【美術展】『フェルメール 光の王国展』フェルメール・センター銀座/人気画家の全作を俯瞰する超入門展
東京のフェルメール・センター銀座において7月22日まで、
『フェルメール 光の王国展』が開催中です。
フェルメール 光の王国展
2012年1月20日(金)-7月22日(日)
フェルメール・センター銀座
http://www.vermeer-center-ginza.com/
このように書くと、7月にこの『光の王国展』が閉幕した後も、
「フェルメール・センター銀座」という施設は存在し続けるように思えますが、
そういうわけではなく、この施設自体がこの展覧会期間中のもののようです。
フェルメールの故郷オランダ・デルフトには
「フェルメール・センター・デルフト」という施設があります。
本展はそこと正式提携しているのです。
さて、本展にはフェルメールの本物の作品は展示されていません。
解り易くいうと、フェルメール全作の精巧なレプリカを、年代順に並べ観賞しようという試みです。
ヨハネス・フェルメール
(Johannes Vermeer 1632年-1675年)
17世紀、いわゆるバロック絵画の時代のオランダの画家。
日本でもフェルメールの人気は本当に高いですね。
フェルメールの名を冠した展覧会、フェルメールの作品を看板作品とした展覧会が多く開催されてきました。
現在も、東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでは3月21日まで、
『フェルメールからのラブレター展』が開催中ですし、
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/bunkamura-17-8f.html
今年はこの後、以下ふたつの大きな展覧会でフェルメールの代表作が看板作品として来日予定です。
◆上野 国立西洋美術館
ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年
2012年6月13日(水)-9月17日(月)
『真珠の首飾りの少女』
◆上野 東京都美術館
マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝
2012年6月30日(土)-9月17日(月)
『真珠の耳飾りの少女』
『真珠の首飾りの少女』と『真珠の耳飾りの少女』!?
偶然でしょうが、タイトルがそっくりの絵が同時期に来日するのですね。
さて、今後の事はともかく、今回の展覧会をご紹介します。
『フェルメール 光の王国展』
本展は写真撮影可です。
上述のように、この展覧会にはフェルメールの本物の作品が展示されているのではありません。
解り易く説明すれば、フェルメールの全作品の精巧なレプリカを
年代順に並べて観賞しようという催しです。
いわば「フェルメールの超入門展」というイメージでしょうか。
現存する全フェルメール作品を福岡伸一氏監修のもと、
最新のデジタル技術「re-create」(リ・クリエイト=再創作)により、
彼が描いた当時の色調とテクスチャーを推測して、原寸大で、所蔵美術館と同じ額装を施し、
一堂に展示する場所を作ろうと考えられた企画とのことです。
つまり、フェルメール作品の現在の状態での忠実なレプリカではなく、
創作当時の色合いを再現した、というのがセールスポイントなのですね。
「レプリカ」という言葉が適当かどうかも微妙ですが、
本項では解り易さを優先して、この言葉を使います。
本展で展示されているレプリカは全37点。
(Wikipediaの「フェルメールの作品」という項目にも同じ37点が掲載されています。)
よく「フェルメールの現存する作品は30数点」という言い方がされます。
一ケタまで断言し難いのは、この中には真贋論争のある作品も含まれるからです。
今回はそれらの絵のレプリカも合わせて展示されています。
何点か紹介しましょう。
もうすぐ東京都美術館に来日するこの絵も。
『真珠の耳飾りの少女』
国立西洋美術館に来るこの絵も。
『真珠の首飾りの少女』
そしてBunkamura ザ・ミュージアムに来日中のこの絵も。
『手紙を読む青衣の女』
加えて、本展では「フェルメール・センター・デルフト」との正式提携により、
フェルメールに関するさまざまな資料も展示されています。
ところで、フェルメールはお好きですか?
「うーん、まぁ良いとは思うけど、ものすごく好きというほどでも…」
といった感じの人も多いかも知れません。
どこがいいのか、ちょっと難しい面もあるかと思います。
「良い、良い」と聞かされるアナウンス効果もあるかも知れませんが、
接する機会も多く、そのうちに除々に魅力にはまっていく事もあるかと思います。
本展の一般入場料は1000円です。
レプリカのみの展示で1000円…という視点で一般の展覧会と比べてしまうと微妙なのですが、
フェルメールを知る、超入門編としては、得難い機会とも思います。
今までになかった試みですから。(今後もないかどうかはわかりませんが)
この後に来日する本物の観賞の為の予習、と考えてもいいかも知れませんね。
こちらで新刊のフェルメール本『フェルメールへの招待』を紹介しています。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-a013.html
関連My Blog:2012年GW-5月を楽しむ西洋絵画の展覧会を一挙紹介・東京編
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/2012gw5-f7c0.html
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