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2013年10月

2013年10月24日 (木)

【特撮】初代『ウルトラマン』のNG映像60分発見/映像解説と謎

『ウルトラマン』の未公開NGシーンが発見!
NHKがニュースとして放送し、ネットでも続々情報がUPされています。

この『ウルトラマン』は本当の元祖、いわゆる“初代ウルトララマン”。
1966年-67年に放送された、科学特捜隊のハヤタ隊員が変身するウルトラマンです。

Ultraman1
『ウルトラマン』
1966年(昭和41年)7月17日-1967年(昭和42年)4月9日
TBS系 毎週日曜日19:00-19:30放映 全39話  制作:円谷プロダクション

NHKのサイトでニュース映像が観れます。
NG映像も一部公開されています。





記事を引用させていただきます。
☆☆☆
世界的にも知られる日本の特撮技術が生み出したヒーロー「ウルトラマン」の撮影で、40年以上前のいわゆるNGシーンのフィルムが大量に見つかり、専門家は「日本が発展させてきた特撮技術の舞台裏を知ることのできる貴重な映像だ」としています。

特撮はウルトラマンと怪獣の格闘など架空のシーンをミニチュアや合成を使って現実のように撮影する技術で、今回見つかったのは、その撮影の過程で失敗したいわゆるNGシーンなどのフィルムおよそ1時間分です。ウルトラマンを製作した「円谷プロダクション」の関係者の自宅に、40年以上、保管されていました。

このうち、ウルトラマンが怪獣を持ち上げて投げ飛ばすシーンでは、誤ってセットの木まで抜いてしまい、撮り直しとなっています。しかし、その木には根が付いていて、当時、背景に本物の木を1本1本植えていた様子が分かります。
また、炎による攻撃がまったく効かないという設定の怪獣の撮影では、誤って着ぐるみが燃えてしまい、スタッフがあわてて消火する姿が写っています。製作チームがあえて合成ではなく、実際の火を使うことでより現実的な映像に仕上げようとした様子が分かります。

特撮番組などに詳しい、評論家の氷川竜介さんは「当時の撮影現場を記録した動画はほとんど無く、日本が独自に発展させてきた特撮技術の舞台裏を知ることができる貴重な映像だ」と話しています。
★★★


見つかったNG映像は約60分とのこと。
ニュース動画と記事を見る限り、ウルトラマンや怪獣が登場する特撮シーンしか紹介されていません。
ムラマツキャップやハヤタ隊員達による本編部分はないのでしょうか?

それと、ちょっと疑問に思う点もあるのですが、それは後回しにして、
ニュースで放送されたNG映像を順番に解説しましょう。

◆第1話「ウルトラ作戦第一号」よりベムラーとの格闘シーン。
記念すべき第1話のクライマックス。
記事では、ウルトラマンがベムラーを持ち上げて投げ飛ばすシーンで、
誤ってセットの木まで抜いてしまったことがNGの理由のように書かれていますが、
ニュースで語られているように、ウルトラマンがよろけて転倒してしまった方が問題でしょう。
プロレスのジャイアントスイングのような豪快な投げ。
ベムラーの着ぐるみの中には、人は入っていないようです。

◆第31話「来たのは誰だ」より  セットに躓き、よろけるケロニア
シリーズ屈指の知性派怪獣も形無しです。

◆第17話「遊星から来た兄弟」より  ビルを壊せなかったにせウルトラマン
凶悪宇宙人ザラブ星人が化けた、にせウルトラマン。
豪快にビルを壊す筈が、叩く位置を間違えて、煙は出れどビルは崩れず。

◆第27話「怪獣殿下 後編」より  ウルトラマンとゴモラの対決
※これはNGシーンではありません。二週に渡った闘いの最後なので、ゴモラぼろぼろです。

◆第23話「故郷は地球」より  着ぐるみに引火してしまうジャミラ。
火に強く、火炎放射を受けても全然平気な筈のジャミラですが、着ぐるみが燃え出してはたまりません。
スタッフが慌てて消火しています。

以上、ニュースで放送された映像解説でした。


ところで、ニュースでは本来棄てられる筈のフィルムが偶然残っていた、と語られていますが、
見たところ、関係者の自宅に残っていたというのは一巻のフィルムです。

その中に第1話から、少なくとも第31話まで収められているのだから、
これは記録として編集されたものでしょう。
資料として残そうとしたのか、ドキュメンタリーとして放送の構想があったのか、わかりませんが。

誰により編集されたのか?
他にはどんな映像があるのか?
私は初代ウルトラマンフリークですが、フィギュア等にはあまり興味がありません。
映像や、出版物等の文献資料には、少しこだわりがあります。
この映像は観たいですね。

