【ドラマ】『池中玄太80キロ』第1シリーズ第9話/秀逸すぎるサイドストーリー
坂口良子さんの訃報に接し、
『池中玄太80キロ』第1シリーズ(1980年4月5日-6月28日 13回)について、
このブログに書きました。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/80-a6ee.html
後のシリーズよりも、三ヶ月だけ放送された、この第1シリーズがよかったと。
その第9話「お父さんは、いつ社長になるの?」(1980年5月31日放送)がネットにUPされています。
いつまで観れるかわかりませんし、埋め込みもできないようですが、
この回について、ちょっとだけ書きます。
この話は本放送の時から印象に残っています。
一般にも名作と位置付けられているかも知れませんが、
私はメインストーリーはちょっと大仰で、あまり好きではありません。
むしろ、玄太の昇進をめぐるサイドストーリーが好きなのです。
(サブタイトルからすれば、こちらの方がメインなのですが)
おもしろくて、でもちょっと切なくて、人情の機微の描き方が、
演出も、役者の演技も秀逸だと思うのです。
http://www.youtube.com/watch?v=q95GXyLHl10
簡単に話の流れを説明します。
玄太は、後輩の半ペラ(井上純一)から主任への昇格が内定していると聞かされ、有頂天になります。
しかし、実際に主任に決まったのは同僚のヒデ(三浦洋一)。
玄太とヒデは親友ですが、実は玄太の方がひとつ先輩。
上司の楠公さん(長門裕之)も、先輩で、三人の子どもを抱える玄太の方を先に、とも思いますが、
会社の決定に逆らえるわけもありません。
そんなことは知らない玄太は、浮かれかえって、ヒデに自分の昇進ことをほのめかしたりしています。
そして、映像の16分43秒あたりから。
楠公さんはヒデに昇進を伝えます。
最初は玄太も一緒かと思ったヒデですが、自分だけと知って断ると言い出します。
当然、楠公さんと言い合いにあり、掴み合い寸前で玄太が帰ってきて…。
この楠公さんとヒデのやりとりは秀逸です。
お互い相手の気持ちもわかる、会社の事情もわかる、
でも引けない、喧嘩さぜるをえない。おもしろくて、ちょっと切なくて・・・。
細かいことをいうと、ヒデは理由はわからないけど、
「玄太が自分が昇進するつもりでいるらしい」ことを知っています。
楠公さんはそれは知りません。
二人には微妙な温度差があります。
話を聞いて、ヒデはすぐに楠公さんに食ってかかりはしません。
頭のいい男なので、会社の人事だから、どうにもならないことはわかっています。
その上で、拒否を表明するという、自分に唯一できる行動に出たのです。
玄太の浮かれ方も極端で、それ故に二人のやりとりが引き立つ面もあります。
そして、長門裕之という人も、上手い役者でした。
Old Fashioned Club 月野景史
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