【美術展】「セザンヌ-パリとプロヴァンス」国立新美術館/「近代絵画の父」の画業を俯瞰する展覧会
東京六本木の国立新美術館で6月11日まで、
企画展「セザンヌ-パリとプロヴァンス」が開催中です。
セザンヌ-パリとプロヴァンス
2012年3月28日(水)-6月11日(月)
国立新美術館 企画展示室1E
主催:国立新美術館 日本経済新聞社
http://cezanne.exhn.jp/
今回のセザンヌ展は、「セザンヌと同時代の画家」といった企画ではなく、
ポール・セザンヌ本人の作品による展示会です。
それも素描や資料的なものは少なく、絵画としての完成品がメイン。
その数約80点。
パリの殿堂オルセー美術館をはじめ、
世界8カ国、約40館からセザンヌ作品が集められました。
セザンヌ展の決定版と呼んで差し支えないでしょう。
ポール・セザンヌ
(Paul Cézanne、1839年1月19日 - 1906年10月22日 67歳没)
日本でも知名度が高く、ファンの多いフランスの画家。
南フランスのエクス=アン=プロヴァンスの裕福な家庭に生まれたセザンヌは、
若い頃、パリに出て画家修業を行い、印象派展にも参加しました。
後年はパリを離れ、故郷に戻って創作活動を続けました・・・、
というのが、一般にいわれる彼のキャリアでしょう。
それが間違いというわけではないのですが、
実は意外と頻繁にパリとプロヴァンスを行き来し、創作活動をしていました。
例えば、パリ在住時代にもしばしば故郷に戻り、そこでも制作していたのです。
本展はセザンヌの芸術的創造の軌跡を、
パリと南仏、いわば南北の対比という新たな視座から捉えなおそうというな試みです。
展示作のキャプションにはパリでの制作か、故郷での制作がわかるように、
色違いのラインが引かれています。
南仏プロヴァンスというと、温暖で優雅な地中海リゾートのイメージが湧きます。
二ースなどののイメージが強いのでしょうが、
セザンヌの故郷はもう少し西側のエクス=アン=プロヴァンス。
こちらも現在、観光の大きな拠点のようです。
セザンヌ効果もあるのでしょうか。
セザンヌはポール・ゴーギャン、フィンセント・ファン・ゴッホと共に、
ポスト印象派と呼ばれます。(以前は後期印象派とも)
パリでは印象派の先輩であるピサロと連れだち、屋外での写生を行っていましたが、
やがて印象派とも一線を画し、独自のスタイルを確立していきす。
そして、「近代絵画の父」とまで称されるようになりました。
本展は、そのセザンヌの画業を俯瞰する催しといえるでしょう。
構成は以下の通りです。
1章 初期
2章 風景
3章 身体
4章 肖像
5章 静物
6章 晩年
初期から晩年、そしてセザンヌを代表する分野に分けての展示です。
出展昨からいくつか紹介しましょう。
風景画
セザンヌの風景画というと、故郷のサント・ヴィクトワール山を描いた作品が知られます。
『サント=ヴィクトワール山』 1886-87年
タイトルは山ですが、手前の風景の緑がむしろ主役でしょうか
5月12日10:00より放送のテレビ東京系『美の巨人たち』はこの絵がテーマです。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/512-8e1c.html
静物画
これはリンゴのイメージが強いですね。
『リンゴとオレンジ』 1899年頃
こぼれ落ちそうな果物の質感、強い色彩が印象的。
身体
身体とは・・・、セザンヌの裸体画というと水浴図が思い浮かびます。
『3人の水浴の女たち』 1876-77年頃
神話の世界を描いた絵画でおなじみの画題のセザンヌ流。
このような女性水浴画に加えて、男性水浴画も多いのが特徴です。
伝統的な画題において、セザンヌは何に拘ったのか、
そのあたりも面白いです。
ところで、国立新美術館ではまもなくの4月25日から7月16日まで、
「大エルミタージュ美術館展 世紀の顔・西欧絵画の400年」が開催されます。
つまり4月25日から6月11日まではセザンヌ展との併催ということになります。
さすが開館5周年、ゴールデンウィークを挟んでなかなか贅沢な話です。
関連My Blog:2012年GW-5月を楽しむ西洋絵画の展覧会を一挙紹介・東京編
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/2012gw5-f7c0.html
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