別のニュースソースによると、このNG映像は2014年1月発売の
『ウルトラマンBlue-ray BOX III』にも収録が予定されているそうです。

Old Fashioned Club  月野景史

2013年10月23日 (水)

【ドラマ】『相棒』シリーズ主要出演者の年齢を考察する/意外と年長だった神戸、圧倒的に若いカイト

『相棒12』第一話での、三浦刑事役の大谷亮介さんの降板について書いたブログには、
多くのアクセスがありました。

私はそのブログで、出演俳優の年齢に絡めて持論を記しました。
その点についても、感想や意見をいただいています。
そこで、改めて『相棒』シリーズ主要キャストの年齢を考察してみたいと思います。

劇中の登場人物としてではなく、演じている役者さんの年齢です。
登場人物の中には、年齢が明らかなキャラクターもいますが、
不明な人も多いので今回は追求しません。

まずは男優から、大谷さんはじめ既に降板した方も含めて、
主要14人をピックアップし、生年順に上から並べました。
「あの人が抜けている」という意見もあるかと思いますが、とりあえずこのセレクトでいきます。

年齢は今年、2013年末時点でのもの。学年は無視。
◆印は既に降板している人です。


1941年  72歳
甲斐峯秋(警察庁 次長)- 石坂浩二

1947年  66歳
◆小野田公顕(警察庁 官房長)- 岸部一徳
内村完爾(刑事部長)- 片桐竜次

1952年  61歳
杉下右京(特命係) - 水谷豊

1954年 59歳
◆三浦信輔(捜査一課刑事)- 大谷亮介

1959年 54歳
中園照生(刑事部参事官)- 小野了

1961年  52歳
伊丹憲一(捜査一課刑事)- 川原和久

1962年  51歳
◆亀山薫(特命係 初代相棒) - 寺脇康文
角田六郎(組織犯罪対策第5課長)- 山西惇
米沢守 (鑑識課)- 六角精児
大河内春樹(監察官)- 神保悟志

1969年  44歳
◆神戸尊(特命係 二代目相棒)- 及川光博

1971年  42歳
芹沢慶二(捜査一課刑事)- 山中崇史

1982年  31歳
甲斐享(特命係 三代目相棒) - 成宮寛貴

※追記 2015年版をアップしました。 http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2015/10/2015-f45c.html

いかがですか?
結構「へぇー」と思う点あるでしょう。
まずは主役クラスから、目についたところを挙げていきましょう。


圧倒的に若いカイト、意外とそうでもなかった神戸
全体のバランスで見ると、現相棒甲斐享役の成宮寛貴さんの若さが目立ちます。
それに比べて、二代目神戸尊役の及川光博さんが加入した時も、随分若返ったと感じましたが、
並べてみると、意外とそうでもないのですね。

歴代“相棒役”初登場時の年齢を比べても、
2002年の連続ドラマとしてのスタート時の寺脇さんは40歳。
その寺脇さんの降板後、新加入した時点での及川さんも40歳の年でした。

それに対して、成宮さんは初登場時30歳なので、明らかに若いのです。
更に、降板時の及川さんは42歳の年なので、まさに一回り若返った事になります。

とはいっても、昔の『太陽にほえろ!』などの刑事ドラマの新人刑事役は
だいたい20代前半の俳優さんでしたから、
それに比べれば成宮さんも若くはないのですが。

参考までに、水谷豊さんが『熱中時代・刑事編』に新米刑事役で主演したのは27歳、
それ以前、『夜明けの刑事』に刑事役で途中からレギュラー出演したのは23歳の年でした。

では、個性豊かな脇役たちについても見ていきましょう。
脇役キャラは劇中年齢が明らかでない人がほとんどです。

角田課長と亀山・米沢が同い年!?
個々の年齢についてなら、
最も意外なのは角田課長役の山西惇さんではないですか?

風貌や、劇中での立ち振る舞いからすれば、
右京と同世代か、少し上くらいのイメージに思えるのですが、
実際には山西さんは水谷さんより10歳下、寺脇さんや六角さんと同い年、
川原さんよりひとつ下なのです。

部署は違うとはいえ、角田課長は他の同世代の人達より役職が上なので、
偉そうにしていても当然なのですが、
それにしても、劇中年齢も実年齢よりだいぶ上の設定かと思います。
右京と同世代くらいと解釈するのが自然でしょうか。


その他、上からながめて気付いた点を上げてみます。

石坂浩二さんは、長年勤めた岸部一徳さんの後任役なのに、
若返りどころか6歳も上なのですね。

小野田官房長役と内村刑事部長役は同い年。
これはどちらが若いとか老けてるとかではなく、あの二人が同じとは、「へぇー」と感じます。
あの嫌味で傲慢な刑事部長役の片桐竜次さん、水谷さんとは共演作も多く、盟友のような間柄でしょうか。
私は、水谷さんと片桐さんによる“相棒コンビ”が見たいです。
内村役の片桐さんしか知らない方には、理解できない希望かも知れませんが。

参事官役の小野さんは54歳。この年齢だけを見れば特に若いとも思いませんが、
他の人と並べての比較ならば、意外と若いのだなと感じませんか?


