【美術】ロダン 『考える人』3/17『美の巨人たち』/世界でも有名な男の深き思索
3月17日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』のテーマ作品は、
オーギュスト・ロダンの彫刻『考える人』でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/120317/index.html
素晴らしい筋肉を持つ男が深い思索に耽る、大変有名な作品ですね。
1904年の制作です。
…えっ、20世紀の彫刻! そんなに新しいの?
そう思った人も多いでしょう。
『考える人』に匹敵する有名な彫刻というと、
男性像ではミケランジェロ『ダビデ像』がありますが、
これはルネサンス期の1504年公開なのでだいぶ昔です。
女性像ではなんといっても『ミロのヴィーナス』ですが、
こちらにいたっては紀元前のギリシャで作られた古代遺跡です。
『ミロのヴィーナス』は破損状態からいっても一際古いことはわかりますが、
素晴らしい肉体を賛否するような彫刻は古いもが多いように思えます。
20世紀の彫刻というと、もっと抽象的なものをイメージしませんか。
それに『考える人』には哲学的なイメージもあるので、
ギリシャ美術か、それに近いもののように思っていた人も多いでしょう。
フランソワ・オーギュスト・ルネ・ロダン
(François-Auguste-René Rodin, 1840年11月12日 - 1917年11月17日)
19世紀後半に活躍したフランスの彫刻家。「近代彫刻の父」と呼ばれます。
絵画でいえば印象派の同時代の人で、
同い年の印象派を代表する画家クロード・モネとは共同で展覧会を開催したこともあります。
しかし、前半生は不遇だったようで、
「私は50歳まで、貧乏がもたらすありとあらゆる苦労を味わった。」そうです。
さて、今回の番組ではまず『考える人』のポーズに着目しました。
腰かけて膝に肘を付き、うつむいて拳を顎に当てて思索するその姿。
アンケートを取ると、拳を作るか作らないか、
また顎に当てるか頭に当てるか、混同する人はいるようですが、
だいたいの姿は誰でもがイメージできるようです。
ところが、写真を見て実際に同じポーズを取ろうとすると、
かなり無理のある姿勢であることがわかります。
まず、膝に肘を付くとかなり前傾姿勢になり、それだけで結構きついのですが、
それ以上にこの『考える人』、右ひじを左膝に付けているのです。
これだと、体が捻じれて相当に辛いです。
いわば腹筋のストレッチ運動をしているような状態なのです。
ロダンはこれ以前『地獄の門』という大きな作品を手掛けました。
ダンテが書いた『神曲』をモチーフにした作品です。
実は、この門の上にも『考える人』がいるのです。
ロダンは当初この男に「詩想を練るダンテ」という名前をつけていました。
『考える人』はこの『地獄の門』から独立した作品なのです。
(『地獄の門』から独立した作品は他にもあります。)
ロダンは本作の制作に当たり、前述した『ダビデ像』の作者である
ルネサンスの巨匠ミケランジェロの彫刻を参考にしたとのことです。
ミケランジェロの作品は彫刻も絵画も、
人間達は男性も女性も素晴らしい筋肉美で表現されます。
ロダンもそれに倣い、体を捻られせることによって肉体美を強調したのです。
さて、このブログでは詳しくは書きませんでしたが、
今回の番組では意外と知られていないロダンの入門編ともいえる内容で、
興味深かったです。
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