【美術】ムンク『叫び』96億円で落札/実は複数ある『叫び』 オリジナル油彩画との比較
あの有名な絵画、ムンクの『叫び』」が、
ニューヨークで行われたオークションで1億1992万2500ドル(約96億円)で落札された、
とニュースが流れ、話題を呼んでいます。
☆☆☆
ムンクの「叫び」落札 史上最高の96億円
ノルウェーの画家エドバルト・ムンクの代表作「叫び」が2日、
競売大手サザビーズがニューヨークで行ったオークションで
1億1992万2500ドル(約96億円)で落札された。
美術品の落札額としては、2年前にパブロ・ピカソの「裸婦」についた
1億650万ドルを抜き、史上最高額となった。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959CE2E1E2E2988DE2E1E2E7E0E2E3E0E2E2E2E2E2E2
★★★
ムンクの『叫び』といえば有名な絵です。
誰でも知っているといってもいいでしょう。
約96億円という金額も凄いですね。
でも、少し違和感を感じませんか。
そんな有名な絵が、簡単に売りに出されるものなのか?
実はニュースでも流れているように、『叫び』は複数あるのです。
ニュースでは、今回落札された絵も含めて、4点とされていますね。
エドヴァルド・ムンク
(Edvard Munch, 1863年12月12日-1944年1月23日 80歳没)
ノルウェーの画家。
『叫び』のオリジナルは1893年、ムンク30歳の年に油彩画として描かれています。
母親や姉の早い死、自身の病気など、生への不安、死への恐れが、
ムンクに『叫び』を描かせた、といわれています。
しかし、ムンク自身は80歳までと、随分長生きしたのですね。
その後、ムンクは同じテーマで、テンペラ画、パステル画、リトグラフとして、
『叫び』を描きました。
色合い、構図の細部等に違いがあります。
油彩画はオリジナルだけです。
今回落札された作品は1895年制作のパステル画で、
ノルウェー人実業家が所蔵していた、いわゆる「個人蔵」品です。
オリジナルの油彩画はオスロ国立美術館、
テンペラ画とパステル画(1893年版)とリトグラフはオスロのムンク美術館が所蔵しています。
オリジナルではなく、元々個人蔵の作品で、存在も知られていたので、
それほどの驚きではないのですね。
このオークションが行われることも、既に2月にニュースで流れていました。
http://www.asahi.com/international/update/0222/TKY201202210784.html?ref=reca
とはいえ、ムンク本人直筆の本画であることは間違いないので、
やはり大きなニュースではあります。
それではオリジナルの油彩画と比べてみましょう。
『叫び』(ノルウェー語: Skrik、英語: The Scream)
1893年 油彩 オスロ国立美術館
『叫び』 1895年 パステル画 個人蔵
いかがですか。
油彩とパステルなので、色合い以前にまず筆致が違うし、
構図だと、わかり易いところでは、背後の人物のボーズが違いますね。
『叫び』 1910年 テンペラ画 ムンク美術館
こちらオリジナルから17年後、ムンク47歳の年に描かれたテンペラ画。
色彩感がかなり違いますね。
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» ムンクの「叫び」は実は複数ある(内4点の画像有り)。パステル画バージョンは史上最高の96億円で落札された。 [ニュースを読まねば]
実はこの有名な「叫び」には、複数のバージョンがある。それは記事の最後に画像を掲載しているので比較してみて欲しい。さて、2日の夜。ニューヨークで行われた競売大手サザビーズのオークションで、ノルウェーの画家エドバルト・ムンクの代表作である「叫び」が史上最高値で落札された。その落札値はなんと、1億1990万ドル(約96億1600万円)だ。落札された「叫び」は有名な絵だが、実はエドバルト・ムンクは「叫び」を複数作成しており、今回落札されたのはそのうちのパステル画で1895年に描かれた..... [続きを読む]
» NY,ムンクの「叫び」史上最高の96億円 [自分なりの判断のご紹介]
「私は2人の友人と歩道を歩いていた。
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私は立ち止まり、酷い疲れを感じて
柵に寄り掛かった。
それは炎の舌と血とが青黒いフィヨルドと
町並みに被さるようであった。
友人は歩き続... [続きを読む]
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