黄金の1962年組
そして、なんといっても1962年生まれが多いのが目立ちます。
一つ違い、1961年の川原さんも入れれば5人がほぼ同世代です。

いずれも初期からのメンバーで神保さんのみ連ドラ第2シーズン、
他は2002年の連ドラ化以前からのメンバーです。
当時はみな40歳前後、この年代が出演者の中核を占めたドラマとして始まったのですね。

寺脇さん以外の4人は現在もレギュラーで、全員50歳を越えていますが、
組織内のポジション、つまり部署も役職も10年以上ほとんど変わっていません。
(大河内のみ警視→警視正に昇進していますが、ポジションは同じですね。)

これは、1962年組に限らず、『相棒』全般の傾向でもあります。
この状況は、はからずも今の一般企業を象徴しているような面もあります。
新卒に限らず、若い社員を新規採用しないから、社員が同じポジションのまま、年齢だけが上がっていくのです。
しかし、警察組織としては少し不自然にも思えますね。
まぁフィクションですから、好評のキャストを無理に変える必要もないのでしょう。

一方で、ある程度リアルさを売りにしたドラマですから、
行き過ぎた不自然さは問題ですし、
それは別にしても、長寿ドラマとしてレギュラー出演者の高齢化は
看過し切れない面もあるでしょう。

今回の大谷さんの降板とも関係してくる問題なのかも知れませんが。
私は、前回のブログで成宮さんと年齢の近い新レギュラー加入の可能性も示唆しましたが、
さてどうなるでしょうか?


Old Fashioned Club  月野景史

2013年10月22日 (火)

【テレビ】『笑っていいとも!』来春終了/『いいとも』誕生秘話 タモリとたけしとスタジオアルタ

今日10月22日の放送で、『笑っていいとも!』の来年3月での終了がタモリさん自身により公言されました。
1982年10月の放送開始から31年が経過、来年3月までですから、31年半の歴史に幕を閉じる事になります。

今日は、タモリさん自身も知らなかったという『笑っていいとも!』誕生秘話を書いてみます。
まぁ、「秘話」といのは誇大表現ですが。

昨年2012年10月、ビートたけしさんがテレフォンショッキングに出演しました。
その際、たけしさんにも『いいとも』の司会の打診が来ていたという話が出ました。
タモリさんも初耳だったそうで、この件はそこそこの話題になりました。



その時のやりとり。音声のみです。

しかし、実はたけしさんがこのことを話すのは、これが最初ではありません。
それこそ、『いいとも』が始まって半年か一年くらいの時に聞いた記憶があります。
おそらく、たけしさんの『オールナイトニッポン』でだと思います。

『いいとも』が視聴率好調で話題になっているのを見て、
「ちきしょー! 本当は俺のところに先に話が来ていたのに、断っちゃったんだよ。
タモリの野郎、うまくやりやがって!」
などと口惜しがっていました。

実際には、当時のたけしさんはタモリさんを上回る超売れっ子で、
お昼の帯番組の生放送は難しかったと思います。
ただ、たけしさんの『元気が出るテレビ!!』『スポーツ大将』『風雲!たけし城』といった
ゴールデンタイムで長期の人気を誇った伝説的なお笑い・バラエティ番組のスタートはもう少し後で、
この頃は、低視聴率で短命に終わってしまうような番組も結構あったのです。

しかし、それらの本来不名誉な失敗も、パワフルにネタにしてしまうしたたかさがありました。
『いいとも』についても、そんな愚痴ネタのひとつという感じでした。
たけしさんがこの件について語ったのは、私が聞いたのはたぶんこの1回だけで、
おそらくそんなにしゃべってないと思います。

ところで、たけしさんは、自分の経験をネタにすることが多かったのですが、
事実なのか、作り話なのか、判断が難しい場合もあります。
しかし、この『いいとも』の司会の依頼がタモリさんより先に来たという話は、おそらく本当だと思います。
当時の状況から考えて、『いいとも』の前に放送されていた『笑ってる場合ですよ!』の
レギュラーだったたけしさんに、まず依頼が行くのが当然だと思われるからです。

