【美術】日曜美術館10/13「「孤高の画家 夢を紡いで ギュスターヴ・モロー」/汐留で「モローとルオー」展も開催中
2013年10月13日放送のNHK『日曜美術館』のテーマは、
「孤高の画家 夢を紡いで ギュスターヴ・モロー」でした。
今回の番組は、この神秘と幻想の魅惑的な画家の入門編として、貴重な保存版でした。
見逃した方は、来週10月20日夜の再放送を是非チェックしてください。
ギュスターヴ・モロー
(Gustave Moreau, 1826年4月6日–1898年4月18日)
フランスの象徴主義の画家。
印象派の主要画家よりは少し年長。
作風は聖書や神話に題材をとった幻想的なもので、印象派とは一線を画します。
現在、東京のパナソニック 汐留ミュージアムでは、
展覧会「モローとルオー 聖なるものの継承と変容」が開催中です。
ギュスターヴ・モローとジョルジョ・ルオーの展覧会です。
『パルクの死の天使』
『ユピテルとセメレ』
共に「モローとルオー」展にて公開中です。
今回の番組は、司会の井浦新さんと伊藤敏恵アナがこの会場を訪れての進行でした。
ギュスターヴ・モローのキャリアには二つの特徴があります。
ちょっと聞くと、それが相反するもののように思えておもしろいのです。
ひとつは、今回の番組のタイトルにもなっている「孤高の画家」。
元々はエコール・デ・ボザール(官立美術学校)で学んだ人で、
作品自体はある程度の評価はされていきましたが、
実家に経済的余裕があったこともあり
ある時期からは実家に引きこもって母親と暮らしながら、
作品をあまり公表することも売ることもなく、創作を続けました。
だから、「孤高」などと呼ばれるのです。
やがて母親も亡くなり、モロー自身も老境を迎えた64歳の年、
病に倒れた友人の代わりとして、モローは母校エコール・デ・ボザールの教師となります。
時は19世紀末の1892年。
美術の世界にも変革が押し寄せつつありますした。
そこに、19世紀の画壇にすらあまり馴染めなかった、
64歳の偏屈な画家が教師として教えに行って、若い学生達と合う筈がない…、
と思うのですが、さにあらず、モローは名教師としてその名を残し、
モローに育てられた、多く20世紀の画壇を彩った多くの芸術家を残しました。
「孤高の画家」と「名教師」、ふたつの相反するように思える顔を持っているのです。
ルオーはモロー教室の教え子の一人でした。
大変親密な関係の弟子であったとされます。
つまり、開催中の「モローとルオー」展は、師弟による展覧会なのです。
モローは生徒達に自分の画風を押し付けることなく、自由な発想を尊重したといいます。
他にモロー教室から育った画家として、20世紀を代表する巨匠マティスがいます。
番組でも紹介されましたが、
パリにあるギュスターヴ・モロー美術館は、モローが亡くなるまで暮らした家を改造したもので、
世界で初めての、国立の個人美術館として知られます。
構想はモローが生前から持っており、モローにより原型が作られました。
美術館としてオープンし、国立となるのはモロー死後のことです。
そして、その初代の館長を務めたのがルオーだったのです。
今回の番組のゲストは美術家の森村泰昌さん。
この方のモロー論が大変おもしろかったです。
なぜなら、私もまったく同じように感じたことがあるので。
メディアを通しての印象から、細密な絵を描く人だと思っていたが、
実際に作品を観ると、たしかにそういう面もあるけれど、
なにこれ、完成作? 制作途中でないの?? などと感じるような絵もあるのです。
開催中の展覧会にも、そんな絵も展示されています。
モローとルオー 聖なるものの継承と変容
パナソニック 汐留ミュージアム
12月10日まで
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/13/130907/
巡回
松本市美術館 12月20日~2014年3月23日
Old Fashioned Club 月野景史
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