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2011年11月 6日 (日)

【ドラマ】渥美清主演『幻のセールスマン』唐十郎原作/三十数年前の幻のドラマ

30数年前に放送されたなんとも印象深く、私にとって幻のテレビドラマがあります。
あの渥美清氏主演『幻のセールスマン』。
NHKの単発ドラマです。

渥美さんといえばいうまでもなく『男はつらいよ』シリーズの車寅次郎こと寅さん。
寅さんも広義でいえば“セールスマン”には違いないので、
これもそういう話かというと、全然違います。

これがなぜ私の「幻のドラマ」かというと、
なんとも堪えがたく途中で観るのをやめてしまいました。
だから結末がわからないのです。

ありがたいことに、今はネットで基礎情報を知ることができます。
テレビドラマデータベースとNHKアーカイブでわかるデータは以下の通り。

放送日 1974年10月2日
作:唐十郎 演出:高橋康夫
出演:渥美清 三田佳子 伊丹十三 小松方正 緑魔子 
   三谷昇(NHKアーカイブのみ記載) 嵐寛寿郎(テレビドラマデータベースのみ記載) 
まじめな男が、ヤクザの情婦で、スタンドバーでもかせぐやりての女性の赤ん坊のお守りをする。
主演の三田佳子は本作での出会いがきっかけで演出の高橋康夫と結婚した。


とのことです。
内容の部分は私の記憶とは差異もあります。それは後ほど。
いずれにしろ、結末はわかりません。
もちろん他にもネットで検索しましたが、見当たりませんでした。

しかし唐十郎氏による作とは、印象的な筈です。 
とりあえず私の記憶に沿ってストーリーを追います。
私も子どもだったので、渥美さん以外の俳優については当時はわからず、
後になってあの役はあの俳優さんだったのだろう、という記憶の仕方をしています。


ドラマ『幻のセールスマン』
渥美清は地図のセールスマン。
自分の担当区域を回ってセールスをしていますが、
地図はまだ出来上がっておらず、予約を取っていたのだと思います。

会社の社長は伊丹十三、社員に三谷昇、これはデータ通り。
もう一人、気弱な三谷さんと対照的な押しの強いタイプの社員がおり、
部長か課長だったと思いますが、これが小松方正さんだったのでしょう。
たしか女性の事務員もいたので、これが緑魔子さんかと思うが、違うかも知れません。

渥美清はセールスで訪問した焼き鳥屋を切り盛りする三田佳子と知り合います。
テレビドラマデータベースの解説ではスタンドバーとなっていますが、これは誤りです。
もしかしたら原作ではそうなのかも知れませんが、ドラマでは焼き鳥屋でした。
それよりもこのヒロイン役が三田佳子さんだったというのが、驚きでした。
違うタイプの女性のように記憶していたので。

さて、この焼き鳥屋ですが、場末感目一杯というイメージ。
三田佳子はやくざ者の情夫と幼子を抱えて、けなげに焼き鳥屋を切り盛りしています。
お人好しの渥美清は地図の予約をもらったこともあって、子守りをするなどこの女性と関わります。
こう書くと微笑ましいドラマのようですがそうでもなく、息苦しい閉塞感、不条理感、
場末の底辺を生きる人間のどうしようもない業を感じ、なんともいたたまれない雰囲気でした。

三谷昇はいつものように神経質な小心者という役どころ。
彼は渥美清には親近感を持っていて、是非にと誘って自宅に招くのですが、
そこで三谷昇の奥さんが渥美清に色目を使って、三谷逆上、
渥美を逆恨みするという、どうにもしょうのない展開になります。

そうこうする内に社長の伊丹十三が蒸発・・・そこらで見るのをやめました。
1時間番組だったようなので、残りは僅かだったのかも知れません。


嵐寛寿郎
テレビドラマデータベースの出演者覧に嵐寛寿郎さんの名があって驚きました。
『鞍馬天狗』などで知られる往年の時代劇の大スター。明治天皇役でも有名です。

1903年生まれなので、このドラマの年は71歳。
このドラマの老人役というと、焼き鳥屋の従業員の爺さんがその年代かと思います。
しかしその爺さん、底辺感丸だしのボケ老人という印象でした。

