【美術展】『プラド美術館所蔵 ゴヤ~光と影~』 国立西洋美術館『着衣のマハ』/激動を生きた大画家とその時代
東京上野の国立西洋美術館において1月29日まで、
『プラド美術館所蔵 ゴヤ~光と影~』が開催中です。
プラド美術館所蔵 ゴヤ~光と影~
2011年10月22日−2012年1月29日
国立西洋美術館
http://www.goya2011.com/
フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス
(Francisco José de Goya y Lucientes, 1746年3月30日 - 1828年4月16日)
18世紀後半から19世紀初頭にかけて、長い画業を誇ったスペイン美術界の巨匠です。
日本での知名度も高い、ビッグネームですね。
今回はそのゴヤの母国スペインにある、ヨーロッパ絵画の宝庫として名高い
国立プラド美術館のコレクションから選ばれた油彩画、素描など72点を中心に、
国立西洋美術館などが所蔵する版画を加えた合計123点、
すべてゴヤの作品が展示されています。
その中でも最も注目の作品は…
いうまでもなく、40年ぶりの来日となったこの絵でしょう。
『着衣のマハ』(1800年-1807年頃)
そして、今回は来ていませんが、対となる作品『裸のマハ』の存在でも知られる、
日本でも古くから有名な西洋絵画です。
『裸のマハ』(1797年-1800年頃)
この2点の『マハ』ついては先日、
テレビ東京の『美の巨人たち』NHKの『日曜美術館』で相次いで取り上げられ、
このブログでも紹介しました。
・【美術】ゴヤ『着衣のマハ』11/19『美の巨人たち』より/なぜ『裸』と『着衣』がある? モデルは誰?
・【美術】ゴヤ『着衣のマハ』11/25『日曜美術館』より/画家が命を賭して描いた新時代の女性像
興味深かったのは、この絵の描かれた背景についての解釈が二つの番組でかなり違ったことです。
『美の巨人たち』では、
宮廷画家となったゴヤが、自身も含めた宮廷・上流社会の
爛熟、退廃も感じさせる恋愛関係の中で描いた絵のような印象を与えるものでした。
それに対して『日曜美術館』では、
宮廷画家としての絶頂時に、病気により突然聴覚を失ったゴヤが
華やかな貴族社会に背を向けるようして、下町に生きる粋な女性たち、
「マハ」と呼ばれた彼女たちを描くようになり、
その結晶といえるのがふたつの『マハ』である、といった解釈でした。
ゴヤにはその長い画業の中で、前述の病気のように色々なことがありました。
そして、スペインもまさに動乱の時代でした。
元々野心は強く、望み通りに宮廷画家に上り詰めたゴヤですが、
自らの病気に加え、ナポレオン軍の侵攻に始まる動乱に翻弄されていきます。
その中でゴヤは逞しく、晩年まで創作を続けました。
その激動の人生のどこにスポットを当てて切り取るかで、
絵画の解釈も変わってしまいます。
今回のふたつの番組はその典型例を提示してくれたといえるかも知れません。
ゴヤ尽くしのこの展覧会、
ゴヤとその時代を体感してみてください。
国立西洋美術館
いわずと知れた日本における西洋美術の殿堂。
常設展もお忘れなく。
http://www.nmwa.go.jp/jp/index.html
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