【美術】「奇跡の美術館 エルミタージュ~2枚のダ・ヴィンチと巨匠が遺した暗号(メッセージ)~」日本テレビ5/1放送
東京六本木の国立新美術館の2012年4月25日(水)-7月16日(月)まで開催中の、
「大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年」
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/400-40018-bfec.html
この展覧会の関連特集番組が5月1日(火)22:00より日本テレビ系で放送されました。
ダイワハウススペシャル
「奇跡の美術館 エルミタージュ~2枚のダ・ヴィンチと巨匠が遺した暗号(メッセージ)~」
http://www.ntv.co.jp/hermitage2012/event/index.html
ただし、その放送内容はテーマとなった3点の絵画のうち、
本展に来日中の作品はアンリ・マティスの『赤い部屋』のみで、
他の二つは今回の展示作とは関係ありませんでした。
しかし、いずれも著名な画家・作品の大変興味深い課題ではありました。
番組では本展のイメージキャラクターである杏さんが、旅人としてレポーターを務めました。
ではテーマごとに簡単に番組を振り返っていきますが、
まずは美術館の紹介から。
ロシア国立エルミタージュ美術館
ロシアのサンクトペテルブルクにある、世界三大美術館の1つエルミタージュ美術館。
ダ・ヴィンチ、ピカソ、ゴッホ、レンブラント…巨匠傑作がズラリと並びます。
その建物は元々、かの女帝エカテリーナ二世の
「隠れ家(エルミタージュ)」と称された、威容溢れる宮殿でした。
そしてそのコレクションは、18世紀初め、ピョートル一世が収集を始め、
エカテリーナ二世が世界から拡充した、ロマノフ王朝の至宝の数々です。
それらを公開する為1852年に創設された、300万点を所蔵する世界屈指の美術館です。
レオナルド・ダ・ヴィンチの2枚の絵に残されたメッセージ
生涯で10作品程度しか完成させていないダ・ヴィンチ。
そのうちの2作品が、エルミタージュ美術館に所蔵されています。
しかし、この2作品にある疑惑が!
世界中を巻き込んだ大事件のその真相とは?
(番組公式サイトより)
ブノワの聖母子
リッタの聖母子
番組ではエルミタージュが所蔵するレオナルドの聖母子像2点のうち、
主に『ブノワの聖母子』の真贋問題について取り上げられていました。
実は最終的にレオナルド本人ではなく、弟子などの手によって完成したと見られているのは、
『リッタの聖母』の方ですが、こちらにはほとんど触れられませんでしたね。
番組では『ブノワの聖母子』について、2点の疑問が提示されました。
1.背景の描かれていない窓。
2.人間的過ぎる聖母。
『モナ・リザ』も『最後の晩餐』も、レオナルドの絵には外の風景が細かく描かれています。
しかし、『ブノワの聖母』の窓には何も描かれていない。何故か。
この絵の窓は高い位置にある、だから窓からは空しか見えなかったのだろう。
科学者でもあったレオナルドはそのような点も正確に描いたのでしょう、
というのが番組の解釈でした。
そして、それまでにない笑みを浮かべた人間的な聖母。
なぜレオナルドは聖母をこのように描いたのでしょう。
それは、実の母との縁の薄かったレオナルドが母への思いを込めたから、という解釈でした。
レオナルドと母との関係は、しばしば取り上げられる命題です。
レンブラントの代表作『ダナエ』に新事実
巨匠レンブラントが、破産しても最後まで手放さなかった最高傑作『ダナエ』。
この絵に取り憑かれた青年が独り占めしようと、
この絵画に硫酸をかけるという大事件が起こった。
果たして、この絵の魔力とは一体?そして、どうやって修復したのか?
そして新たな発見とは?
(番組公式サイトより)
ダナエ
17世紀、バロックの時代のオランダの大画家レンブラント・ファン・レイン。
その官能的な名作。
その妖しい魅力ゆえ、数奇な運命を辿ってしました。
エルミタージュ開館後も長く公開されず、
公開後には、精神を病んだ男により、硝酸で傷つけられました。
その主題はギリシャ神話にあります。
幽閉されているダナエを見染めた主神ゼウスは、黄金の雨となって彼女と交わりました。
多くの画家が手がけたテーマですが、光の明暗を駆使したレンブラントは、
誰よりも妖艶な、人を惑わすダナエを描いたのです。
マティスの傑作《赤い部屋》は最初全く違うものだった!
色彩の魔術師・マティスの傑作『赤い部屋(赤のハーモニー)』
しかし、この絵は最初、赤くなかった!!
全く違う配色をしていたマティスが、なぜ赤に塗り直したのか?
その謎に迫る!
(番組公式サイトより)
赤い部屋(赤のハーモニー)
その大胆な色彩使いからフォーヴィズムの旗手とされたマティスは、
「色彩の魔術師」とも称されました。
マティスコレクションに定評ある本館でも傑作とされる『赤い部屋』
しかし、実は元々“緑の部屋”でした。
マティスが赤く塗り直したのです。
何故か?
購入者はマティスのパトロンのシチューキンでしたが、
当時、相次いで妻子を亡くす不幸に見舞われていました。
その依頼者に取って、赤の方が相応しいとマティスが判断したのです。
番組の検証によれば、人間の脳は緑には癒しを感じるα波を、赤は活性化を促すβ波を出す。
『赤い部屋』はまず脳を活性化し、次に窓の緑で癒しを感じる。
活性化により、癒しの効果も増幅されるのです。
そして、『赤い部屋』は日本に向けて旅立っていきました。
番組は最後に、第二次世界大戦中、ヒットラー率いるドイツ・ナチスの侵攻から、
美術品を守った館長を初めとする職員や、周辺住民の勇敢な物語が紹介され、
締め括られました。
それと、番組の中ほどで紹介されましたが、
今でも美術館の地下では多くの猫達たちが、
ネズミから絵を守っているというのもおもしろかったですね。
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