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2012年8月14日 (火)

【美術展】「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」Bunkamuraザ・ミュージアム/近代ロシア絵画の巨匠、日本初の本格回顧展

東京渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムにて10月8日まで、
「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」が開催中です。

Repin_000
国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展
2012年8月4日(土)-10月8日(月)
Bunkamuraザ・ミュージアム

主催 Bunkamura
後援 ロシア連邦外務省 ロシア連邦文化省 在日ロシア連邦大使館 ロシア連邦文化協力庁 ロシア文化フェスティバル組織委員会

西洋絵画のユニークな企画展を次々開催してくれる渋谷む文化村のザ・ミュージアム、
今回は近代ロシア絵画の巨匠、レーピンの日本初の本格的な個展です。
東京展の後は、浜松、姫路、神奈川の葉山に巡回予定です。


イリヤ・レーピン
(Ilya Yefimovich Repin 1844年8月5日– 1930年9月29日)

19世紀後半から20世紀初頭の混沌としたロシアを生きた画家レーピン。
近代ロシア絵画を代表するリアリズムの旗手として活躍しました。
社会的矛盾を糾弾する作品や、革命運動をテーマにした作品を発表して名声を得る一方、
ロシアの民族精神を鼓舞する歴史画の大作や、深い洞察力で文化人等を描いた肖像画の傑作を
描いた画家としても知られています。
更にポスターに使われている作品のように、家族らを描いた心温まる作品にも注目したい画家です。

本展はロシア美術の殿堂であり、世界最大のレーピンコレクションを誇るモスクワの
国立トレチャコフ美術館より、初期から晩年に至る様々なジャンルの油彩画と素描約80点により構成される、
過去最大の本格的なレーピン回顧展です。

以上、展覧会公式サイトよりレーピンについて抜粋してみましたが、
ロシアの画家といわれても、なかなかイメージし難い方も多いでしょう。

ウクライナで生まれ、順調に画業の道を進んでいたレーピン、
展覧会で賞として勝ち取り、保留していた海外留学の権利を行使して、
1873年から1876年まで、イタリアを経て、フランスのパリで過ごします。
既に30歳になろうとする頃で、それなりの実績を積んで後の話です。

1874年にはパリで第一回の印象派展が開催されています。
レーピンは最初はそうでもなかったようですが、
やがて印象派に対しても肯定的な見方をするようになったようです。
そんな時代のパリで過ごした…、と聞くと、少し親しみが湧きますね。

ただし、その後はロシアに腰を落ち着け、ロシアを代表する画家として生きた人です。


本展は以下のような展示構成です。

1 美術アカデミーと『ヴォルガの船曳き』
2 パリ留学:西欧絵画との出会い
3 故郷チュグーエフとモスクワ
4 「移動派」の旗手として:サンクト・ペテルブルク
5 次世代の導き手として:美術アカデミーのレーピン


まずは、あえてくだけた言い方で、本展の魅力を伝えようとするなら、
バラエティに富んだ楽しい展覧会だといっていいと思います。

動乱の時代ならではの、緊張感溢れる、社会性の強い絵、
労働者、庶民の姿をリアルに描いた絵から、
家族を描いた心休まる絵、
著名人や名士、美しい女性を描いた魅力的な肖像画、
印象派を思わせる風景画、
それぞれに魅力的です。
そして、圧倒されるような作品もあります。

いくつか、年代順に紹介していきます。


Repin_004
『あぜ道にて―畝を歩くヴェーラ・レーピナと子どもたち』 1879年
パリから戻って3年ほど後の作品。
モネを思わせます。家族を描いているところも同様ですね。


Repin_001
『休息―妻ヴェーラ・レーピナの肖像』 1882年
本展の看板作品。
モデルに疲れて眠ってしまった妻を描いたともいわれます。
観ている方まで心安らぎますね。


Repin_002
『思いがけなく』1884-1888年
なにが「思いがけない」のか、ちょっと見ただけでは主題がわかり難い絵ですが、
革命家の、突然の生家への帰還がイメージされているようです。
「思いがけない帰宅」ということでしょうか。
動乱の時代ならでは、そう捉えると、緊張感漂うなかなか凄い絵です。



Repin_003
『トルコのスルタンに手紙を書くザポロージャのコサック』習作 1880-1890年
同じテーマを描いた有名作があり、本作のその「習作」にあたるのですが、
習作にしてこの豊かな人物描写には圧倒されます。



Repin_005
『日向で―娘ナジェージダ・レーピナの肖像』 1900年
美しく成長した娘を描いた作品。
画家自身も円熟期
しかしながら、ナジェージダは神経を病んでいたとも書かれていましたが。


いくつか紹介さしましたが、まだまだお薦めしたい絵があります。
これはなかなか興味深い展覧会でした。
得難い機会だと言っていいかと思います。
もちろん、好みはあるでしょうが、会期も充分ありますので、鑑賞をお薦めします。

後年のレーピンは美術アカデミーで教鞭を取り、多くの後進を育てました。
時代は20世紀を迎え、レーピンの写実的な技法は古いものへとなっていきますが、
それでも生徒達からは敬愛を受け、また影響を与え続けたといいます。
その意味でも「巨匠」ですね。


本展の今後の巡回予定
浜松市美術館 2012年10月16日(火)~12月24日(月・祝)
姫路市立美術館 2013年2月16日(土)~3月30日(土)
神奈川県立近代美術館 葉山 2013年4月6日(土)~5月26日(日)[予定]


Old Fashioned Club  月野景史

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