この『笑ってる場合ですよ!』からの流れについては、
昨年、たけしさんが『いいとも』に出た時も語っていましたが、
それを補完する意味で、番組自体の概要からちょっと説明しましょう。


『笑ってる場合ですよ!』(フジテレビ系列)
1980年10月1日-1982年10月1日


『笑っていいとも!』のスタートは1982年10月ですが、その前の2年間、
月-金の同じ時間帯に、同じスタジオアルタからの生放送されていました。

この番組がスタートした1980年は漫才(マンザイ)ブームの真っ最中。
その中でも一番に飛び出して、アイドル的な人気もあったB&Bが月-金通しての司会、
その他マンザイブームの主力であったツービート、紳助・竜介、ザ・ぼんち、
のりお・よしおらが日替わりでサブ司会を務めました。
漫才勢以外では、春風亭小朝さんがスタート時の日替わりレギュラーでしたが、
たしか半年で、明石家さんまさんにチェンジしたと思います。

この時のマンザイブームはまさに空前のものでした。
ただ、大ブームというのは、えてして失速も早いものです。
ブームも陰りが見え、特にB&Bは人気の落ち込みが顕著であったせいか、
最後の半年はB&Bは月曜のみの出演となり、完全日替わり司会制となりました。
しかし、落ち込みは止められず、番組も2年で終了ということになったのです。

そのマンザイブームの失速の中で、一人気を吐いていたのがたけしさんでした。
まさに時代の寵児という勢いで、まずたけしさんに打診がいくのは当然です。
番組の名物プロデューサーは横澤彪氏。
たけしさんも、横澤さんから毎日通しでやらないかと打診を受けたと語っていました。

だから正確にいうと、『いいとも』の司会ではなく、
『笑ってる場合ですよ!』の後番組の依頼を受けたということです。
もし、たけしさんが受けていたら、番組のタイトルも内容も違っていたかも知れません。

しかし、上でも書いたように、当時のたけしさんの売れっ子ぶりからすると、
月~金昼の生放送は現実的ではなかったと思います。
でも、一応打診はしてみた、というところしょうか。


当時のタモリさん
ではその頃のタモリさんはどんなポジションだったのか?

既に、異能・多彩のタレントとして知名度も高かったですが、
クセが強くて嫌われる傾向もあり、レギュラー番組も失敗に終わることが多かったです。
平日お昼の顔に向いてるも思えず、またマンザイブームとの縁も薄かったので、
『笑ってる場合ですよ!』の後番組の司会とは驚いたのですが、
ただ、お笑い・バラエティ路線を継承するなら、この人くらいしかないいのかな、
とは思いました。
それにしても、まさか、こんなに長く続くとは。


タモリさんとスタジオアルタ
ところが、実はタモリさん、お昼のスタジオアルタからの生放送は、
『いいとも』が初めてではないのです。

『笑ってる場合ですよ!』が始まった1980年10月の同時スタートで、
タモリさんは東京12チャンネル(現テレビ東京)で毎週日曜12時から、
『タモリの突撃ナマ放送』という番組をやっていたのです。
視聴率は振るわなかったようで、翌年の6月で終了しました。
随分前ですが、タモリさんは『いいとも』の中で一度、この番組について話した事がありました。


タモリさんとたけしさん
『いいとも』スタート当時、この二人は犬猿の仲でした。
知っていましたか?

年齢はタモリさんが二歳(一学年)上、芸歴はたけしさんが長いが、
テレビで全国的知名度を得たのはタモリさんが先という関係です。

初期の『いいとも』にたけしさんが乱入して暴れたことがありました。
オールナイトニッポンではタモリさんが水曜深夜、たけしさんが木曜深夜の担当でしたが、
たけしさんがタモリさんの放送中に乱入したことがありました。
(もっともこの時は、順番に各曜日に乱入したのですが)

このような“共演”以外でも、結構相手をネタにして悪口と言うことがありました。
もちろん、これらは演出された不仲だったのでしょうが、
ガチで嫌いあっているようにも思えました。
当時の二人には、タブーをタブーともしないような危うさもあったのです。

などと『いいとも』スタート当時のことを様々思い出してみましたが、
それにしても32年間、長く続いたものです。
レギュラーでゲストで、多くのタレントさん達が出演しました。
タモリさんも68歳とのこと、そろそろ良い時期なのかも知れません。


Old Fashioned Club  月野景史

2013年10月21日 (月)

【ドラマ】『リーガルハイ』第2話 なぜ古美門(堺雅人)はアフロだったのか?/J・ブラウン『Sex Machine』

『相棒12』と『リーガルハイ』について書いたブログの続々編です。

視聴率対決では19.7%と上々のスタートを切った『相棒12』に対し、
『リーガルハイ』は16.8%。『相棒』には敗れ、また前回の21.2%からはだいぶ落としました。
もちろん、16.8%も立派な数字ではあります。
ただ、このドラマ結構クセがある上に、前シリーズからキャストに変更もあり、
いかに堺雅人さんの半沢効果があるとはいえ、ちょっと苦戦しそうな気もします。

