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2013年3月29日 (金)

坂口良子さん死去/ アイドルから大人の女優へ~代表作『池中玄太80キロ』のあまり語られない真実

訃報 女優の坂口良子さんが3月27日に亡くなりました。57歳。
坂口 良子(さかぐち りょうこ、1955年10月23日 - 2013年3月27日)
北海道余市郡余市町出身。

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坂口良子さんは女優として、10代からの長いキャリアがあります。
現在は愛娘の坂口杏里さんも女優・タレントとして活躍中。

その坂口良子さんですが、女優としての代表作となると、
やはりドラマ『池中玄太80キロ』(1980年~ )のヒロイン鳴山暁子役でしょう。
頭がよくて行動的、仕事が出来る、口も立つ。若いけれど大人の魅力的な女性。
このドラマのことを中心に、坂口さんについて書いてみます。

坂口良子さんは1971年、ミス・セブンティーンコンテストで優勝し、モデル活動を開始。
1972年、フジテレビのドラマ『アイちゃんが行く!』で主演デビューします。
このドラマは、昔は多かった、夜7時台の30分ものの実写ドラマです。
だいたい、子どもから若者がターゲット。
代表的なものだと、『奥さまは18歳』などもそうですが、
『アイちゃんが行く!』は、その中でも珍しい、ロードムービーのスタイルでした。
それほどのヒット作ともいえず、知っている人は多くはないかと思いますが。

当時17歳。アイドル女優といった位置づけでしょうか。
それから8年、『玄太』の始まる1980年は25歳、
さて大人の女優としてどうやっていくか、という岐路の時期だったかと思います。


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正確にはわかりませんが、だいたいこの時期のグラビアかと思います。セクシーですね。


『池中玄太80キロ』(1980年~ 日本テレビ)
続編シリーズ、スペシャルが後々まで制作される伝説的なドラマ。
番組から複数のヒット曲も生まれました。

ただ、最初は“穴埋め”、あるいはショートリリーフのような形で始まった番組でした。
といっても、そんなこと、おそらくどこにも書いてないと思います。
当時の雑誌の記事の記憶からの、私の推測です。
“穴埋め”とはどういう意味か? 坂口さんから少し離れ、この件を説明します。


このドラマの放送は日本テレビの土曜の21時。
この枠のドラマは普通2クール26回、つまり半年放送が基本でした。
一般的にも当時のドラマは2クールが当たり前、今のような1クール基本ではありませんでした。
しかし、『玄太』のファーストシリーズは、この枠としては異例の1クール13回でした。
なぜか?


『熱中時代』ブーム
水谷豊さんが小学校の教師を演じて主演、
大ヒットした『熱中時代』(1978年10月-79年3月)というドラマがありました。
続いて制作された『熱中時代 刑事編』(1979年4月-9月)もヒット。

翌1980年、その教師編の続編が待望されていました。
実は教師編は違ったのですが、刑事編はこの土曜21時の放送でした。
刑事編が1979年9月に終わり、10月からは桃井かおりさん主演のドラマが放送されていましたが、
その後に教師編の続編が放送されるのか、注目されていたのです。

そんな時、テレビ誌か週刊誌で、このような記事を読んだ記憶があります。
「局側は1980年4月のスタートを希望しているが、水谷さんサイドは7月を主張している。」
双方の希望に3ヶ月の差がある。さて、どうなるのだろう? と思っていました。

すると、4月から西田敏行さん主演の『玄太』が始まったのです。
そして3ヶ月で終了、
7月から『熱中時代』教師編のパート2が始まり、翌年3月まで続きました。

つまり、『玄太』は待望の『熱中時代』再開までをつなぐ、
窮余のショートリリーフ的なドラマだったのだろう、と思うのです。
西田敏行さんのような大物俳優がそんな仕事を受けるのか? という疑問もあるでしょうが、
この時期の西田さんは個性派俳優として人気上昇中でしたが、主演はこのドラマが初めてでした。
まだ発展途上で、穴埋めだろうと、ショートリリーフだろうと、ゴールデンタイムで主役を張るチャンスだったのです。


さて『玄太』が3ヶ月で終わった後、7月から待望の『熱中時代』教師編の続編がスタートしました。
しかし、学校が主舞台のドラマが、夏休みに入る7月スタートとは、ちょっと無理がありますね。
キャストもかなり変わっており、続編は前作ほどのヒットにはなりませんでした。
むしろ、穴埋め的に3ヶ月だけ放送された『玄太』の方が、記憶に残るドラマになったのです。

