『相棒 -劇場版Ⅲ- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ』感想/予想よりは面白かったが・・・
人気テレビドラマ『相棒』シリーズの劇場版第三作
『相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ』
遅まきながら鑑賞してきました。
ネット上では、大掛かりな宣伝攻勢にも関わらず、集客の不振や、
内容に対する不満も書かれていますし、
私自身、そもそものストーリーに不安を感じていましたが。
予想したよりはおもしろく観させてもらいました。
ただ、全体に展開に無理があり過ぎるように思いました。
これは、そもそも警視庁の窓際部署、特命係の二人(杉下右京と甲斐享)に、
“東京都内”とはいえ、絶海の孤島で、民兵組織相手に活躍させるというのが無理なのだし、
特に、一旦強制送還された後、右京とカイトが再び孤島に乗り込む流れは、
一体なぜそうなったのか、呆気に取られてしまいました。
しかし、その無理だけではなく、どうもイデオロギー的問題を前面に出そうとの意図があり、
その為に無理をしているようにも感じるのも、引っ掛かった点です。
これは、今年の『相棒12』元旦スペシャルも同じでしたが。
予告編CMの不思議
今回の映画は大量の予告CMがテレビ朝日系で流されていますが、
どうも不思議に思うことがあります。
CMを観る限り、無人島に渡るレギュラー陣は、右京とカイトだけのように思えませんか?
今回は、相棒コンビとゲスト俳優達がメインで、他のレギュラーの活躍は少ないように感じていました。
実際は捜査一課の伊丹、三浦、芹沢のいわゆる“トリオ・ザ・捜一”と、
鑑識課の米沢も孤島に乗り込んでいます。
にも関わらず、あのCMの内容はどうなのでしょう?
『相棒』人気は個性的な脇役達に支えられている面も大きいです。
その彼らの活躍が少ないように思える宣伝は、いかがなものでしょう。
まして、三浦刑事が退場している今、トリオ・ザ・捜一はこれが見納めになるのだから、
勿体ない話です。
よく見ると、予告編に一瞬、島での伊丹が出てきますが、
録画して一時停止にしなければ、わからないレベルです。
二代目相棒 神戸尊の登場
前にも書きましたが、先代相棒神戸尊の登場は本作の大きな目玉でした。
ですが、その出演シーンが僅かであることも、既に認知されていますし、実際その通りでした。
役割としても、基本的に警察庁の甲斐次長のメッセンジャーとしてなので、
かつての主人公の再登場としては、不満も残るところですが、
まぁ今回は、出てくれただけでよかったというところでしょうが。
※ところで、神戸の登場部分で、ひとつ気になるシーンがありました。
「サルウィン」という地名が登場したのです。(この件は→こちら)
興収・総括
興行収入は、『Ⅰ』の44億、『Ⅱ』の31億に対し、20億行くかどうかという見込みです。
公開時期は、『Ⅰ』と同じGWなので(『Ⅱ』は年末)、それと比べるとたいぶ劣りそうです。
ネット上では色々書かれており、“現相棒”のカイト(成宮寛貴)を責めるような声もありますが、
私はこのストーリーでは、集客に苦労するのは当然だと思います。
『相棒』に“無人島の冒険”は似合わないし、
まして、民兵集団相手に、スーツ姿の右京が島を駆け巡るなんて、
想像しただけで痛々しく感じます。
映画だから、テレビシリーズでは出来ないことをいうのもわかりますが、
あくまで通常のコンセプトに沿ったものを、通常ではできないスケールで、というのが筋でしょう。
『Ⅰ』と『Ⅱ』はそうだったと思います。
『Ⅲ』は、番外編のようなイメージでした。
せめて、島と都会で捜査が同時進行(あるいは時間のズレがあってもおもしろいけど)するとか、
または、孤島が舞台でも、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」のように本格ミステリ仕立てなら、
『相棒』に相応しかったかと感じています。
とはいっても、『相棒』ファンなら、やはり一度は劇場で観ておいた方がいいとは思いますが。
Old Fashioned Club 月野景史
相棒 -劇場版III- 巨大密室! 特命係 絶海の孤島へ
公開 2014年4月26日
出演者 水谷豊 成宮寛貴 伊原剛志 釈由美子 及川光博 石坂浩二
監督 和泉聖治
脚本 輿水泰弘
音楽 池頼広
配給 東映
製作 相棒-劇場版III-」パートナーズ(テレビ朝日、東映、トライサム、小学館、朝日放送、メ~テレ、木下グループ、北海道テレビ放送、広島ホームテレビ、九州朝日放送、トップコート)
http://www.aibou-movie.jp/
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