【美術】カラヴァッジョ『勝ち誇るアモル』/無頼なる大画家の愛らしき傑作
このブログを始めて以来、プロフィール用に使わせてもらっている画像。
元絵はカラヴァッジョの『勝ち誇るアモル』です。
この絵についても、カラヴァッジョについても、まだ書いたことがありませんでした。
もちろん、好きな画家ですが、書くのが難しく感じるのです。
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ
(Michelangelo Merisi da Caravaggio、1571年9月28日 - 1610年7月18日)
16世紀末から17世紀初頭、ナポリやローマなどで活躍したイタリアの画家。
いわゆるバロック絵画の時代を切り開いた、革命的な天才。
その革新性故に忌避されることもありましたが、
それでもその才能は認められ、若くして名声を得ていました。
しかし、その美しい絵からは信じられないことですが、
私生活は暴虐・無頼、喧嘩に明け暮れる日々。
拘置所送りを繰り返した後、遂に決闘で相手を殺してしまい、
1606年にローマを離れ、逃亡の果てに熱病で亡くなりました。
1610年没。38歳。
西洋美術史上でも、超大物に属する画家の中では、屈指の無頼漢だったのです。
『勝ち誇るアモル』(Amor Vincit Omnia)1601年-1602年
『アモルの勝利』『愛の勝利』とも
これが全体像です。
アモル=クピド(キューピット)はローマ神話の愛の神。
ヴィーナスと軍神マルスの息子で、弓矢で男女を結びつける神として知られています。
もう少し幼い天使のような姿を、イメージする人が多いかも知れません。
ギリシア神話でいうと、エロスにあたりますが、このあたりはややこしいですね。
この絵のアモルは、愛らしくも蠱惑的です。
少年や青年を艶めかい肢体で描くのも、カラヴァッジョの特徴です。
さて、「アモルの勝利」…彼は何に勝ち誇っているのでしょう。
アモルの足元に何やら色々散らばっていますね。
鎧、王冠、直角定規とコンパス、バイオリンとリュート、ペンと楽譜…。
これらは武力、学術、音楽、文学などを象徴しています。
広義でいうところの、人間の創造した文化ですね。
それらを足元に配し、勝ち誇るアモル。
愛(アモル)はすべてに勝る。
「愛は勝つ」
やや短絡的にまとめれば、そういうことでしょう。
しかし、このような愛らしく美しい絵を描いた画家が、そんなにも無頼の男だったとは。
レオナルドやフェルメールに劣らず、カラヴァッジョの謎も深いのです。
Old Fashioned Club 月野景史
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