ネットで見ると、前作からのファンの中には
1話よりは2話の方を評価する声もあるようですが、
私は1話の方が良かったかな…と感じています。

予測はし難いですが、このドラマの視聴率がどう動くかは、ちょっと興味があります。


ところで、今回の第2話でお気に入りのシーンがあります。

堺雅人さん演ずる古美門研介弁護士が、
助手の黛真知子弁護士(新垣結衣さん)にまかせた法廷に
変装して傍聴に来る場面があるのですが、
その時の扮装が昔のソウルシンガーorロックンローラーみたいな服装に、
アフロヘア―なのです。

ネットでも、あのアフロの意味がわからない、なんのパロディなんだ?
という声が散見されます。
解説しましょう。

古美門がアフロ姿で法廷に入って来た時かかったBGMが、
アメリカの伝説のソウルシンガー、ジェームス・ブラウンの歌なのです。

ジェームス・ブラウン
(ジェイムズ・ブラウン James Brown 1933年5月3日 - 2006年12月25日 73歳没)

James_brown


アフロヘアも、写真のような若い頃のブラウンのイメージでしょう。
後年のブラウンは、アフロとは違う独特のヘアスタイルがトレードマークでしたから。

・・・って、それはそうだとしても、なんでジェームス・ブラウンなんだ? 全然わかんないぞ!
たしかにそうですね。

実は、BGMとしてかかった「ゲロッパ!」と聞こえるあの印象強烈な歌、
その曲名がポイントなのです。

あの歌のタイトルは『Sex Machine(セックス・マシーン)』

ドラマを観ていた人ならこれでわかるでしょう。
法廷シーンの前、拘置所での小雪さん演ずる被告との接見シーン、
自分のtechniqueをバカにされた古美門が、大反発して披露した腰フリダンス、
あそこでのやりとりから繋がってるのです。

単純に話の流れとして繋がっているというだけではなく、
少し深読みをすれば、大胆な一方で小心、
粘着気質で、些細なことにもしつこくこだわり続ける古美門のキャラを象徴している、
などと解釈できないこともないでしょう。



James Brown - Sex Machine

1970年リリース。映像はおそらく1971年頃。20世紀の名曲。
1990年代に日本でCMに使われたこともあります。

「ゲロッパ(ゲロンパ)」と聞こえる歌詞は「Get Up!」とのこと。


Old Fashioned Club  月野景史

2013年10月19日 (土)

【相棒12】三浦刑事(大谷亮介)まさかの降板/甲斐享2期目初回SP「ビリーバー」

『相棒season12』初回スペシャルについて

この秋の注目ドラマ『相棒12』と『リーガルハイ』について書いたブログの続編です。
10月16日夜の、ニアミスながらの視聴率対決の結果が出ました。
さすがは21世紀の国民的ドラマ! 19.7%と上々のスタートを切った『相棒12』に対し、
『リーガルハイ』は前回の21.2%→16.8%と落とし、敗れました。それでも立派な数字ですが。

ところで、この『相棒12』第1話スペシャル「ビリーバー」ですが。
視聴率はよかったのですが、予想外の、そして『相棒』ファンには衝撃的な展開がありました。
三浦信輔刑事役の大谷亮介さんが退職の形で降板したのです。

Aibou12

予告では、前シーズンからの新相棒、成宮寛貴さん演じる甲斐享(カイト)が
なぜかオカルトにはまってしまう…、一体、カイトに何が起きたのか?
というのが主題のように感じましたが、
この点はあっさりと、捜査の為の偽装と判明してしまいます。

テーマはネット時代のテロについて、
そしてテロリストによる誘拐に対し、いかに交渉すべきか、身代金は?
という『相棒』のスペシャル版らしいものに移っていたのですが、
そのテーマが霞んでしまうようなことが起こったのです。


警視庁捜査一課、三浦信輔刑事役の大谷亮介さん。
シリーズが連続ドラマ化される以前、土曜ワイド劇場で放送された第2昨(2001年)からのレギュラーキャストです。
(前年の第1作には別役で出演)
伊丹刑事(川原和久)、芹沢刑事(山中崇史)との、いわゆる“トリオ・ザ・捜一”の最年長、その三浦刑事が退職してしまう、
つまり『相棒』シリーズから降板するという事件があったのです。

