【美術展】『KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」』根津美術館/光琳の「燕子花」日米二作
東京南青山の根津美術館で5月20日まで、
『KORIN展 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」』が開催中です。
KORIN展国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」
2012年4月21日(土)-5月20日(日)
根津美術館
http://www.nezu-muse.or.jp/index.html
本展は先日5月2日、天皇、皇后両陛下が鑑賞されたことでも話題になりました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120502-OYT1T01079.htm
根津美術館
私は以前、この名前を聞いて、文京区の根津にあるものだと思い込んでいました。
無知過ぎ? でも知らなければ仕方ないですよね。
「根津」とは創設一族の名前です。
表参道交差点から西麻生・六本木方面に少し下った場所、随分洒落た街にあるのです。
本館は東武鉄道の社長などを務めた実業家根津嘉一郎氏が蒐集した
日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた美術館です。
二代根津嘉一郎氏が、1940年に財団を創立、翌年根津美術館が開館しました。
コレクションは日本・東洋古美術の広いジャンルにわたります。
また、美しい日本庭園が魅力の美術館でもあります。
国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」
実はこの展覧会は当初、昨年春を会期としていましたが、
震災の影響で延期となり、今回、満を持して開催されているのです。
本展は根津美術館が所蔵する国宝『燕子花図屏風』と
ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵『八橋図屏風』を
同時に展示、観賞しようという主旨の催しです。
両作は尾形光琳が同じテーマを、同じ六曲一双屏風に、
10数年の時をおいて描いた作品です。
制作時期でいうと根津所蔵が先、メトロポリタン所蔵が後になります。
現在は遠く海を隔てた地に分かれている2点の作品を、およそ100年ぶりに一堂に展観、
光琳画の軌跡を目の当たりにできる待望の展覧会です。
併せて、最初期の作品から酒井抱一編『光琳百図』所載作品まで、
光琳画の諸相を概観できます。
それでは、問題の二点を比べてみましょう。
まずは根津美術館の所蔵品です。
燕子花図屏風 尾形光琳筆
江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
総金地に濃淡の群青と緑青のみによって鮮烈に描きだされた燕子花の群生。
その情景には伊勢物語に語られた燕子花の名所、三河国八橋が潜んでいる。
本格的に絵画の制作をはじめてから10年前後、光琳が早くもたどり着いた最初の芸術的頂点である。
(公式サイトの紹介文より)
続いてニューヨーク美の殿堂、メトロポリタン美術館所蔵品。
八橋図屏風 尾形光琳筆
江戸時代 18世紀 メトロポリタン美術館蔵
Image (c) The Metropolitan Museum of Art
同じく金地画面いっぱいに燕子花を描く。しかし印象的なのは、
たらしこみをほどこされた橋が画面の右上から左下にかけて稲妻のように配される点である。
光琳は、幾何学的な要素や異なる質感の導入によって屏風絵の構図に新機軸を見いだそうとしているようだ。
(公式サイトの紹介文より)
いかがですか。
燕子花の色使いなどはほぼ同じですね。
違いは一目瞭然で、メトロポリタン版の題名にもなっている橋の存在です。
この橋は川のようにも思え、
私はこれがあることにより、絵に流れとまとまりを感じ、八橋図屏風の方を気に入りました。
5月20日までなのであまり会期に余裕はありませんが、
大きな屏風なので、こんな小さな画像での比較は難しいですね。
興味が湧かれたら是非実物をご覧ください。
さて、上述のように当館のもうひとつの魅力は日本庭園。
今はカキツバタが見頃、庭でも競演です。
都心、それもこの界隈にこんな空間があるとは。
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