【美術】スーラ『グランド・ジャット島の日曜日の午後】7/27『美の巨人たち』/点描画法・新印象派の代表作
2013年7月27日放送のテレビ東京系『KIRIN~美の巨人たち~』のテーマ作「今週の一枚」は、
ジョルジュ・スーラ『グランド・ジャット島の日曜日の午後』(1884-1886年)でした。
セーヌ川に浮かぶ島、40人以上の人々が日曜日の午後を楽しんでいます。
輝くような明るい陽光の下に集う多くの人達、賑わいに溢れた風景・・・の筈なのに、
なぜかこの絵は静寂に満ちています。
そして、この絵をよく見ると、キャンバスの目と変わらないほどの、
小さな無数の点で描かれていることがわかります。
ジョルジュ・スーラ
(Georges Seurat 1859年12月2日 - 1891年3月29日)
スーラが生み出したこの「点描」というテクニックは、それまでの絵画を覆すものでした。
『グランド・ジャット島の日曜日の午後』は1886年5月の第8回印象派展(最後の印象派展)に出品されますが、
ルノワールやモネら印象派の画家たちは、「点描」によるこの絵は芸術ではない、と憤慨、
論争を巻き起こした…と、番組では解説しています。
このスーラを始祖とする、点描を駆使した画風は「新印象派」と呼ばれます。
スーラと、若くして亡くなった彼の後を継いだポール・シニャックが代表画家です。
そして、この『グランド・ジャット島の日曜日の午後』こそ、新印象派を代表する絵画です。
ただ、今回の番組ではなぜか、この呼び方はしていませんでした。
この絵に描かれたグランド・ジャット島は、パリ西部のセーヌ川に浮かぶ中州です。
現在では公園や閑静な住宅が広がる場所ですが、
19世紀後半にはまだパリ市街から遠く離れた田園の島であり、観光地でした。
スーラのみならず、多くの画家に描かれています。
スーラはこの一枚を、何十枚ものデッサンと習作を描き、
2年の歳月を費やし29歳のときに完成させました。
そして、その僅か2年後、彼は31歳の若さで亡くなります。
輝く色彩の鮮やかさと明るさ、そして神聖なる静寂。
現在、この絵はパリを離れ、シカゴ美術館の至宝となっています。
Old Fashioned Club 月野景史