『相棒』は今まで、W主役の片割れである水谷豊さんの相棒役が二度の交代を経験しています。
しかし、これは事前に告知されていました。
今回の大谷さんの降板はまったく情報がなく、ファンにとっては衝撃的だったのです。
しかも、退職の事情がまたショッキングなものでした。


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『相棒』名物 “トリオ・ザ・捜一”


三浦刑事退職の事情 ※ネタバレあり
三浦刑事の退職に至る経緯について、まとめておきます。
これがちょっと救いようのない事情で、この点はネット上にも批判的意見が多いです。

三浦刑事は犯人グループの一人にナイフで足を刺されてしまいます。
普通、刑事ドラマで撃たれたり、刺されたりしたのが足ならば、
「よかった、命拾いした」ということで、翌週から何事もなかったように活躍するところです。

しかし、三浦の傷は神経に達しており、一生杖なしでは歩けないと診断されてしまいます。
そして、内勤に移動しての慰留を受けますが、あっさり退職を選択したようなのです。
まだ入院中で、リハビリにすら取り掛かっている様子もないのに。
まして、三浦刑事は家庭がある筈、退職の選択はかなり不自然です。


実は、三浦は今回の冒頭、試験にパスして警部補に昇進、係長に就任していました。
その為、伊丹との関係がかなりギクシャクしていました。
伊丹は三浦の昇進が不服なようで、妙に三浦に反抗的なのです。
この伊丹の態度も不自然に感じました。
共に昇進は目指さないと、誓いでも立てていたのか?

それはともかく、苦労して昇進直後のこの事態だけに、余計切ない。
しかも、シーズンの第一話でいきなりの降板とは・・・。
ただ、長く務めたレギュラーが新シーズンの初回限りで退場というパターンは、
『相棒』と同じテレビ朝日・東映制作の長寿ドラマ『科捜研の女』で2度ほどあったのですが。

しかし、大谷さんは今シーズン放送中であろう、来年の3月で60歳になります。
区切りもいいし、もう少しファンが納得できる展開で卒業させる事もできたろうにと感じます。
まぁ、そうはいかせないところが『相棒』シリーズなのかも知れませんが。


トリオ・ザ・捜一
改めてですが、「トリオ・ザ・捜一」は『相棒シリーズ』に欠かせない名物的存在でした。
その一角が、遂に今回、崩れてしまったわけです。
しかし、実はこのトリオ、観ててちょっと無理を感じる事もありました。

相棒コンビからしてそうですが、刑事は捜査にあたって二人一組で動くイメージがあります。
事件現場に大勢集結するのは、当然ですが、
その後の細かい聞き込みも三人で動いているのはちょっと違和感がありました。

ただ、以前はそれはあまり感じませんでした。
一番若い芹沢が、見習い的な立場に見えたからです。
しかし、もうどう見ても芹沢はそんな年代ではありません。

三浦刑事が退職し、今後、「トリオ・ザ・捜一」は欠番となり、伊丹・芹沢のコンビで行くのか、
それとも若い刑事を加えて、「新トリオ・ザ・捜一」となるのか?
さて、どちらでしょうか。

新人が登場するにしても、少し間をおいて、今シーズンの終盤か、来シーズンかになるかもしれません。
ネット上では、まったくの新加入ではなく、
過去に登場したキャラが採用されるという見方もありますが、どうでしょう。
原田龍二さんや萩原聖人さんの名も挙がってますが、
俳優としてのポジションから考えて、この二人が「トリオ・ザ・捜一」に入るという事はないと思います。


大谷亮介氏降板の事情は?
今回の大谷さんの降板理由についてはネットで色々と語られていますが、
それは噂レベルのものでしかありません。
あくまで今日現在の状況ですが、ちょっとまとめておきましょう。

大谷亮介
(おおたに りょうすけ、1954年3月18日 - 59歳)
01_2



降板は大谷さん側の理由か?
ネット上には、この降板は舞台で多忙の大谷さん側の希望による卒業である、
との説を唱える人もいます。

たしかに、大谷さんは今も多くの舞台に出演しています。
『相棒』の撮影は、大谷さんのような脇役にとって、
画面に映る出演シーンや、セリフの量から受ける印象以上に、拘束時間の長いことが推測されます。
元々、大谷さんが出演せず、伊丹刑事役の川原和久さんと芹沢刑事役の山中崇史さんが
二人で登場する回も少なくはありませんでした。

しかし、今更この理由で降板とは・・・?
10年間やってきて、今まで通りでなんの問題があるのか、やはり疑問は残ります。
しかし、10年やったからこそ、また60歳という節目の年齢になるのを控えて、
どうしても時間を取られる『相棒』から離れ、少し仕事の幅を広げたいと考えたのならば、理解はできます。


レギュラーの高齢化、現相棒との年齢格差
では、制作側には大谷氏を降板させる理由はあるか?

