【美術】宮川香山『葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶』 12/10『美の巨人たち』より/あまりにリアルな動植物の陶芸
12月10日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』のテーマ作品は、
奇想の芸術シリーズ 宮川香山『葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶』でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/111210/index.html
奇想の芸術シリーズ 宮川香山の陶芸「葡萄ノ蔓二蜂ノ巣花瓶」
今月の「美の巨人たち」は、4週連続で「奇想の芸術」シリーズが放送されています。
今回はその第2弾でした。
宮川香山(1842年-1916年)
陶芸家。明治時代の日本を代表する陶工で真葛焼の創始者です。
しかし、誰もがその名を知っているというほど有名ではないかも知れません。
香山は京都の東山・真葛ヶ原の代々陶工の家に生まれました。
19歳で家督を継いだ香山は、25歳の時幕府が朝廷へと献上する茶器を制作、名声を得ます
29歳の時、薩摩の御用商人から横浜で輸出用の陶磁器の制作を依頼された香山は、
京都を離れ、文明開化の町・横浜で、故郷の名を取った真葛焼を創業します。
.
当時の日本は外貨獲得の手段として様々な工芸品を輸出していました。
陶磁器もその重要なアイテムだったのです。
しかし、香山はあえて外国向けの陶器を作るのではなく、
“日本固有のもの”を保存したいとの一念で制作にあたります。
「高浮彫」という技法で作られる香山の焼物は「マクズウエア」と呼ばれ、
世界中で人気を博しました。
香山の大きな魅力のひとつは陶器とは思えないリアルで精緻な動物や植物の造詣にあります。
それはテレビの画面を通してみても驚愕するほどでした。
制作には長い日数がかかったといいます。
そして、どのようにしてあそこまでリアルに作られたのか、
よくわからないとのことです。
今週のテーマ作品『葡萄ノ蔓ニ蜂ノ巣花瓶』もそのひとつ。
乳白色の花瓶にスズメが一羽描かれています。
その先にはアルな蜂が一匹。細い足、体の節々、パーツ一つ一つは数ミリという世界です。
さらにその先にはば、蜂の巣が葡萄の蔓にゆらりと下がっています。
色とりどりの葡萄の実に、瑞々しい葉の緑。
絵画のような緻密さと彫刻のような迫真を兼ね備えたこの花瓶は、
奇想の陶芸家・宮川香山の極致とも言うべき作品です。
と、番組サイトから要約しましたが、まさにその通りでした。
生物のリアルな描写を徹底いする為に、
香山は多くの種類の動物を自ら飼育していたそうです。
妥協せず、徹底的にこだわる人だったようです。
12月27日まで、神奈川県立歴史博物館では海外から里帰りした
香山の作品が展示されています。
特別陳列 鎌倉彫と眞葛焼
2011年11月1日(火)-12月27日(火)
神奈川県立歴史博物館
http://ch.kanagawa-museum.jp/tenji/sogo/tokuchin.html
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