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2012年1月22日 (日)

【美術】ミケランジェロ『最後の審判』1/21『美の巨人たち』/偉大なる人間の肉体への賛美

1月21日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』のテーマ作品(「今週の1枚」)は、
ミケランジェロ・ブオナローティ『最後の審判』でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/120121/index.html

Michelangelo_002

ミケランジェロ・ブオナローティ
(Michelangelo di Lodovico Buonarroti Simoni, 1475年3月6日-1564年2月18日)


バチカン市国にあるローマ教皇専用の礼拝堂、システィーナ礼拝堂。
そこに、ルネサンスの天才芸術家・ミケランジェロの傑作絵画が2点あります。
『システィーナ礼拝堂 天井画』と『最後の審判』。
同じ場所にある同一画家の巨大壁画なので混同され易いのですが、
実はこの二つの作品は長い時間を隔てて描かれたのです。

先日、このブログでも紹介したように、二週に渡ってのミケランジェロ特集、
その前編である『システィーナ礼拝堂 天井画』1月14日に放送されました。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/114-5d80.html

今回は後編、システィーナ礼拝堂の祭壇画『最後の審判』がテーマでした。
『天井画』の完成が1512年。ミケランジェロはまだ30代でした。
『最後の審判』に取り掛かったのはそれから23年後の1535年。
ミケランジェロも60歳になっていました。

同じルネサンス芸術の三大巨匠、23歳年長のレオナルド・ダ・ヴィンチはもちろん、
8歳年下のラファエロ・サンティオも既にこの世にはいませんでした。
そして、完成はそれから5年以上の歳月が費やされた1541年のことでした。

番組構成は前回と同じく軽快な絵画警察シリーズ。
しかし、今回は制作背景はごく僅かしかふれられず、ほぼ作品論に終始しましたね。


『最後の審判』とは
世界の終わりにキリストが再臨し、全ての人類と死者たちが集められ、
主の裁きを受けるという新約聖書の教義です。
一度死んだ人間も改めてイエスによって裁かれるのです。
それも世界の最後にあたってです。究極の最終章ですね。

画面の中央上部にはまさに審判を下すイエス・キリストと、
寄り添うような聖母マリア、周囲には使徒達が描かれています。
番組が注目したのは、そのイエスの姿です。

Michelangelo_003
ホディビルダーのような逞しい肉体。
それまで、イエスがこのように描かれることはありませんでした。
殉教者をイメージさせる、痩せた姿で描かれることがほとんどでした。

しかし、逞しく描かれたのはイエスだけではありません。
登場する400人もの人間のほぼすべて、地下から蘇る死者達でさえ、
逞しい、素晴らしい裸体で描かれています。

それは何故なのか?
ヒントは20年以上前に描かれた『天井画』にありました。

Michelangelo_0011
創世記の「アダムの創造」を描いた部分。
神が初めて作った人間であるアダムの姿は『最後の審判』のイエスとそっくりです。

彫刻家であるミケランジェロは早くから人間の肉体こそが最高の神の創造物として、
作品にもその理想を追い求めてきました。

『最後の審判』は重いといえば重過ぎるテーマであるし、
また大変恐ろしい絵でもあるのですが、
ミケランジェロはそこに最高の芸術である人間の肉体への賛美を籠めたのです。

Old Fashioned Club  月野景史

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