現時点では、大谷さんが降板して、それに代わる後任レギュラーの加入があるのかも不明です。
しかし、レギュラー交代を行う必然性もなくはないように感じます。

『相棒』の連続ドラマ化から既に11年、“相棒役”は交代しているし、他にも降板したキャストもいます。
しかし、“相棒役”以外の警視庁内の主要レギュラーの降板・交代はなく、高齢化が進んでいるのも事実です。
付記  レギュラー出演者の年齢について考察しました。→こちらです。

特に現相棒の成宮さんと、他の警視庁内レギュラー陣の年齢が離れ過ぎている点は気になります。
一番近い山中さんでも11歳差、後は20歳以上。成宮さんと同世代の30歳前後のレギュラーもほしいところ。

かといって、レギュラー陣は結構多く、これ以上増やすのも得策ではない。
新たなポジションは作らず、現行のレギュラー陣の枠組みの中で、若手俳優への交代を行うなら、
やはり対象は大谷さんにならざるを得ないか、とは思います。

この事情での退場なら、仮にトリオ・ザ・捜一の一員ではなくても、
やがて成宮さんと年代の近い俳優がレギュラーに加わると思うのですが、どうなるでしょうか?


追記:『相棒14』 2016元日スペシャルに三浦刑事が降板以来初の再登場を果たしました。

Old Fashioned Club  月野景史

※画像はテレビ朝日『相棒12』公式サイトより引用
http://www.tv-asahi.co.jp/aibou_12/

2013年10月15日 (火)

【ドラマ】『相棒12』10月16日スタート/堺雅人『リーガルハイ』との対決は?

明日10月16日水曜日より人気ドラマシリーズ『相棒12』が始まります。

Aibou12

『相棒』シリーズ(テレビ朝日系)
水谷豊さん主演で、2000年に二時間ドラマとしてスタート。
2002年に連続ドラマ化され、
2003年以降は半年放送として半年休むという、アメリカ方式が定着しました。
明日からの新シリーズは、第12シーズンということになります。

水谷さんの“相棒”役は寺脇康文さん、及川光博さん、成宮寛貴さんと変わってきましたが、
視聴率は高値安定をキープ。
間違いなく、21世紀を代表する国民的人気長寿ドラマです。


さて、初回となる16日は、今クール話題のドラマとニアミス状態ながらガチ対決となります。
堺雅人さん主演の『リーガルハイ』。
こちらは先週からスタートしており、今週は第2話です。

本来、『相棒12』は21時、『リーガルハイ』は22時からの一時間番組なので、
ぶつかることはないのですが、
明日は『相棒12』が初回スペシャルで、20:00-22:09の放送のため、
番組表上は9分ダブることになります。

最後の9分だと、次回予告とCMだけのようにも思えますが、
でも大事なシーンも絡むようにも思えるし、
その時間不在で、どちらかしか録画できない環境の人にとっては悩ましいですね。
もちろん、両方とも観たい人に限っての話ですが。

Legal_high2

『リーガルハイ』(フジテレビ系)
このドラマは今回が2シーズン目です。
第1シーズンは2012年の4月から6月にかけて放送されましたが、
(その時のタイトルは『リーガル・ハイ』)
初回視聴率は12.2%、平均は12.5%なので、悪くもないが、
続編が作られるほどの好成績とも思えないですね。

堺雅人さんといえば、この春に主演したドラマ『半沢直樹』の最終回が、
平成のドラマ史上最高視聴率を記録しました。
国民的人気俳優の位置に躍り出たといっていいでしょう。
そして、『リーガル』の初回視聴率は、前シーズン平均を10ポイント近く上回る21.2%でした。

タイミングから考えれば、『半沢』の大ヒットを受けて、
『リーガルハイ』の続編が決まったのではないでしょう。
4月に『リーガル』の単発スペシャルが放送されていて、それが13.5%でした。
おそらく、そのまずまず結果を受けて、今回の続編が決まったのでしょうが、
7月スタートの『半沢』の想定外の大ヒットを受けた、いわば半沢効果で、
『リーガル』も好スタートを切ったということでしょう。

来週以降、時間はずれますが、国民的人気ドラマシリーズと、
国民的人気俳優主演ドラマの視聴率は注目を集めるでしょう。


実は『相棒』の視聴率は第9シーズンで20%越えしたのを頂点に、
第10シーズンは16.6%、第11シーズンはやや持ち直して17.3%ですが、
一時ほどの勢いはありません。

