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2014年6月 5日 (木)

【ドラマ】『BORDER』 衝撃の最終回/ラストシーンの謎 四つの解釈

続編『BORDER 贖罪』は2017年10月29日(日)21時放送

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先日のブログ(→こちら)に書いたこの4月期のドラマ『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』(テレビ朝日)
今日、最終第9話「越境」が放送されました。


続編はまずあり得ない 衝撃のラスト
『BORDER』最終回、連続ドラマとしては稀に見る衝撃的な結末でした。

私は前回のブログで続編の可能性が高いようなことを書きました。
しかし、これはたぶんないでしょう。
番組公式BBSはじめ、ネットでは続編を望む声も結構見られますが、
これでどう続けるのか、想像できません。
おそらくこのドラマはこれで完結し、伝説になるのかと思います。


さて、この最終話についてはネットでも議論百出、賛否両論ですが、
ラストシーンの解釈も色々ですね。
全体を色々考えてもキリがないので、このブログでは本当のラストシーンにのみ、

つまり、石川の背後に安藤が現れる場面についてだけ、要点を絞って記します。


死んだ安藤との対話か?(仮説①)

ラストのラスト、ピルの屋上から転落死した筈の安藤(大森南朋)が、
立ちつくす石川安吾(小栗旬)の背後から肩をつかみ、話しかけます。
なぜ、今死んだ筈の人間が、背後から現れたのか?

といっても、そもそもこのドラマ、「石川安吾は死者と話せる」がテーマです。
石川は頭に撃ち込まれた銃弾の影響で、死者と対話することができるという設定のドラマなのです。
ですので、このドラマの中では、死んだ筈の安藤が現れ、石川と対話することに、なんの不思議もありません。
だからこのシーンも、いつものように死んだ安藤が石川に語りかけた、と解釈するのが自然でしょう。


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石川(小栗旬)と安藤(大森南朋) ※ラストシーンではありません


しかし、疑問があります。
過去の回で明示されていたかが、ちょっと微妙なのですが、
石川は死者と会話はできますが、物理的に触れることは出来ない筈です。
この最終話でも、殺された子どもと「指きり」が出来ないことを、石川自身が語っています。
ですので、安藤がしっかり石川の肩を掴んだシーンには違和感があります。

更に、いつも死者が目の前に現れる時、まず耳鳴りのような音がし、それを合図にするかのようにして、石川と死者との対話が始まるのですが、今回はそれもありませんでした。
更にいえば、いつもは耳鳴り音の後、まず石川の視界に死者が現われ、石川から語りかけるのですが、
今回はいきなり、背後から肩を掴まれ、話しかけられました。

これはどういうことなのでしょう?

・死者と物理的には触れ合えない。
・死者が現れる時は耳鳴りがする。
・まず目の前に死者が現れ、それから対話を始められる。


以上の3点が、石川が死者と話す上でのルールであるなら、
背後から肩を掴んだ安藤は死んでいない、生きていた、ということになります。
そんなことは起こり得るか?

上に書いた「安藤は死んだ。石川は今までと同様に死者と会話した」との解釈を仮説①とし、
他の解釈ができないかを考えてみます。


仮説② 安藤は死んでいなかった
石川に押され、安藤は屋上から落ちた。
石川が下を覗き込むと、安藤は死んでいた。

しかし、石川は安藤が地面に激突する瞬間は見ていない。
(この点も微妙なのですが、石川は安藤の転落してから少し間を置いた後、
改めて下をのぞき込み、死体を発見し、ショックを受けていたようなので)

それならば、転落死した姿は偽装で、石川がショックで放心している間に、
安藤は階段なりエレベーターなりで、屋上に上がってきた、という解釈も成り立ちます。
現実的にはかなり難易度は高いですが、ドラマなのであり得なくはないでしょう。


ネットでは、安藤の転落死した姿は石川の見た幻という見方もありますが、
それはちょっと都合がよすぎでしょう。
ならばすべて、あるいはここからここまでは幻影という解釈で済んでいまいます。


仮説③ 石川も死んだ=死者同士の対面
ネット上には、石川も死んでいるという説を唱える人もいます。

石川がなぜ、そしていつ死んだのかということになりますが、
石川は頭に銃弾が残っている設定なので、安藤を突き落としてしまった激しいショックの影響で、
脳にダメージを受けて死んでしまった、との見方が多いようです。

つまり、最後の安藤と石川のやりとりは死者同士としてだった、ということです。
死んだ石川の背後に、一足先に死んでいた安藤が現れたのですね。

これは、ちょっと聞くとありそうです。
しかし、今までこのドラマでは、死者同士が対話するという描写も言及もなかったと思います。
それが突然出てくるのは、私はあまり感心しません。
もしそうであるなら、なにか2人とも死んでいることがわかる表現があるべきです。

そもそも現実にあり得ない事が起こり、始まったドラマなのだから、
何があってもおかしくないといわれれば、そうなのです。

ですが、このドラマのように、現実にありえない事が起こる物語は、
それが起こる上での法則が、しっかりしているべきだと思うのです。
このドラマのネタ元ともいえる映画『シックスセンス』なとは、まさにそうでした。
それがないと、本当になんでもありになってしまうので。


いずれにしろ、今までの流れを重視すれば、最後の安藤との対話は不自然です。
すんなり納得は出来ません。
かといって、今回紹介した三つの仮説も決め手に欠け、強い説得力はありません。

これは、おそらく視聴者にそんな余韻を持たせるの意図なのでしょう。
そして、続編という形でその謎が解き明かされ、真相が示される可能性は、極めて低いでしょう。
永遠にないかも知れません。
あえて選ぶとすれば、私なら整合性を重視して、仮説②「安藤は死んでない」説を推しておきます。


が、しかし、あえて四つ目の可能性=仮説④に言及しておきます。

もし「死者との会話」などない、“普通の刑事ドラマ”でのラストシーンだったら?
ならば、誰も今回書いたような面倒なこと考えませんね。

その場合、あのシーンは単に石川の心理描写でしょう。
登場人物の独白のシーンで、死者が語りかけてくる描写は、映画やドラマにいくらでもあります。
別に、『BORDER』にそんなシーンがあっても、おかしくはありません。
考えようによっては、この解釈が一番しっくりくるようにも感じています。
他の三つは、どうしても無理がありますから。

ただ、「死者と会話できる」がテーマのドラマでいきなりそれをやられても混乱しくすね。
いずれにしろ、おそらく真相は永遠の謎でしょう。

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2017年10月24日追記
このように書きましたが、まさかの続編『BORDER 贖罪』が2017年10月29日(日)に放送されます。

http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/border-102921-6.html

上に書いた4つの解釈は、ここで終わり、続きは作られないことを前提とし、可能性を広げて考えたもので、
実際に続編が作られるのなら、無難に第1の仮説になるのではないかと思いますが、どうでしょう。
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BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係
木曜21:00 - 21:54 木曜ドラマ (テレビ朝日)
2014年4月10日 - 6月5日 9回 テレビ朝日
原作・脚本:金城一紀
出演者:小栗旬 青木崇高 波瑠  遠藤憲一
        古田新太 滝藤賢一 野間口徹 浜野謙太

http://www.tv-asahi.co.jp/border/

それぞれが実に個性的なレギュラーキャストでした。
特にクールな検視官を演じた波瑠さんは地上波連続ドラマでは初ヒロインかと思いますが、
魅力的でした。


Old Fashioned Club  月野景史

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