【美術】鏑木清方「朝夕安居」2/4『美の巨人たち』/美人画の巨匠が描いた懐かしき下町風景
2月4日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』のテーマ作品(「今週の1枚」)は、
鏑木清方『朝夕安居』でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/120204/index.html
鏑木清方(かぶらき きよかた)
1878年(明治11年)8月31日 - 1972年(昭和47年)3月2日)
明治、大正、昭和の三代を生きた画家。
神田佐久間町に生まれ、築地界隈で育った江戸っ子。
そして、艶やかな美人画で知られる人です。
生粋の江戸っ子で美人画の名人となれば、
さぞかし粋な遊び人だったのだろうと思うのですが、
そうでもないようです。
番組によると、朝は7時から8時の間に起きて食事、
それが終わるとすぐ画室で制作に取り掛かり、休憩の時間も決まっていて、
夜ふかしはしない、酒も煙草もやらず、社交も極力避ける。
真面目な職人のような生活をしていた人だそうです。
ちょっと意外ではないですか?
そして、日本画家も新しい試みをする人が多い中、
古きを愛し、変化を好まない画家だったようです。
朝夕安居(1948年)
今回のテーマ作品。
長さ4mにも及ぶ一巻の絵巻、清方が70歳の時に発表した作品です。
明治初めの頃の東京下町の夏の日が舞台。
何気ない日々の暮らしの風景が朝、昼、夕方と三つの場面に分けて描かれています。
新聞配達の少年が走り、奉公の少女が家の前を掃き清める朝の風景。
日差しが照りつける昼下がりには、暑さから逃れて木陰で一服する風鈴屋の姿。
夕方には艶やかな姐さんの行水姿、そして夕涼みに集う人々の姿が描かれています。
清方は懐かしい明治の、自分が生まれ育った下町の忘れ得ぬ光景を描いたのです。
下絵にはより多くの人々が、情景が描かれていたのですが、
清方はそれを削ぎ落として完成させました。
戦争で焼け野原になった東京を見て、触発されたのかも知れません。
瞼に焼き付いた失われた時代を描いたのですね。
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