【美術】『サモトラケのニケ』9/15放送『美の巨人たち』/永い眠りから醒めた顔のない勝利の女神
一昨日、9月15日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』テーマ作品は、
パリ、ルーヴル美術館所蔵の彫像『サモトラケのニケ』でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/120915/index.html
『サモトラケのニケ』(紀元前220-185年頃)
「サモトラケのニケ」とはなんでしょう?
「ニケ」はギリシア神話に登場する女神の名。
「サモトラケ」はこの像が発見された島の名。サモトラケ島です。
つまり、『ミロのヴィーナス』(ミロス島のヴィーナス像)と同様のネーミングです。
ニケ(ニーケー 古典ギリシア語: Νίκη, Nīkē) は勝利の女神。
天使のような羽を持っています。
英語だと「Nike」。そう、あの超有名企業の社名の由来です。
ローマ神話ではヴィクトーリア (Victōria) 。victory=勝利ですね。
しかし、ヴィーナスと違って、この女神を描いた絵画はあまり思い浮かびませんね。
サモトラケ島はギリシャ北東に位置する小島。
『サモトラケのニケ』は1863年、この地で考古学マニアだったフランス人外交官により発見しました。
しかし最初に見つかったのは胸から下の胴体と左の翼、それに幾つかの破片だけでした。
つまり頭部がなかったのです。
これは単に埋もれた遺跡だから見つからなかった、というわけではありません。
古代ギリシア時代が終わり、ローマ帝国の時代になってキリスト教が広まると、
異教となったギリシャ神殿は破壊、神々の像は顔を削られ、首や手を切り落とされてしまいました。
サモトラケ島のニケ像も同様だったのです。
しかし、そのような姿であっても、人々を魅了する優美さを失っていません。
凄いことです。
とはいえ、やはり気になるのは本来のニケの姿です。
番組ではニケの実像を求めての歴史が振り返られました。
今回の番組でひとつ感じたことがあります。
長いこと土に埋もれ、近世になって発見された、いわば古代の遺物にしては、
随分その来歴が定かのように思えました。
記録が残っているのかと思ったのですが、
Wikipediaによれば、この像について記された文献は現存しないそうです。
考古学的検証からの推論のようです。
Old Fashioned Club 月野景史
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