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2011年12月24日 (土)

【美術展】『フェルメールからのラブレター展』Bunkamuraザ・ミュージアム/17世紀オランダの日常光景

東京渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで3月21日まで、
『フェルメールからのラブレター展』が開催中です。
Vermeer_001
フェルメールからのラブレター展
コミュニケーション:17世紀オランダ絵画から読み解く人々のメッセージ
2011月12日23日(金)-2012月3月14日(水)
Bunkamuraザ・ミュージアム

http://vermeer-message.com/

改装なった渋谷文化村、開催初日に行ってきました。
初日から押し掛けるほどのフェルメール好きでもないのですが、
ここは金・土は21時まで開いているので、行き易かったのです。
閉館間際だったので空いていました。

フェルメール展といっても、もちろんフェルメール作品だけではありません。
同時代のオランダの画家達の作品も併せた展覧会です。
既に本年6月から京都市美術館、宮城県美術館と巡回しており、
本展が最後となります。


ヨハネス・フェルメール
(Johannes Vermeer 1632年-1675年)

17世紀、いわゆるバロック絵画の時代のオランダの画家です。

思えば今春、改装休業に入る前のここBunkamura ザ・ミュージアムでは、
『シュテーデル美術館所蔵フェルメール「地理学者」とオランダ・フランドル絵画展』
が開催されました。

また、2012年には東京でもいくつかの大きな展覧会が予定されていますが、
現在改装中の東京都美術館のリニューアル後最初の特別展
『マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝』
(2012年6月30日(土)~9月17日(月))の看板作品として、
フェルメール『真珠の耳飾りの少女』の出品が発表されています。

更に、同じ来年6月開幕の国立西洋美術館『ベルリン国立美術館展』も、
フェルメールの『真珠の首飾りの少女』が大看板になるようです。
こちらは「耳飾り」ではなく、「首飾り」です。

もちろん、世界的に人気の高い画家ですが、それにしても日本人はフェルメールが好きですね。

先日も知人と私との会話で
「へー、絵を観るのが趣味なの? 好きな画家は誰?」
「うーん、一人に絞るのも難しいけど、ラファエロとかカラバッジョなんか好きだな。」
「全然わかんない。フェルメールとかは?」
「え、うん。まぁ好きだよ。」
ラファエロやカラバッジョはまったく知らない人でも、フェルメールは知っているのですね。
フェルメールの名を冠した展覧会の多さを思えば、納得もできます。


17世紀を生きたフェルメール、43年ほどの人生で残された絵画作品は30数点ほど、
レオナルド・ダ・ヴィンチほどではないですが少なく、これも人気の理由かも知れません。
画家として、生前にそれなりの評価を受けたいたようですが、不明点も多いです。

作品の多くは屋内での普通の人々、主に女性の生活を描いた室内風俗画です。
その静謐な雰囲気、美しい光の表現、フェルメールブルーなどと称される色使い、
卓越した画家として、美術史上のビッグネームになっています。

本展にはそのフェルメールの「手紙」が登場する三点が来日しています。
30数点の内の3点が集結、それもそれぞれ別の美術館、
母国オランダ、アイルランド、アメリカの国立美術館からの出展ですから、
確かに貴重な機会です。


Vermeer_021
『手紙を読む青衣の女』1663-64年頃
本展の看板作品。
修復作業により、鮮やかな青と明るい光が蘇りました。

恋人からの手紙を読む女性。
海運国オランダ、恋人は遥か外国か海上にいるのでしょうか。
恋人を思い心ここにあらず、女性の心情が表現されています。
これはやはり傑作ですね。

*追記
この作品は2月11日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』で特集されました。こちらで紹介しています。

http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/211-b6ec.html


Vermeer_022
『手紙を書く女』1665年頃
今度は手紙を「読む」ではなく「書く」女性です。
いわゆるカメラ目線、手を止めて一瞬こちらを見た瞬間を捉えた、
スナップ写真のような表現がユニークですね。


Vermeer_023
『手紙を書く女と召使い』1670年頃
夢中でペンを走らせる女主人と外を眺めて手紙が書き上がるのを待つメイド。
厳かに待機しているとも言い難い、メイドの表情が自然でいいです。
静謐な情景のようですが、よく見ると手前の床には投げ捨てられたような手紙等があり、
この前に激しい感情の高まりがあったことを思わせます。

特に先に紹介した二作は、随分小さな絵なのだな、と少々驚かされます。

フェルメールはこの三点以外にも手紙の登場する作品を描いています。
当時のオランダはヨーロッパで最も識字率の高い国で、手紙のやりとりが盛んでした。
フェルメールら画家達は、手紙に籠められた人間の感情を絵画に表現したのでしょう。

2月29日追記
人気のフェルメール、東京のフェルメール・センター銀座では7月22日まで、
『フェルメール 光の王国展』が開催中です。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/post-cadd.html


他の作品

さて、今回はこの他にフェルメールと同時代のオランダの画家達の作品が出展されています。
その数はフェルメールを含めて40点ほど。
構成は以下4部に分かれています。

・人々のやりとり-しぐさ、視線、表情
・家族の絆、家族の空間
・手紙を通したコミュニケーション
・職業上の、あるいは学術的コミュニケーション

フェルメール作品と同様に室内風俗画が多く、
普通の人々の感情、人間関係の機微をテーマとした作品が中心です。
手紙を題材とした作品のコーナーもあります。

なかなか良い絵もありました。
私のお奨めはこの画家です。

Vermeer_024
ヤン・ステーン(1625年-1679年)
『生徒にお仕置きをする教師』1663-65年頃

豊かな人物表現と独創的な構図、ユーモアのある風俗画で人気を博しました。
まさにそんな絵です。
オランダのお仕置きは手の平を叩くのですかね。
何かをもらっているようにも見えます。

ステーンは絵は他にも3点出品されていますが、
『老人が歌えば若者は笛を吹く』という作品も面白いです。
タイトルからは解り難いですが、要するに室内で大人も子どもも、
飲めや歌えの騒ぎをしている作品。ステーンお得意の題材です。

他にピーテル・デ・ホーホ、ヤン・デ・ブライなど。


Bunkamura ザ・ミュージアム
改装なった文化村、といってもミュージアムは地階なので、外観と特に変わっていないと思います。
中はだいぶ変わったようです。入って左側にあったロッカーの場所も違っていました。

今回はすべての絵にかなり詳細な説明が付けられおり、この点などは好評価です。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/index.html


*文化村からすぐ近くの松濤美術館では『渋谷ユートピア1900-1945』を1月29日まで開催中。
こちらにも足を伸ばしてみてください。 *この催しは終了しました。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/1900-1945-55e3.html

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