【美術】モネ『草上の昼食』9/20『美の巨人たち』より/印象派の道標となった来日中の大作
このブログでも既報の通り、9月20日放送のテレビ東京系『KIRIN~美の巨人たち~』
テーマ作品「今週の一枚」はクロード・モネ『草上の昼食』(1865-66年)でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/140920/index.html
現在、六本木の国立新美術館で開催中の『オルセー美術館展 印象派の誕生』に来日、展示中の絵です。
この番組は現代人の登場人物が、古典芸術を探究する、という構成が多いのですが、
今回はそれがなく、モネと恋人(後に夫人)のカミーユ、
そしてモネの友人で画家、また支援者でもあったフレデリック・バジールに扮した俳優により、
この絵が描かれ、そして切断される事情が入念に描かれました。
番組によれば、
1865年、サロン(官展)で入選を果たした24歳のモネは、
森でピクニックを楽しむ人々を実物大で描く縦4メートル、横6メートルの大作に取り掛かります。
二人の画家を越える為に。
一人はモネに先んじて、同じてタイトルの絵を描いたマネ。
エドゥアール・マネ 『草上の昼食』 (1862-63年)
スキャンダルを巻き起こしながらも、若い画家達から高い支持を得た絵ですが、
モネの狙いは別のところにありました。
若い頃から屋外での制作に親しんできたモネは、外光の下で、
“今“を生きる等身大の人々を描こうとしたのです。
どことなく舞台の背景のように見えるマネの描いた森に対して、
陽光鮮やかなモネの森は、やがて印象派へと繋がる道標といえるでしょう。
では、もう一人の画家とは誰でしょう?
写実主義の巨匠ギュスターブ・クールベです。
モネより21歳年上のクールベはモネとカミーユの結婚立会人も務めました。
聖書や神話の世界を描くのが王道だった時代に、
市井の人々による葬式風景を大画面に淡々と写した『オルナンの埋葬』を描いたクールベ。
ギュスターヴ・クールベ『オルナンの埋葬】1849年
“現代人のレジャー”を等身大で描いたモネの『草上の昼食』は、クールベへのオマージュでもあったのです。
しかし、モネの『草上の昼食』はクールベに批判されたようです。
詳しい事は判りませんが、その為にモネはこの絵のサロン出展をあきらめ未完のまま封印。
やがて、ためてしまった家賃のかたに没収されてしまいました。
後年、早く亡くなったカミーユの遺言により、モネはこの絵を買戻しますが、
カビで痛んでおり、約半分を不自然な形で残して、切り取らねばならなかったのです。
モネとクールベはこの絵をめぐって何を話したのか?
それは永遠の謎のようです。
Old Fashioned Club 月野景史
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