ではありません。
また、これとは別に『最後の事件(The Final Problem)』という短編作品もあります。
このあたりはややこしいので、最後に簡単にまとめて書きますが、
ホームズについて興味があれば、当ブログの以下の記事をご覧ください。
「シャーロック・ホームズ超入門/世界一有名な名探偵」
さて、米沢守です。
以前にも書きましたが、六角精児さんは2000年6月に土曜ワイド劇場枠で放送された
『相棒』第1作に、監察医の役で出演しています。
殺人事件の現場で検死をしているので、一見米沢かと思ってしまいますが、別人です。
そして翌2001年1月放送の土曜ワイド版第2弾に鑑識課員・米沢守として登場、
以来約14年、どちらかといえば警視庁に味方の少ない特命係の理解者・協力者として、
また杉下右京(水谷豊)と同じ落語の趣味を持つ同好の士でもあり、
個性的な相棒脇役陣の中でも、捜査一課・伊丹刑事(川原和久)と並ぶ人気者として、
シリーズを支えてきました。
その人気ぶりは、2009年に米沢を主役としたスピンオフ映画
『相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿』が公開されたことでも判ります。
本当に米沢は退場してしまうのでしょうか?
相棒は他の長期シリーズ(例えば『科捜研の女』)に比べて圧倒的にレギュラーの変動が少なく、
特に警視庁内の人間については、シーズン2(2003年)までに出揃った、
特命係以外のレギュラー10人(米沢、伊丹、三浦、芹沢、角田、内村、中園、大河内、大木、小松)のうち、
シーズン11の終了(2013年3月)まで10年間、1人も降板者がいなかったのですが、
その為にレギュラーの高齢化も目立ち、遂に昨年、捜査一課三浦刑事役の大谷亮介さんが
シーズン12の第1話をもって降板しました。
ですので、もしかしたら、今後の交代もあるかも知れないと予測はしていました。
しかし、米沢は前述のように人気キャラであると同時に、
特命係が事件解決するに当たっての不可欠な協力者でもあります。
米沢の不在は、ストーリー構築上重大な障害になるだろうし、
かといって米沢の代わりに、彼に匹敵する協力者がポンと出現するのも不自然です。
私は他の誰が降板しても、米沢はないだろうと思っていました。
一方で、六角精児さんは最近、他のドラマでもそこそこ重要な役で見かけることも多くなりました。
相棒のオフシーズンだった今年の4月期は『ルーズヴェルト・ゲーム』(TBS) 、
7月期は『ゼロの真実〜監察医・松本真央〜』(テレビ朝日) と、いずれも1クールの連続ドラマにレギュラー出演、
更に4月期には地方局のドラマにもレギュラーで出ていたようで、すっかり売れっ子俳優です。
より活躍の場を広げる為に、『相棒』はそろそろ卒業、という可能性も否定できません。
もちろん、ファンとしては降板してほしくないですが、
さてどうなりますか?
「最後の挨拶」
最後に、改めてこの言葉にこだわり、ホームズ物語との関係で少し考えてみます。
ホームズシリーズの最後の短編集が『シャーロック・ホームズの事件簿』といいます。
米沢主役のスピンオフ映画が『相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿』。
「事件簿」からの繋がりで、ホームズに絡めたネーミングになったのではないでしょうか。
前述のように、発表順でいえば短編『最後の挨拶』はホームズシリーズの最後の作品ではありません。
しかし、作中の時系列でいえば、ホームズ物語の最終章です。
作者のコナン・ドイルは、『最後の挨拶』の後もホームズ作品の発表を続けますが、
それらは『最後の挨拶』よりも前に起きた事件の記録として描かれたのです。
作中世界において、『最後の挨拶』は公表されたホームズの“最後の冒険”なのです。
最近の『相棒』は、予告で誰かの降板を匂わせたり、逆に新レギュラーの加入を予想させて、
肩すかしを食らわすようなことがあります。
しかし、「最後の挨拶」はミステリー作品にとって重いフレーズです。
もし本当に、第11話が「米沢守 最後の挨拶」というサブタイトルで放映されるなら、
さすがにそれで、肩すかしはないように思います。
このフレーズを使うなら、それが米沢守の最終話になる可能性が高いのではないでしょうか。
もちろん、すべては上のチラシが本物だとすればの話です。
この手のお知らせで、放映回のサブタイトルまで載せるものか、
疑問にも感じますが、どうでしょうか。
Old Fashioned Club 月野景史
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