【美術】ゴッホ『ゴーギャンの肘掛け椅子』7/13『美の巨人たち』/二人の天才画家の短い共同生活
2013年7月13日放送のテレビ東京系『KIRIN~美の巨人たち~』
テーマ作品「今週の一枚」は
フィンセント・ファン・ゴッホ『ゴーギャンの肘掛け椅子』(1888年)でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/130713/index.html
フィンセント・ファン・ゴッホとポール・ゴーギャン
美術史上の超有名画家二人による、有名な出来事。
“事件”といっても、いいかも知れません。
今回はそれがテーマといってもいい回でした。
ただ、番組では“事件”については、
登場人物同士の会話で簡単に述べられただけなので、
なにやら史実なのかフィクションか、解り難かったし、
深く突き詰めもしませんでした。
もちろん、本来の主役は『ゴーギャンの肘掛け椅子』という絵画なので、
事件を詳細に検証しなければいけないということもないのですが、
少し二人の関係を補足します。
20代後半で画家を目指したゴッホは、
1886年、33歳になる年にオランダから、芸術の都パリにやってきます。
パリには画商となっている弟テオがいたので、それを頼ってという面もありました。
しかし都会暮らしに合わなかったゴッホは、1888年2月に南仏のアルルに移住します。
彼はこの地を芸術家たちのユートピアにとようと考え、画家仲間達を誘いました。
特に、ユートピアのリーダーとしてゴッホが強く誘ったのがゴーギャンでした。
ゴーギャンもそれに応じ、同年10月にアルルを訪れたのです。
しかし二人の共同生活はわずか2ヵ月で終了してしまいます。
共に創作活動を行った二人ですが、やがて対立が強まり論争に明け暮れるようになります。
精神的にも病んでいったゴッホは、
発作的に自分の耳を切るという事件を起こしてしまうのです。
ゴーギャンは去り、ゴッホは療養生活に入ります。
ゴッホ『ゴーギャンの肘掛け椅子』
周囲のあらゆる人物の肖像画を描いたゴッホですが、
同じ夢を追い、共に暮らしたゴーギャンの肖像画はなぜか描いていません。
「今週の一枚」はゴーギャンの名が記された唯一の作品なのです。
本作には二人のアルルでの物語が色濃く映し出されています。
見たままを描くゴッホに対し、想像力を駆使し、画家としての個性を打ち出すゴーギャン。
見えないものを書く・・・。
『ゴーギャンの肘掛け椅子』はゴーギャンの影響の下に描かれた作品なのです。
そして、実はゴッホは自分の椅子も描いてました。
ゴーギャンの椅子と比べて、ずっと簡素なものです。
ゴッホは自分達二人の象徴として、それぞれの椅子を描いたのです。
ゴッホの生涯については拙文で概要をまとめています。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/120---bcbb.html
Old Fashioned Club 月野景史
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