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2012年2月 2日 (木)

【母校】上智大学SJハウスに元学長土田將雄先生を訪ねる/知られざる上智の常識も少し紹介

先日、母校上智大学内のSJハウスに、恩師である元文学部国文学科教授、
そして1987年から1993年まで第10代学長を務められた
土田將雄先生を同期生12人ほどと訪ねました。

20120121044
今日はその時の様子を紹介しつつ、
学内にいた者でないとわかり難い上智大学の常識を、少しだけご教示します。
興味のある方はお読みください。


SJハウスとは
タイトルにも掲げたSJハウスとはなんでしょう?

上智大学はローマ・カトリック教会に所属するイエズス会が設立母体です。
ですので、先生方にもイエズス会の神父さんが多く、土田先生もそのお一人です。

カトリックの神父さんは妻帯しません。みな独身です
全員かどうかはわかりませんが、その神父である先生方が、
学内四谷キャンパスの中央付近にある「SJハウス」という名称の建物に住まわれ、
いわば共同生活をされているのです。

今回お訪ねしたのは、そのSJハウス内にある応接室というか、
ミニ会議室のようなところです。
何分古い建物なので古色蒼然としています。

実は私もSJハウスのエントラスを抜けて中に入るのは、
現役時代を含めて2回目だと思います。
現役学生はSJハウスに住まわれている教授に教わっていても、
その先生は別に学内に研究室を持っているので、
先生に用があっても通常はSJハウスを訪ねることはないのです。


土田將雄先生
土田先生のご専門は国文学の中世文学で、特に細川幽斎です。

細川幽斎(細川藤孝)といえば戦国大名として有名で肥後熊本細川家の祖。
勇敢な武将で、あの細川ガラシャ夫人の舅でもありますが、
実は当時屈指の文人で、古典の研究者でもありました。
土田先生のご専門は勿論武将ではなく、文人としての幽斎です。

さて、私の専攻は近代文学で、卒業論文のテーマは宮沢賢治です。
当然、土田ゼミの生徒ではありません。
学科が同じとはいえ、それで恩師といえるのか、という疑問もあるかと思いますが、
上智には高校以下でいうクラス担任のような制度がありました。

国文科は一学年が50人ほど。
高校の1クラスより少し多いくらいなので、学科の教授のどなたかが担任になります。
私の代はそれが土田先生だったのです。
当時、先生は60歳を過ぎておられ、文学部の学部長を務めていました。
また随分偉い方が「担任の先生」だったわけです。

ところが、私たちが3年生になるタイミングで先生は学部長を退任、
研究休暇に入られ、担任も別の先生が引き継がれました。
ちょっと見捨てられたような気がしなくもないのですが(笑)
秋に行われた京都・奈良を回った研究旅行にはご参加くださいました。

そして、その年度末に行われた学長選挙に立候補されて当選、
1987年から1993年まで務められたのです。


さて、土田先生は学長を務められるくらいだから当然ですが、
頭のキレ、特に穏やかな表情から発せられる舌鋒の鋭さには定評がありました。

先生は今年89歳になられたそうです。
さすがに足は弱られて歩行器を使われているのですが、
その頭の回転、その毒舌…、いや硬軟自在の言葉の冴えには
いささかの衰えも感じません。
本当に凄い人はいくつになっても凄い、と思いました。

実は、2009年の12月に国文学科の創立50周年記念式典が行われ、
土田先生は乾杯の発声をされたのですが、その時は車椅子姿でした。
ですから、もう歩くことはできないものだと思っていたのですが、
それは式典だからそうされていたようで、普段は歩行器を使ってですが、
しっかりと歩かれていました。
ここにも意志の強さを感じました。

そして、記念式典でお会いして挨拶した際の印象では、
私のことはしっかり憶えてはいないように感じたのですが、
今回、私が苗字を名乗ったところ、間髪入れずファーストネームが出てきて、
本当に驚きました。
よくまあこんな不肖の、学業での成果を何ひとつ残さず卒業していった学生を
フルネームで憶えていていただけたものです。

そんな感激もあり、また久々の同期生との再会もあり、
厳寒の日々の中、少し暖かい時間を過ごしました。

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