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2013年1月22日 (火)

【美術展】「エル・グレコ展」東京都美術館/スペインで活躍したギリシャ人 異邦の画家の大型展

上野の東京都美術館で4月7日まで、「エル・グレコ展」が開催中です。

El_greco_000
エル・グレコ展
2013年1月19日(土)-4月7日(日)
東京都美術館

主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
後援:外務省、スペイン大使館
http://www.el-greco.jp

東京で今年開幕する西洋美術の大型展、その第一弾ですね。
既に昨年10月-12月、大阪の国立国際美術館で開催され、反響を呼びました。
待望の東京展です。


本展にはエル・グレコの油彩画50点以上が出品されます。
日本初公開の作品も数多く含まれ、
日本で開かれたエル・グレコの個展としては過去最大規模です。

先に書きますが、この画家は個性が強いので、
あまり好きでないという方もいるかも知れません。
しかし、これほどの本格回顧展は、日本に次いつ訪れるかわかりません。
特に、祭壇画の大作のスケールには圧倒されます。
これは是非観ておいていただきたい展覧会です。


エル・グレコ(El Greco、1541年 - 1614年4月7日)
現ギリシャ領のクレタ島、イラクリオン出身の画家。
スペインで活躍したマニエリスムの巨匠として知られます。

「エル・グレコ」の名は、イタリア語で「ギリシャ人」を意味するグレコに、
スペイン語の男性定冠詞エルがついた通称です。

ギリシャ人ですが、ギリシャではなく主にスペインで活躍した画家です。
異国の地で活躍したギリシャ人だからこそ、このような通称がついたのですね。


エル・グレコはその筆致や構図、色使いが独特で、初心でも見分けが容易な画家です。
初めて観る絵でも、「あっ、エル・グレコだ!」とわかる場合が多いと思います。
それほど特徴的なのです。

エル・グレコは母国ギリシャでイコン画家としてスタートした後、ヴェネツィアに渡ります。
そこで、ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠ティツィアーノに師事したか、
もしくはその周辺で学んだとされます。
詳しいことはわかりません。
ヴェネツィアに来たのが1567年前後とされますので、
1488年-90年頃の生まれとされるティツィアーノは当時80歳近くです。

画家は更にヴェネツィアの後、イタリア各地を回り、
ルネサンスの聖地ともいえるローマを経て、スペインに渡るのです。
これも正確に時期はわかりませんが、1576年頃、35歳の頃にはスペインにいたようです。

逆にいえば、画家はその前半生において、イタリア各地で修業していたということになります。

スペインに渡った理由も定かではないようです。
そこで王宮画家を目指しますが、これは挫折。
しかし、スペイン教会組織の本拠地であり、
宗教画を描くための芸術家が庇護された土地トレドに落ち着きます。

ここから異邦人画家「エル・グレコ」としての人生が始まりました。
この街で、画家は数多くの傑作を生み出していくのです。


さて、今回の展示構成は以下の通りです。

第1章-ⅰ肖像画家エル・グレコ
第1章-ⅱ肖像画としての聖人像 見えるものと見えないもの
第2章  クレタからイタリア、そしてスペインへ
第3章  トレドでの宗教画:説話と祈り
第4章  画家にして建築家 近代的芸術家の祭壇画制作

宗教画の印象の強いエル・グレコですが、
本展ではまず最初に肖像画の展示からスタートします。
エル・グレコはローマ時代から、肖像画家としての評価が高かったようです。
そして、“肖像画的に聖人画”と続きます。

第2章では、クレタからイタリア、そしてスペインへと、画家の軌跡を追って作品が紹介されます。
上で、「作風が独特で、初心でも見分けが容易な画家」との旨を書きましたが、
まだ初期で、それほど個性が強くない絵もあります。
エル・グレコによるものかどうか、評価が分かれる絵も含めて展示されています。

そして、第3章でトレドでの、画家らしい宗教画の数々が紹介され、
第4章がクライマックス、壮大なスケールの祭壇画達。
これは本当に圧倒されます。


El_greco_001
『無原罪のお宿り』 1607-1613年
サン・ニコラス教区聖堂(サンタ・クルス美術館寄託) 347×174cm 

本展の看板作品。エル・グレコ最晩年の最高傑作の一つです。
この絵は昨年、テレビ東京系『美の巨人たち』で紹介され、
このブログにも書かせてもらいました。

聖母マリアが原罪を免れて生まれたというカトリックの教義が主題です。
聖母が母の胎内に宿った時のことなので、
描かれた女性はマリアの母アンナかとも思えるのですが、
そうではなく、聖母自身が地上に降りてきたイメージです。
この点については以前のブログを参照してください。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/721-9723.html

会期末は4月7日、まだ充分時間はあります。
しかし、2月、3月と東京周辺でも次々と注目の展覧会が始まりますので、
行きそびれないよう、早めに行っておいた方がいいかも知れません。


Old Fashioned Club  月野景史

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