【美術】今週10月15日放送『美の巨人たち』は伝ブリューゲル『イカロスの墜落の風景」』/謎多き画家一族の頂点
テレビ東京系の美術番組『美の巨人たち』
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/111015/index.html
10月は4週連続、ミステリー絵画シリーズです。
今週土曜日、10月15日放送のテーマ作品「今週の一枚」は
伝ピーテル・ブリューゲル作『イカロスの墜落の風景』です。
*放送は終了しました。感想などこちらにUPしています。
ある意味反則みたいなものです。謎めいているに決まっているのですから。
ピーテル・ブリューゲル(Pieter Bruegel de Oude, 1525~30年頃-1569年9月9日)
ネーデルラントの大画家。
しかしその生涯には不明点が多いのです。
生前評価されていなかったわけではありません。充分されていました。
二人の息子も、父には及ばないにしろ著名な画家です。
特に次男のヤン・ブリューゲルは花、植物を得意とし、「花のブリューゲル」と呼ばれます。
更に孫や曾孫達も著名な画家となりました。
二人の息子を画家として大成させた名伯楽で、画家一族の頂点、
いくら昔のこととはいえ、そんなに不明点が多いというのは不思議ですが、
これが一筋縄ではいきません。
実はブリューゲル、長男が5歳、次男が1歳の時に亡くなっているのです。
つまり二人の息子達はほとんど、あるいはまったく父から絵を教わってはいないのです。
謎めいた画家の謎めいた絵。
もっとも、ブリューゲルの絵は親しみやすいタッチのものが多いです。
ただ、そこにネーデルラントの諺に纏わる寓意が込められていたりするので解り難い、
こういう場合、画家の人生や人となりが解らないと余計つかみ難くなります。
『イカロスの墜落の風景』
ギリシア神話に登場するイカロス。ダイタロスの息子。
日本でも歌になったりして有名ですね。
そのイカロスの海への墜落を描いた作品。
でもイカロスはどこに?
わかります? 右側の船の手前に海から足だけ出てるでしょう。
…なぜこんなに小さく?
今回の番組の主題はおそらくここでしょう。
さて、どんな解釈がされるのでしょう?
しかし、謎はこれだけではありません。
この絵には真贋論争があるのです。
だから、「伝ブリューゲル」などと書かれるのです。
といっても、いわゆる“偽物”とは限りません。
実は画家になった長男、同じピーテルという名なので、
「ピーテル・ブリューゲル(子)」などと呼ばれますが、
彼は画業の多くを父の作品の模写、つまりレプリカの制作で過ごしました。
つまり息子やその周辺による公式な(?)なレプリカが多く存在し、
『イカロスの墜落の風景』もその可能性が高いと思われているのです。
さて、この絵に、この画家に、どこから切り込みますか?
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