嵐寛寿郎は昭和40年代以降、映画やテレビで個性的な老け役をよくやっており、
渥美さんと共演した『男はつらいよ 寅次郎と殿様』(1977年)などもあります。
ただ、それはコミカルな役でしたが、風格も充分に感じさせるもので、
あの焼き鳥屋の爺さんを本当に嵐寛寿郎がやったのか疑問に思っています。

その役がそんなにひどい役だったかも私の記憶なので、怪しい面もあるのですが、
熱を出した三田佳子の子どもの氷枕に焼き鳥のタレを入れたり、
(爺さんが氷枕を両手でつかむとブワッとタレが飛び出すイメージシーンがありました)
三田佳子が渥美清の為にとった出前の寿司を一気食いしたり(これはもしかしたら
別の登場人物だったかも知れませんが)など強烈なシーンを憶えています。

私の後付けの記憶では、爺さん役は吉田義夫さんではなかったかと思っていました。
この人は『男はつらいよ』恒例、冒頭の寅さんの夢の中に毎回登場する役者さんで、
渥美さんとは旧知の筈です。

NHKアーカイブには嵐寛寿郎の名前はないので、もしかしたら間違いかも知れないし、
あるいは出ていても、焼き鳥屋の爺さんとは別の役だったかも知れませんが。

唐十郎によるこのドラマの原作本も発行されているようなので、
それを入手すればストーリーがわかるのでしょうが、
ドラマとは違う可能性もあり、ドラマの結末をご存じの方がいらしたらご教示ください。


もうひとつのドラマ
さて、このドラマと同じタイミングで放送された、これも後味の悪い、
でも印象深い作品に西村晃氏主演の『あの角の向う』があります。
これはラストまで観ているので、また改めて書きます。

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21.俳優 映画 演劇」カテゴリの記事

コメント

先日、出演者の検索をしていて、こちらのブログにたどり着きました。
このドラマの事はまったく知らなかったので、興味を持ちました。

国立国会図書館に別件で足を運びました折に脚本を閲覧してきました。
配役・俳優は載っておりませんでした。
https://dl.ndl.go.jp/pid/10257638/1/1

三田佳子さん演ずる女性(和子)は焼き鳥屋さんで間違いないようです。
会社の社長が女と金を持って失踪した後、焼き鳥屋さんで通夜の準備が進みます。
病院で和子が子どもの柩が出て来るショットがあり、焼き鳥屋に運ばれます。
そこに渥美清さん(田口)が訪れ、誰が亡くなったのか聞き、少しすったもんだした後に立ち去ろうとします。
その時に、子供の柩を運ぼうとしたヤクザの子分が取り落とし、柩の中が映し出されますが、
子どもの遺体はなく、焼き鳥のドロッとしたタレがこぼれているのが写ります。

翌日、和子にねだられ駅で待ち合わせをしていた田口が、自分のセールスマン時代を振り返っていると、
和子が背中にねんねこをしょったオートバイ姿で現れ「この子を預かって」と頼みます。
「死んだ子をどうして持ち歩くんですか」と驚く田口に、「この子は死んでない」とねんねこを取り見せますが、
子どもの笑顔がイメージショットで入り、顔が歪んでいきます。
「あんたに抱かれると子どもは生き返るのよ」と田口に預け、和子はオートバイに乗って江の島に去ります。

ラストは子どもを背負った田口の映像に、江の島を走る和子のイメージ映像が流れ、テロップが出ます。
「法律何条何項 死体を項目にした罪」
死体を焼却せず持ち歩き腐らせ、もてあそぶ罪と罰について―で終わりでした。

なんとも暗いドラマですね……。

>先日、出演者の検索をしていて~

コメント、そしてご教示ありがとうございます。
実は通夜のシーンは記憶していたのですが、あやふやな点があり、書きませんでした。あの子どもの通夜だったのですね。その後については、やはりまったく記憶がありません。しかしなんとも救いようのない展開ですね。あの時代ならではでしょうか。
キャストについては、名前の挙げた以外では、情夫が比較的印象に残っています。イメージとしては、小野進也さんみたいな感じだったように思います。たぶん違うけど。それと、やはりあの爺さんが嵐寛寿郎だったのか? 晩年はかなり色々な役をやってるし、あり得なくもないのかと。

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