水谷さんの“相棒”役は若返ってきましたが、
レギュラー陣の変動は少なく、全体的に高齢化しています。
水谷さんと実年齢30歳差の三代目相棒、成宮さんも今シーズンが正念場でしょうか。

もっとも、どちらかといえば視聴率の変動が気になるのは『リーガルハイ』の方でしょう。
初回は半沢効果もあったでしょうが、堺さんの役もタイプが半沢直樹とは違うので。
初回の視聴者がそのまま付いて来るのか?
私は面白いと思いましたが。


人気ドラマが同日に時間をずらして並ぶのは、
視聴率の面では相乗効果が期待できて好条件のようにも思います。
ドラマのタイプが違うように思えますが、
実は事件捜査・謎解き物という点では共通するので、
私のように、毎週水曜はしばらく二時間連続でドラマの日だ、
と考えている人も少なくはないでしょう。


Old Fashioned Club  月野景史

2013年10月13日 (日)

【美術】日曜美術館10/13「「孤高の画家 夢を紡いで ギュスターヴ・モロー」/汐留で「モローとルオー」展も開催中

2013年10月13日放送のNHK『日曜美術館』のテーマは、
「孤高の画家  夢を紡いで ギュスターヴ・モロー」でした。
今回の番組は、この神秘と幻想の魅惑的な画家の入門編として、貴重な保存版でした。
見逃した方は、来週10月20日夜の再放送を是非チェックしてください。


ギュスターヴ・モロー
(Gustave Moreau, 1826年4月6日–1898年4月18日)
フランスの象徴主義の画家。
印象派の主要画家よりは少し年長。
作風は聖書や神話に題材をとった幻想的なもので、印象派とは一線を画します。

現在、東京のパナソニック 汐留ミュージアムでは、
展覧会「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」が開催中です。
ギュスターヴ・モローとジョルジョ・ルオーの展覧会です。

Moreau_001_2
『パルクの死の天使』


Moreau_002
『ユピテルとセメレ』
共に「モローとルオー」展にて公開中です。
今回の番組は、司会の井浦新さんと伊藤敏恵アナがこの会場を訪れての進行でした。


ギュスターヴ・モローのキャリアには二つの特徴があります。
ちょっと聞くと、それが相反するもののように思えておもしろいのです。

ひとつは、今回の番組のタイトルにもなっている「孤高の画家」。

元々はエコール・デ・ボザール(官立美術学校)で学んだ人で、
作品自体はある程度の評価はされていきましたが、
実家に経済的余裕があったこともあり
ある時期からは実家に引きこもって母親と暮らしながら、
作品をあまり公表することも売ることもなく、創作を続けました。
だから、「孤高」などと呼ばれるのです。

やがて母親も亡くなり、モロー自身も老境を迎えた64歳の年、
病に倒れた友人の代わりとして、モローは母校エコール・デ・ボザールの教師となります。

時は19世紀末の1892年。
美術の世界にも変革が押し寄せつつありますした。

そこに、19世紀の画壇にすらあまり馴染めなかった、
64歳の偏屈な画家が教師として教えに行って、若い学生達と合う筈がない…、
と思うのですが、さにあらず、モローは名教師としてその名を残し、
モローに育てられた、多く20世紀の画壇を彩った多くの芸術家を残しました。

「孤高の画家」と「名教師」、ふたつの相反するように思える顔を持っているのです。

ルオーはモロー教室の教え子の一人でした。
大変親密な関係の弟子であったとされます。
つまり、開催中の「モローとルオー」展は、師弟による展覧会なのです。

モローは生徒達に自分の画風を押し付けることなく、自由な発想を尊重したといいます。
他にモロー教室から育った画家として、20世紀を代表する巨匠マティスがいます。


番組でも紹介されましたが、
パリにあるギュスターヴ・モロー美術館は、モローが亡くなるまで暮らした家を改造したもので、
世界で初めての、国立の個人美術館として知られます。

構想はモローが生前から持っており、モローにより原型が作られました。
美術館としてオープンし、国立となるのはモロー死後のことです。
そして、その初代の館長を務めたのがルオーだったのです。

今回の番組のゲストは美術家の森村泰昌さん。
この方のモロー論が大変おもしろかったです。
なぜなら、私もまったく同じように感じたことがあるので。

メディアを通しての印象から、細密な絵を描く人だと思っていたが、
実際に作品を観ると、たしかにそういう面もあるけれど、
なにこれ、完成作? 制作途中でないの?? などと感じるような絵もあるのです。
開催中の展覧会にも、そんな絵も展示されています。


モローとルオー 聖なるものの継承と変容
パナソニック 汐留ミュージアム
12月10日まで
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/13/130907/

巡回
松本市美術館 12月20日~2014年3月23日


Old Fashioned Club  月野景史

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