【俳優】地井武男さん死去/『勝海舟』38年前の大河ドラマの忘れ得ぬ名演
俳優・地井武男氏の訃報はテレビでも大きく報道されました。
http://hochi.yomiuri.co.jp/feature/entertainment/obit/news/20120629-OHT1T00274.htm
『太陽にほえろ!』『北の国から』などの名作ドラマ、映画での名脇役としての好演も勿論ですが、
後年から最晩年までのテレビのバラエティー番組での活躍も大きいですね。
人柄の良さがよく画面からも伝わり、その集成といえるのが、
いわずと知れたテレビ朝日系『ちい散歩』(2006年4月-2012年5月)でした。
その地井さんの、俳優としての知名度を上げたのは、
『太陽にほえろ!』に途中から登場した井川刑事役でしょうが、
それ以前、出世作とまでいえるかは微妙ですが、印象的なドラマがあります。
NHK大河ドラマ『勝海舟』(1974年)
この作品は主演の渡哲也氏が病気のために松方弘樹氏と交代、
その松方氏や、脚本の倉本聰氏が制作方針についてNHKを批判、
倉本氏にいたっては途中降板するなど、ゴタゴタ続きの大河でした。
地井さん自身も、ざっと記録を見る限り、これが唯一の大河出演のようです。
他のNHKドラマにはその後も出ているので、別にNHKとの関係が悪かったわけでもないと思いますが、
『勝海舟』の後、38年間出演無しとは意外です。
さて、このドラマに出る頃の地井さんですが、
少し前には連続ドラマのレギュラーの記録もありますが、
当時は専ら一話限りのゲスト出演が定番でした。
しかし、『勝海舟』では「岩次郎」という役でレギュラー出演しています。
岩次郎は、ネットでは「火消し」という記述も見られますが、
つまりとび職だったかと思います。(あるいは大工)
勝海舟は江戸の町の住人なので、その勝と親しい鳶の棟梁といったところ、
つまり『暴れん坊将軍』で北島三郎さんが演じた「め組の辰五郎」のような役どころです。
といっても、いわゆる娯楽時代劇ではなく、どちらかといえば暗めのドラマで、
そんなに華やかな活躍もなく、生真面目な硬骨漢タイプだったように思います。
心酔する勝の旦那の為なら命も張ろう、という男だったと憶えています。
当時32歳の地井さんは整った容貌の二枚目に、
渋さが加わってきた頃だったのではないでしょうか。
岩次郎は架空の人物で脇役ですが、最初から最後まで登場し、
たしか、最終回のラストも、暴漢に襲われた海舟を、
これも初期から海舟の側近として登場している杉純道役の江守徹さんと、
二人で支えながら去っていくシーンだったと記憶しています。
これで一躍知名度が上がったとまではいえないと思いますが、
記録を見ると、この作品の翌年にはレギュラーも増えており、
ひとつのターニングポイントではあったかも知れません。
架空の人物なので、歴史に残る大事には絡みませんが、印象に残る役でした。
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