喪中はがきが届いたらどうします? 年賀状か寒中見舞か、何もしないか
喪中はがき(年賀欠礼の挨拶)がちらほら届く時期となりました。
一昔前は友人・知人・同僚・取引先の人の親御さんが亡くなると、
通夜・告別式に出向くことが多かったですが、
この10年ほどでしょうか、葬儀を本当の身内だけで済ます傾向が進んだようで、
喪中はがきを受け取って初めて、不幸を知ることが増えたように思います。
さて、その喪中はがきについてです。
喪中はがきが届いた場合、こちらからも年賀状は送らないもの。
それが当たり前だと思っていました。
しかし、そうではないとの説がネットにありました。
以下、サイト「発言小町」から引用させてもらいます。
☆☆☆
喪中はがきというのは、「喪中だから年賀状を送ってこないでください」という意味で出すと
思っている人が多いように思います。が、それは間違いです。
喪中はがきとは、
「本来であれば、あなたに新年のお祝いを申し上げるところですが、
当方喪中につき、お祝いを申し上げられません。失礼をお許しください」
という意味で出すもの。あくまで出す側の意志を伝えるはがきなのです。
ですから、喪中の人に年賀状を出すのはまったく問題ありません。
http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2011/1126/463758.htm
★★★
なるほど!
これは知らなかった、驚いた、勉強になりました。
では、喪中葉書をいただいても、こちらから年賀状を出していいのか!
…と思ったのですが、
やはりもう少し確認せねばと、この説の真偽をネットで調べてみましたが、
これは必ずしも断定はできなさそうです。
今は便利な時代で、こういう難問もネットで調べれば、
「本来はこうだ。」
「今は一般的にこうなっている。」
といった状況がだいたい判るものです。
しかし、この件はハッキリしたアンサーがどうもよくみえてきません。
改めて、発言小町から引用した説についてですが、冷静に考えると二つ問題があります。
①本来の意と一般の理解
仮にこの説が、本来の喪中はがきのあり方としては正しかったとしましょう。
だとして、世の中には私と同じように認識している人も多いように思います。
そして、送り主自身も「年賀状を送らないでください」という挨拶の気持ちで、
喪中はがきを送っている場合も多いと思うのです。
それなのに、「なんだ、送ってもいいのか」と送ってしまったら、非礼・非常識な人間と思われ、
余計な軋轢を生んでしまう可能性もあるかと思います。
そして、そのような誤解が生じてしまったとして、それを解くのもまた難しそうです。
年賀状を受け取った方も、非礼だと思っても、あえて指摘まではしない事も多そうですし。
本来はどうであれ、一般にどう認識されているかはまた別。
引用文にある「まったく問題ありません」では済まされません。
さてこの点は、本来はどうで、一般にどう認識されているか、ということなのですが、
もっと根本的な疑問もあります。
②「不幸がありました」と言ってきた相手に「おめでとう」と返すか?
年賀状にはほぼ例外なく、
「あけましておめでとうございます。」
「謹んで新年のお祝いを申し上げます。」
といったお祝いの言葉が入りますね…というか、それがメインですよね。
それが“年賀状”というものでしょう。
しかし、「私は喪中なので(=身内が亡くなったので)、お祝いの挨拶が出来ません。」
と宣言してきた相手に対して、「おめでとうございます」とお祝いの言葉を送るのが、問題ないことなのでしょうか?
どうもしっくりきません。
寒中見舞
ネット上では、喪中はがきをいただいたら、寒中見舞いを返すもの、との説もあります。
上に挙げた②の問題点は、これなら解決します。
ただ、喪中はがきには寒中見舞いを返すのが礼儀として決まり事になっているのでしょうか?
だとすれば、何も返さない=年賀状を出さないでは非礼ということになりますよね。
これは習慣化して、皆必ずしているのでしょうか?
必ずしも、そこまで定着してはいないようにも思えます。
調べてみても、「喪中はがきには寒中見舞いを返す」というルールは決まり事にはなっていないようです。
そもそも本来、寒中見舞いはそのような用途の為にあるものではなく、
二十四節気の小寒(1月5日頃)から立春(2月4日頃)までの寒中に行う見舞いです。
夏の暑中見舞い、残暑見舞いと同様の主旨です。
寒中見舞いは、喪中はがきを送らなかった相手から年賀状が届いてしまった場合、
その返礼として送る用途の方が、比較的古くからあったようにも思います。
さて、今や何か調べようと思えばまずWikipedia。
参考にWikiから引用しておきます。
☆☆☆
喪中欠礼
喪に服している人(1年以内に身内を亡くした人)からは年賀状を出さない風習があり、その場合に年内に「喪中であるので年賀のご挨拶を遠慮する」旨の葉書を出すことが多い。元々は、明治・大正期に皇室の大喪に対し年賀欠礼を行っていた習慣が、昭和期に年賀状の普及に伴い、一般家庭の喪中でも年賀欠礼の挨拶状を出すように風習として定着し、現在に至っている。 喪中欠礼の挨拶状は、郵便はがきではなく私製葉書に切手(弔事用、花輪やアシの模様など)を貼って出すことが多かったが最近ではパソコンや家庭用プリンターの普及により、郵便ハガキを用いることも多い。また、一般的には印刷業者などに発注する場合も多い。
喪中の葉書を送ってきた人の家には年賀状を出さない方が良いとされているが、実際には年賀状を送っても失礼には当たらない。これは、喪中「欠礼」という言葉の示すとおり、「年賀の挨拶をお断りします」というよりは、「自分の家は今年は忌中なので年賀のあいさつができなくて申し訳ありません」という意味、すなわち年賀状は新年をめでたく迎えたことを祝うための手紙であり、前年に身内が亡くなった=めでたく新年を迎えられなかったからである。(昨今では喪中の家に年賀状を出すのは失礼という人もいる。一般的には寒中御見舞いのはがきを出すことが多い。最近は家族葬が一般化し、親しい間柄にも拘わらず故人の死を年末になって知るケースが増え、遅い香典を送るより贈答用線香などを送り、弔意を表す人も増加傾向にある。)
とは言え、喪中欠礼を完全に周知させることは難しく、年賀状が少なからず届くことがある。この場合は「寒中見舞い」として返事を出すことになる。
★★★
Wikipediaの記述もややこしいです。
しかし、本来喪中はがきをいただいた相手に年賀状を送っても良いものではあるようです。
つまりこの問題は、
一般に本来の意味とは違う理解がされてしまっている、事象なのでしょう。
本項での結論としては、喪中はがきをもらった相手に年賀状を送るのは、
たとえ本来間違いではないとしても、誤解を招く恐れがあり、避けた方がいいように思えます。
しかし、ただ出さないだけでは一方通行で終わってしまう。
そうなってしまいたくない相手には、寒中見舞いを活用し、正月明けに送る。
これが無難な選択のように思えます。
Old Fashioned Club 月野景史
Old Fashioned Club 月野景史
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