【美術】ドガ『ダンス教室』11/3『美の巨人たち』/陽光を好まずバレエに拘った印象派の巨匠
2012年11月3日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』、
テーマ作品「今日の一枚」はエドガー・ドガ 『ダンス教室』(1873-1876年)でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/121103/index.html
エドガー(エドガール)・ドガ
(Edgar Degas 1834年7月19日 - 1917年9月27日)
フランスの印象派の画家。
モネ、ルノワールらと並ぶビッグネームです。
もちろん、印象派展にも出品しています。
しかし、ドガは印象派といわれても、ちょっと違うようにも思えます。
そう、印象派特有の明るく、こぼれるような陽光のイメージがないのです。
実際、印象派の画家たちは野外にイーゼルを立て、
一瞬の光をキャンバスに捉えようと様々な表現を試みましたが、
ドガは彼らのように屋外での写生は行わず、
またキャンバスに直接描くということをしませんでした。
気に入ったモチーフが見つかると、とにかくデッサンを重ねたのです。
今回の番組は、そんな印象派からすれば異端児であるドガを、
印象派の象徴ともいえるモネ、ルノワール、シスレーが色々と批評するという流れで展開しました。
モネらにドガを批判的に語らせることにより、彼らとは異なるドガの個性を浮き彫りにしたのですね。
エドガー・ドガ作『ダンス教室』』(1873-1876年)
パリ、オペラ座の華やかな舞台ではなく、バレエの練習風景を描いた作品です。
画面中央の初老のバレエ教師は、実は大御所の名ダンサーです。
ところが、その指導を熱心に聞いている踊り子は、ごくわずか。
少女たちは勝手気ままな仕草で、いかにもリラックスした様子をしているのです。
そして、本当にそれぞれ様々な表情、様々な仕草をしています。
どう考えても、同じ場所、同じ時間でレッスンを受けているにしては、バラバラすぎます。
そう、ひとつのレッスンの場を舞台にしてはいますが、
この絵はドガが「踊り子」をテーマとした描いた様々な光景の集成なのです。
…というのが、番組の解釈でした。
もうひとつ興味深いのが「バレエ」の位置づけです。
日本人からすると、「良家の子女のお稽古事」というイメージがあると思いますが、
当時のフランスではバレリーナ達は下層の出、蔑まれていたといいます。
これは今回の番組に限らず、ドガを語る際によくいわれますね。
Old Fashioned Club 月野景史
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