【美術】中川一政『福浦突堤』2/16『美の巨人たち』/20年間ひたすら同じ場所で描き続けた画家
2013年2月16日放送のテレビ東京系『KIRIN~美の巨人たち~』、
テーマ作品「今週の一枚」は中川一政『福浦突堤』でした。
日本の近現代を生きた洋画家のお話です。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/130216/index.html
中川 一政
(なかがわ かずまさ、1893年2月14日 - 1991年2月5日)
東京都出身。洋画家、美術家、歌人、随筆家。
中川一政は、生涯で800枚以上もの薔薇の絵を描き、向田邦子の『あ・うん』の装丁も手掛けるなど、
昭和を代表する洋画家として活躍しました。
彼は子どもの頃から画家を夢見ていましたが、美術学校に通う余裕がある家ではありませんでした。
しかし、洋行帰りの知人から、高価な外国製の絵具をもらい、見よう見まねで初めて描いた油絵が、
新進画家の発表の場だった巽画会で入選、若い画家達のカリスマ的存在だった岸田劉生の目に留まり、
本格的に絵の道に進むことになりました。
周囲からも、新進気鋭の画家として持ち上げられたのですが、中川はそれに苦悩しました。
正式な美術教育も受けず、学ぶべき師も留学経験もない自分が、本当に画家として認められるのかと。
そんなコンプレックスを打破するために、中川は真鶴にアトリエを構えました。
既に50代半ば、戦後数年が経った頃です。
そして、突堤に立つこと20年。80枚も漁港を描き続け、その集大成となったのが、今週の一枚でした。
海から見た福浦港の風景か、観る者を圧倒する骨太な風景画です。
番組は、毎日同じ場所で描き続ける老画家を、地元の漁師夫婦の目で追う内容でした。
しかし、50代半ばから20年間同じ場所で同じ題材を描き続けたら、
それ画家としての最後のキャリアになりそうなものですが、
中川は真鶴を離れた後も97歳まで生き、晩年まで創作を続けました。
Old Fashioned Club 月野景史
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