【美術展】「ラファエロ | Raffaello 」国立西洋美術館/ルネサンス最大の画家 日本初の本格展
東京上野の国立西洋美術館にて6月2日まで、
「ラファエロ | Raffaello 」展が開催中です。
会期も残り一ヶ月となりました。
「ラファエロ | Raffaello」展
2013年3月2日(土)-6月2日(日)
午前9時30分~午後5時30分。金曜日は午後8時。入館は閉館の30分前まで。月曜休館
会場 国立西洋美術館
主催 国立西洋美術館、フィレンツェ文化財・美術館特別監督局、読売新聞社、日本テレビ放送網
後援 外務省、イタリア大使館
http://raffaello2013.com/
ルネサンス美術の巨匠、ラファエロ・サンツィオ。
今回は日本初となる本格回顧展と位置付けられています。
ラファエロ・サンツィオ
(Raffaello Sanzio 1483年4月6日 - 1520年4月6日 37歳没)
※付記 ラファエロについてはこちらに超入門を記しました。
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並び、
ルネサンスの三大巨匠と称されるラファエロ。
短い生涯にも関わらず、残した絵画作品は他の二人と比べて遥かに多いです。
名作と呼ばれる絵も多数あります。
にも関わらず、日本で本格個展は今まで開かれてきませんでした。
なぜでしょうか?
ラファエロは生前からローマ教皇庁の圧倒的な支持のもと、大いなる名声を博しました。
没後も、その作品は西洋絵画の規範(canon=カノン)となり、
現在に至るまで、欧州各国の大美術館の至宝となってきました。
アメリカにもごく僅かしかありません。
そのような状況でしたので、なかなか代表的な作品の欧州以外への貸出しは実現しなかったのです。
21世紀を迎え、早や2013年、ようやく日本における西洋美術の殿堂、
国立西洋美術館での開催が実現したのです。
他の地域への巡回予定はありません。
西洋絵画ファンの方は是非お見逃しなく。
『大公の聖母』(1505-6年)
本展の看板作品として来日・出展中。
ラファエロは「聖母子像の画家」と呼ばれています。
「聖母子画」とは、聖母マリアと幼いイエス・キリストを描いた絵のこと。
古くから信仰の対象として描かれてきましたが、
ラファエロは人間再生の時代ルネサンスを代表する画家に相応しく、
聖母子像に神聖さを残しながら、母の情愛、女性の美、幼児の可愛さといった、
人間的な魅力を両立させたのです。
本作はラファエロの聖母子画を代表する一枚。
18世紀末、トスカーナ大公のフェルディナンド3世が所有したことから、この名で知られます。
黒く塗られた背景から浮かび上がる聖母子の神々しさは至高の美です。
一方、この絵には色々と謎もあります。 ※その点はこちらを
『聖家族と仔羊』(1507年)
こちらは聖母子プラスアルファで「聖家族」です。
いうまでもなく左側の子羊にまたがる幼子がイエス、その右の女性が聖母マリアです。
では、右側のよぼよぼの老人は…?
マリアの夫、つまりイエスの父親であるヨセフです。
しかし、どう見ても赤ん坊に思えるイエスの父親にしては、少し年を取り過ぎていませんか?
おとうさんというよりはおじいさんですよね。
実はこの絵のように、ヨセフは老人の姿で描かれることが多いのです。
聖母マリアは処女のまま、イエスを身籠ったとされます。
老人姿のヨセフは、そのマリアの処女性の象徴なのです。
これだけヨボヨボなら、子どもが作れそうには見えませんものね。
そういう関係なので、ヨセフはイエスの「養父」「義父」と表現されるのが一般的です。
この絵についてはこちらにも記しています。
Old Fashioned Club 月野景史
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