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2012年4月15日 (日)

【美術展】「ユベール・ロベール-時間の庭」国立西洋美術館/遺跡と自然、そこに暮らす人々を描いた画家

上野の国立西洋美術館において5月20日まで、
「ユベール・ロベール-時間の庭」が開催中です。

Hubert_robert

ユベール・ロベール-時間の庭
2012年3月6日(火)-5月20日(日)
国立西洋美術館

主催:国立西洋美術館 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/event/bi/robert/


ユベール・ロベール
Hubert Robert (1733年5月22日–1808年4月15日)


18世紀に活躍したフランスの風景画家。
日本ではWikipedaiに項目すらなく、それほどの知名度はありません。
公式サイト等で、「廃墟の画家」として名声を築いたと紹介されています。
「廃墟」…、写真でも人気のある分野です。

もっとも、今回の展覧会について表現するなら、
「遺跡の画家」とした方が相応しいようにも思えます。

18世紀はポンペイやヘルクラネウムの遺跡発掘に沸いた時代でした。
ロベールはイタリア留学で得た古代のモチーフに加え、
自身の自由な想像力とを源として風景を描きだしました。

そこには遥か悠久の時を超えて、古代の建築や彫像が現れる一方で、
溢れる木々の緑や流れる水などの自然の情景、
そして、そこで日々の生活を送る人々の姿を生き生きと描かれているのが特徴です。

19世紀フランス絵画となると、甘美で装飾性豊かなロココの世界をイメージしますが、
このような絵画も描かれいたというのも新鮮な発見です。

ロベール「国王の庭園デザイナー」の称号を持ち、
数々の名高い風景式庭園のデザインも手がけていた人で、
現実の風景の中に古代風建築や人工の滝・洞窟などを配してきました。
そんなセンスも生かしたたロベール芸術独特の詩情は、
多くの人々を惹きつけてきました。

本展では、世界有数のロベール・コレクションを誇るヴァランス美術館所蔵品から
貴重なサンギーヌ(赤チョーク)素描約80点を中心として
ロベールの芸術の初期から晩年まで、日本で初めてまとめて紹介しされています。


Hubert_robert_003
『古代遺物の発見者たち』
1765年、ヴァランス美術館


Hubert_robert_001
『凱旋橋』
1782-83年  ヴァランス美術館


Hubert_robert_002
『アルカディアの牧人たち』
1789年 ヴァランス美術館

今回のロベール展は本人の作品の他にも、ピラネージやフラゴナール、クロード・ロランら、
師や同時代の画家、ロベールが影響を受けた画家らの作品もあわせ、
ヴァランス美術館以外からも集めた作品とともに、
約130点の油彩画・素描・版画・家具などによる構成です。
日本であまり知られざる画家の、稀少な催しです。


関連My Blog:2012年GW-5月を楽しむ西洋絵画の展覧会を一挙紹介・東京編
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/2012gw5-f7c0.html

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01.Art 美術 (展覧会)」カテゴリの記事

コメント

初コメントです。
ユベール・ロベールという画家については、
かねてから気になってはいたのですが、
簡潔で分かりやすい解説を拝見して、
少し親しみが湧いてきました。
私に言わせれば、なんとなくロランとプーサン、
さらには若干ロココ風の雅も加味されたような
作風のこの画家、これから日本でも
もう少し見直されてもいいような気がします。

かどり ふづきさん

コメントありがとうございます。
書き損ねていましたが、展覧会でもクロード・ロランとの関係は指摘されており、
作品も展示されていました。
実際、ロラン的であると思います。

また、ロココとは違うというように書きましたが、
それは典型的なロココ絵画とはという意味で、
ロベールにもロココ的なものはあると思います。

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