【美術展】「藤田嗣治と愛書都市パリ」松濤美術館/藤田とエコール・ド・パリの画家達の挿画集
東京渋谷区の松濤美術館において9月9日まで、
「藤田嗣治と愛書都市パリ -花ひらく挿絵本の世紀-」展が開催中です。
藤田嗣治と愛書都市パリ -花ひらく挿絵本の世紀-
Tsuguharu Foujita and Illustrated Books in 20 Century Paris
2012年7月31日(火)-9月9日(日)
渋谷区立松濤美術館
会期も残り一週間ほどとなりました。
藤田嗣治 レオナール・フジタ
(ふじた つぐはる、Léonard Foujita 1886年11月27日 – 1968年1月29日)
エコール・ド・パリの画家。
芸術の都、フランスはパリで大きな成功を収めた日本人画家。
乳白色の美しい裸身で描かれた女性像の印象が最も強いでしょうが、それだけではありません。
6月には藤田が秋田の生活と祭りを描いた大作『秋田の行事』が、
テレビ東京系『美の巨人たち』で取り上げられ、このブログでも紹介しました。
また、つい先日はNHKの『日曜美術館』で藤田の戦争画が取り上げられました。
戦争画に邁進する画家の姿は、乳白色のイメージとは異なるものでした。
長い画業で、そんないくつもの顔を持つ藤田嗣治。
本展はその挿画にスポットを当てています。
ヨーロッパにおける挿絵本の歴史は古く、書物としての価値だけでなく、
芸術作品として一つのジャンルを形成しています。
各時代、画家が本の内容に自らの解釈とイメージによる挿絵を描き、
文字と一体化した美しい挿絵本を生み出してきました。
藤田嗣治がパリに渡った1913年は、こうした挿絵本興隆の時代のさなかにありました。
パリ画壇で頭角を現し始めた藤田は、サロン・ドートンヌの会員に推挙された1919年、
最初の挿絵本《詩数篇》を手がけます。
後に「すばらしき乳白色の地」と絶賛される画風により一躍パリ画壇で揺るぎない地位を確立すると共に、
挿絵本制作にも精力的に取り組み始めます。
1920年代には30点以上の挿絵本を手がけました。
あのピカソでさえその半数に及ばなかったといいます。
本展では藤田のその時代のものだけでなく、後年の作品も合わせた挿画に加えて、
油彩画なども展示されています。
更に実は本展は藤田の作品だけの展示ではありません。
同時代の画家達の挿画や、一部油彩画も展示されています。
シャガール、パスキン、キスリング、ローランサン、
藤田と同じエコール・ド・パリの画家たちが中心ですが、
それ以外の画家の作品もあります。
なかなか多彩な展覧会です。
入場料300円、コストパフォーマンスも高し。
しかし、前にも同じようなことを書いたのですが、
この美術館は展覧会のタイトルのつけ方がどうもよくないです。
「藤田嗣治と愛書都市パリ -花ひらく挿絵本の世紀-」
おしゃれで素敵な感じはするのですが、
これだと藤田の作品のみ、それも色彩感の乏しい挿絵だけの、
資料的な展示のイメージを与えてしまうように思います。
実際はそうではないだけに残念です。
アンケート箱があったので、そのあたりを指摘させてもらおうと思ったのですが、
用紙切れでした。
名刺の裏に書いて入れてきましたが(笑)
Old Fashioned Club 月野景史
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