実際、『玄太』第1シリーズのオープニングの映像は、
ただ、ヘリコプターか飛行機から撮った地上の街並が流れるだけで、
手間もかかってないし、工夫も感じられません。

しかし、短期集中で作られたドラマの内容はパワフルでハートウォーミング、
子役からベテランまで、活きが良い演技で、心に残る傑作となりました。

そして、『熱中時代』の終了と入れ替って、翌1981年4月からは第2シリーズがスタート。
西田さんの歌う主題歌『もしもピアノが弾けたなら』がヒットしたのはこの時です。
その後もシリーズは続きますが、第1シリーズ以上のものではなかった、
というのが私の感想です。

基本的に1話完結のスタイルなので、同じことの繰り返しになってしまう面もあります。
色々あってギクシャクしている家族が、ある出来事を通じてひとつになってハッピーエンド。
・・・だったのに、次の回の冒頭では、またあまりうまくいっていない…という感じで。

やはり、第1シリーズが何事も新鮮でよかったです。改めて、振り返ってみます。


『池中玄太80キロ』(第1シリーズ)
1980年4月5日-6月28日 13回

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『池中玄太80キロ』の第1シリーズはどのようなドラマで、坂口良子さんはどんな役だったか、
ちょっと振り返ってみましょう。

西田敏行さん演じる池中玄太は通信社の写真部所属のカメラマン。
3人の娘を持つ未亡人(丘みつ子)と結婚するが、
新婦がすぐに亡くなってしまい、
玄太は、当然自分にまだ懐いていない三人の娘を育てることになるというストーリー。

坂口良子さんが演じた鳴山暁子は通信社の記者。
写真部所属の玄太とは部署は違いますが、
記者とカメラマンとして、一緒に仕事をすることが多いという関係。
(第2シリーズ以降は、異動の設定で関係が変わります。)
加えて、暁子の母親が玄太の自宅の大家さんという関係でもありました。

このドラマは、西田さんの上司の長門裕之さん、同僚の三浦洋一さんとの、
仕事をめぐる激しいやりとりも魅力でした。
二人とも亡くなりましたね。
特に三浦さんは、46歳の若さでした。

坂口さんは記者の立場で、年輩の写真部の連中と一歩もひかずやりとりする、
80年代以降、新しい時代のキャリアウーマンを象徴するような役柄でした。
かっこよかったですね。

OPクレジットは、西田→坂口→三浦という順なので、坂口さんはヒロインです。
三浦さん演じる前川秀也(ヒデ)は暁子に思いがあり、第1シリーズラスト近くで告白をするのですが、暁子は断ります。
暁子には玄太への秘めた思いがあるのですが、玄太はまったくそれに気づかず、という関係。
もちろん、上に書いたように、玄太は新婚まもなく奥さんを亡くしたばかりの設定なので、
暁子と簡単に恋愛関係になれる筈もなく、第1シリーズはこの件に決着をつけず、終了しました。
しかし、後のシリーズで玄太と暁子は結婚しています。

Sp1986
※1986年放送のスペシャル版より。玄太と暁子が結婚した後。
初期の販促物の画像は玄太と娘たちだけで、暁子は載ってないものが多いです。

『池中玄太80キロ』
1980年代の幕開けを爽やかに駆け抜けた、印象に残るドラマでした。


その後の坂口良子さんは女優として安定した活躍を続けましたが、
私生活では苦労もあったようですね。
謹んで哀悼の意を表します。


☆☆☆
坂口良子さん急死 女優、「池中玄太80キロ」 57歳
2013.3.29 07:26
ドラマや映画などで活躍した女優、坂口良子(さかぐち・りょうこ)さんが27日に死去していたことが28日、分かった。57歳だった。
今月12日には体調不良を伝える一部報道が出たのを受けて、自身のブログを更新。「昨年、腸閉塞(へいそく)を患い、それとほぼ同時期にインフルエンザから肺炎になってしまったりと、体調を少し崩しておりました」「現在は、栄養を補給する為、点滴等の治療をしながら、ゆっくりと静養しております」などと記していた。

坂口さんは北海道出身。昭和46年、「ミス・セブンティーンコンテスト」で優勝し、芸能界入り。モデル、女優として活動し、47年のドラマ「アイちゃんが行く!」で主演デビュー。「たんぽぽ」「前略おふくろ様」「池中玄太80キロ」などの人気ドラマや、映画「犬神家の一族」「人間の証明」などに次々と出演してきた。

私生活では61年に不動産会社社長と結婚し、1男1女をもうけたが、平成6年に離婚。平成24年(2012年)8月にプロゴルファーの尾崎健夫さんと結婚した。長女の坂口杏里さんはタレント。
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/130329/ent13032907280002-n1.htm
★★★


Old Fashioned Club  月野景史

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