【美術】カラヴァッジョ『エマオの晩餐』 12/1『美の巨人たち』/バロック革命児の光と影を再現
2012年12月1日放送のテレビ東京系『KIRIN~美の巨人たち~』テーマ作品「今週の一枚」は
カラヴァッジョ『エマオの晩餐』(1601年)でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/121201/index.html
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
(Michelangelo Merisi da Caravaggio、1571年9月28日 - 1610年7月18日)
以前紹介しましたが、カラヴァッジョは私のプロフィール画像に使わせてもらっている
アモルの絵の作者です。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-d785.html
16世紀末から17世紀初頭、ナポリやローマなどで活躍したイタリアの画家。
いわゆるバロック絵画の時代を切り開いた、革命的な天才。
その革新性故に忌避されることもありましたが、
それでもその才能は認められ、若くして名声を得ていました。
しかし、その美しい絵からは信じられないことですが、
私生活は暴虐・無頼、喧嘩に明け暮れる日々。
拘置所送りを繰り返した後、遂に決闘で相手を殺してしまい、
1606年にローマを離れ、逃亡の果てに熱病で亡くなりました。
1610年没。38歳。
『エマオの晩餐』(1601年)
聖書の中にある画題。
処刑後、復活したイエス・キリストが、弟子達の前に現れるシーンを描いています。
時系列でいうと、「最後の晩餐」よりも後ですね。
エマオという土地の宿屋を舞台にした奇跡の場面。4人の男が食卓を囲んでいます。
画面中央には、磔にされた後復活したキリスト。
その左隣に立つのは宿屋の主人で、残りの2人はキリストの弟子たちです。
弟子たちは手を広げ、身を乗り出して驚いています。
目の前の男が復活したキリストだと、この時初めて気付いたからです。
幾つもの光が画面を交差し、その陰影が人物の表情やモノの存在感を一層引き立てます。
カラヴァッジョが描き出した鮮烈な光と影。
彼は劇的な「光」と「影」で誰も見たことのない宗教画を描き、
17世紀の絵画の世界に革命を起こした画家です。
いわゆるバロック絵画の時代を切り開いたのでした。
今回の番組は、そのカラヴァッジョの「光と影」の魔術を、
実際に再現しようという試みがメインでした。
イタリア一の名門映画撮影所「チネチッタ」において、
絵に描かれた通りのセットを組み、衣装を着た人物を配置して、写真を撮影しようというのです。
いつものようなコミカルな演出はなく、ドキュメンタリタッチの構成でした。
カリヴァッジョは強調したい箇所を明るく照らしています。
スポットライトを当てるように。
それを再現するには一方向からでは無理。
苦心の末に、三方向からの光で、絵に近い陰影が再現されました。
最後の課題となったのは、イエスの背後の壁の影。
これは左に立つ宿屋の主人の影です。
この意味は?
カラヴァッジョは聖人達の姿をリアルに描いたことが大きな特徴です。
そのため、聖人達の象徴である光輪が描かれていません。
この影は光輪の代わりである、というのが番組の解釈でした。
Old Fashioned Club 月野景史
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