スペイン教会画の老婦人による修復に賛否両論!?/美術に関する困ったニュース
絵画に纏わる、なんとも困ったニュースがネットで流れました。
スペインの教会にあるキリスト絵画を80歳の女性が修復したところ、
オリジナルとは似ても似つかぬものとなってしまったことで、
「世界最悪の絵画修復」とやゆされているというのです。
http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2896985/9404690
*追記 この件の続報はこちら
問題の女性はセシリア・ヒメネス(Cecilia Gimenez)さん。
ヒメネスさんが「修復」した絵とは、北東部ボルハ(Borja)の教会にある、
スペイン人画家エリアス・ガルシア・マルティネス(Elias Garcia Martinez)が
1910年に描いた『Ecce Homo(この人を見よ)』。
キリスト教絵画ではよく描かれる画題です。
いばらの冠をかぶせられ悲しげに天を見上げるイエス・キリストを描いたこの絵も、
年月とともに傷みが目立ち始めていました。
そこでヒメネスさんが自主的に修復を試みた結果が、この通りです。
左がオリジナル、中央が痛みが目立つ「修復」前、右が老婦人による「修復」後。
どうですか?
顔は血色の悪いサルのようで、目鼻立ちはバランスが悪く、
さらには頭を毛皮が覆っているような姿となってしまっていると、
多くの苦情が寄せられたとそうです。
その一方で、この修復画は世界各地のネットユーザーたちに笑いのネタを提供し、
様々なパロディも生んでいるようです。
まぁ、今のネット社会では、当然そうなるでしょうが。
さらに、ヒメネスさんの修復画をゴヤやムンク、モディリアニらの名画に例え、
ボルハ市に原画を復元する計画を思いとどまるよう求めるオンライン嘆願書には、
5000人もの署名が集まったとのこと。
ゴヤはどうかと思いますが、たしかに近現代絵画の名画に似た筆致といえなくもないです。
しかし、元の絵を描いたマルティネスの孫に当たるテレサ・ガルシアさんは、
ヒメネスさんによる修復には全く感銘しておらず、不満を語ったといいます。
それも当然でしょう。
ヒメネスさんのこの教会の会員で、まったくの善意でやったことといいます。
しかし、この教会との関係が今ひとつわかりません。
教会側は“修復”中に何も言わなかったのでしようか?
ヒメネスさんは、絵についてはまったくの素人とも、自称画家ともありますが、
これは老人問題ともいえ、難しいですね。
Old Fashioned Club 月野景史
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