【カメラ】デジキャパ2月号は高級コンデジ大特集/せっかくの好企画なのにちょっと残念な面も
カメラ雑誌はなぜか毎月20日に一斉に書店に並びます。
数ある中で、最も初心者寄りのカメラ誌が学研の『デジキャパ』ではないかと思います。
実際、「いちばんわかりやすいデジカメ活用誌」と謳っています。
そのデジキャパ最新2月号の特集は「高級コンパクトデジタルカメラ」です。
「総力特集 まるごと1冊!
機種別の実力や使いこなし、アクセサリーやRAW現像までわかる!
悩ましき 高級コンパクトの誘惑」
http://capacamera.net/dcapa/contents/201302.html
私は主にソニーのα-Aマウントシリーズを使っています。
今のシステムは正確にいうと「デジタル一眼レフ」ではないのですが、
まぁミノルタ以来の伝統のある、“デジタル一眼レフタイプ”のカメラです。
今はカメラも本当に多様化しています。
いわゆる「ミラーレス一眼」というタイプのカメラを主要各社が出している上、
コンパクトデジタルカメラ(以下コンデジ)=つまりレンズ交換の出来ないカメラも、
様々なクラスのものが発売されています。
私は一眼を使っているので、コンデジはよくわかならいのですが、
レベルの高い機種も出てるようだし、人に訊かれることもあるので、
今回の特集は好都合、ちょっと勉強をと思い、購入しました。
ところが、たしかに役立つ特集なのですが、
ちょっとおかしなことをやっているのですよね。
せっかくの特集なのに、台無しじゃないか、とまで思ってしまう問題です。
それは何かといいますと…。
この特集の締めは、カメラマン、エディター4氏による座談会です。
そこで、司会役の人を除く3人が異口同音に、現行品でこれが一番と上げたコンデジは、
ソニーのサイバーショットRX100でした。
今の高級コンパクトの理想形であり、これからの基準的存在であるという論調です。
このRX100はプロ受けがいいだけではありません。
同誌に掲載されている売れ筋情報でも、コンデジ部門で7ヵ月連続1位です。
昨年6月発売のカメラなので、発売以来ずっとトップということですね。
実勢価格56.000円。一人勝ち状態の大ヒット商品です。
さて、それの何が問題かといいますと、
この高級コンデジ特集の巻頭部分は、各メーカーの主要8機種の徹底比較です。
このような特集では当然のメイン企画ですね。
ところがその8機種の中に、RX100が入ってないのです。
高級コンデジの基準形であると位置づけながら、比較をするにあたってその「基準」を
外してしまっているのです。
これは変ですよね。いったいなぜ???
実はこの徹底比較では、ソニーの製品としてRX100より後に出た「RX1」が取り上げられているのです。
なんだ、同じシリーズの新作が出ているのだったら、そっちが選ばれるのは当然では、
と思うかも知れませんね。
ですが、「RX100」と「RX1」は、名前は似ていても別次元のカメラなのです。
「高級」とはいってもそこはコンパクトデジカメ、RX100は上に記したように実勢価格56.000円、
比較される他のカメラも4万円台中心、一番高くて8万円台です。
しかし、RX1はコンパクトデジカメでありながら、プロ仕様一眼レフと同じフルサイズイメージセンサー搭載、
実勢価格248.000円! 本当の超高級コンデジなのです。
この約25万円のRX1を、4~5万円のコンデジと比較しても意味がない…とまではいいません、
どれだけ違うのか興味はあります。
しかし、その為にRX100を外してしまうとは、本末転倒ではないでしょうか。
センサーの話が出ましたが、座談会でRX100が高級コンデジの理想とされたひとつの理由は、
同機が採用している1型センサーによる面も大きいのです。
今、コンデジに採用されているセンサーの大きさは主に5サイズあり、
RX100の1型センサーは、ちょうどその真ん中の大きさなのです。
他の今回比較された機種に1型はありません。(たぶん現行品ではRX100の他にないのでしょう)
センサーサイズを基準にした比較という意味でも、RX100がキーになる筈だったと思うのです。
キヤノンのカメラは2機種入っているのだから、ソニー2機種でも良かったのにとも思います。
さて、今回は他に高級コンデジとデジタル一眼(レンズ交換式カメラ)との比較もありました。
そこにはRX100も登場し、ニコンのミラーレス機の最新商品であるニコン1 V2と比較されています。
なぜV2が対戦相手に選ばれたかというと、同じサイズの1型センサーを搭載しているからです。
比較結果は高感度性能も、低感度の細部描写も、RX100の勝ちということでした。
これ自体が驚くべきことともいえるのですが、
それよりもこの結果を聞いたら余計に、RX100と他のコンデジとの比較が見たかったです。
と、せっかくの良い特集なのに、不満ばかり書いて心苦しいのですが。
このような特集は他にもされているだろうから、
今回意に添わなかったからといって、騒ぐこともないかも知れませんけど。
徹底比較に登場した機種を挙げておきます。
最新モデル徹底実力診断!
●オリンパス スタイラスXZ-2
●キヤノン パワーショットG15 / S110
●シグマ DP2 メリル / DP1 メリル
●ソニー サイバーショットRX1
●ニコン クールピクスP7700
●パナソニック ルミックスLX7
●フジフイルム XF1
7メーカー9機種ありますが、シグマのDP1 メリルは実際には比較されていません。
また、高級コンデジとデジタル一眼の比較では、他にも興味深い結果が出ています。
興味のある方は本誌をご覧ください。
★★★
蛇足です。
他のカメラ誌同様、デジキャパにも誌上フォトコンテストがあります。
本誌は初心者・初級者向けとあってか、応募者の使用しているカメラも、
コンデジ、ミラーレス、一眼レフでもエントリー機(入門機)、少し古いカメラなど、
親しみ易い(?)機種も並んでいます。
私が普段持ち歩いているソニーα55(エントリー機、既に生産終了)も、
今回のフォトコンではお二方が使用して入選されていました。
発売時には激しい賛否があったカメラですが、しっかり使い込んで良い写真を撮っている方もいるのですね。
まったく、写真の出来が悪いのをカメラのせいにはできません。
ただ、今回の金賞作品は、昨年のオリンピックに合わせてキヤノンが発売した
プロ仕様のデジタル一眼レフと高級望遠レンズという、最上級の組み合わせでした。
買ったらざっと80万円というところでしょうか。
たしかに素晴らしい写真でした。
苦労して撮られたのだと思います。
高級カメラとレンズがありさえすれば、良い写真が撮れるわけでもありません。
しかし、何もデジキャパに応募しなくても…、
また、デジキャパが選ばなくても…、
とは思ってしまいますね。
別に応募に当たっての基準があるわけでもないし、
作ろうとしても難しいのはわかりますが。
Old Fashioned Club 月野景史
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