« 【美術展】北斎とリヴィエール 三十六景の競演|ニューオータニ美術館/『冨嶽三十六景』と『エッフェル塔三十六景』を見比べる | トップページ | 【美術展】『東海道五十三次展』平木浮世絵美術館/『冨嶽三十六景』と並ぶ歌川広重の傑作浮世絵連作を豊洲で観賞 »

2011年9月 7日 (水)

【美術展】『コーニング・ガラス美術館特別出品 あこがれのヴェネチアン・グラス』サントリー美術館/ガラス美術の白眉を堪能する

東京の六本木ミッドタウン内にあるサントリー美術館において、
『コーニング・ガラス美術館特別出品
あこがれのヴェネチアン・グラス―時を超え、海を越えて』が開催中です。

Venetian_001

開館50周年記念「美を結ぶ。美をひらく。」III
コーニング・ガラス美術館特別出品
あこがれのヴェネチアン・グラス―時を超え、海を越えて
2011年8月10日(水)-10月10日(月) サントリー美術館

http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/11vol04/index.html

ヴェネチアン・グラスの美術品、工芸品の展覧会です。
このブログでも紹介しましたが、東京都庭園美術館にて9月25日まで
「国立エルミタージュ美術館所蔵 皇帝の愛したガラス」展 が開催中です。
この夏から秋、ガラス芸術の展覧会が東京で二つ開催されています。
前回のブログと一部ダブりますが、ヴェネチアン・グラスとこの展覧会について、
簡単に紹介したいと思います。


ヴェネチア(Venezia)のガラス
ベネチア、ベネツィア、ヴェネチア…、ガラス、グラス
表記が色々あってややこしいですね。
一応、本展の表記に倣い、本項ではヴェネチアン・グラスとします。

ガラス工芸の歴史は紀元前数千年まで遡ります。
紀元前2000年代にはシリア、メソポタミアで本格的ガラス製品が作られていたといいます。
これはどちらかといえば博物館の世界ですね。

私たち初心者が美術品としてガラス作品を勉強し始めるには、
まずは15世紀後半に勃興し、16世紀に全盛期を迎えた
本展のテーマであるヴェネチアン・グラスを起点にすればいいかと思います。

軽やかで繊細優美なヴェネチアン・グラス。
ヴェネチアでは13世紀半ばにガラス同業組合が結成されます。
その後、全工房はヴェネツィア本島の北東にあるムラーノ島に移り、発展してきました。
15世紀を迎え、ヴェネチアは軍事力・海運力に優れた港湾都市、都市国家として繁栄します。

時はルネサンス芸術の全盛期、ヴェネチア派も歴史的な美術品を多く生み出しました。
ガラス工芸においてその芸術性は1450年頃に開発された無色透明ガラス「クリスタッロ」の誕生、
そして、エナメル彩、ラッティモ(乳白色ガラス)、レースグラス、アイスグラス等、
多彩な技術により大輪の花を咲かせました。

やがて、ムラーノ島に限って行なわれていた制作技術も、次第に流出を始めます。
各地において模倣と地域性との狭間で生まれた「ヴェネチア様式」は、
16世紀から18世紀にかけて、ヨーロッパを席巻したのです。
そして西洋のみならず、南蛮貿易により日本にもたらされました。
その瀟洒な美しさが、和ガラスの誕生にも少なからず影響を与えたと考えられています。

今回の展覧会ではルネサンス期のヴェネチアの作品から、
その影響を受けたヨーロッパ各国や日本のガラス作品、
そしてそのエッセンスを引き継ぐ現代ガラスアートまで、約150点が展示されています。
後半の方は「ヴェネチアン・グラス」とは言えない作品もあるかと思いますが、
ガラス美術の白眉にふれる貴重な催しです。

展覧会は三部構成になっています。

第1章 ヴェネチアン興隆―技術の応酬
新しいガラス素地「クリスタッロ」が開発され、
それまでのどのガラスよりも無色に近く、高い透明度を誇るこの素材を生かす
様々な技法や創意工夫がもたらされました。
一気に花開いたヴェネチアン・グラスの技の応酬が楽しめます。

第2章 流出したヴェネチアン―「ヴェネチア様式」の誕生
ヴェネチアン・グラスはヨーロッパ諸国の王侯貴族を虜にしました。
技術は次第に職人とともに流出し、各地で「ファソン・ド・ヴニーズ(ヴェネチア様式)」
と呼ばれるガラス器がつくられるようになりました。
第2章では、ヨーロッパ大陸における様々なヴェネチア様式のガラスを紹介。

第3章 ヴェネチアンと和ガラス
日本で本格的なガラスの器づくりが開始されたのは17世紀中頃のこと。
16世紀にもたらされたヨーロッパのガラスにあこがれ、
製作が開始されたと推測されています。
ヴェネチアン・グラスが含まれていたことも分かっており、
和ガラスの誕生に影響を与えたと考えられています。
第3章では、日本に渡来した貴重なヴェネチアンの資料と、
和ガラスの造形的な共通性を探さらています。

以下、展示作からいくつか紹介します。

Venezian_002
エナメル彩ゴブレット ヴェネチア 1500年頃

Venezian_001
レースグラス・ゴブレット おそらくヴェネチア 16世紀末


Venezian_003
ティーカップ&ソーサー ヴェネチア 19世紀


☆類似の展覧会
この夏から秋、ガラス芸術の展覧会、そしてヴェネチアをテーマにした展覧会が
他にも開かれますので、紹介します。

Hermitage_002
国立エルミタージュ美術館所蔵 皇帝の愛したガラス
2011年7月14日(木)-9月25日(日)  白金台 東京都庭園美術館 *開催中
公式サイト http://www.teien-art-museum.ne.jp/exhibition/glass/index.html
こちらでも紹介しています。


Venezia_001
世界遺産 ヴェネツィア展 魅惑の芸術-千年の都
2011年9月23日(金)-12月11日(日)  江戸東京博物館
公式サイト http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/special/next.html

« 【美術展】北斎とリヴィエール 三十六景の競演|ニューオータニ美術館/『冨嶽三十六景』と『エッフェル塔三十六景』を見比べる | トップページ | 【美術展】『東海道五十三次展』平木浮世絵美術館/『冨嶽三十六景』と並ぶ歌川広重の傑作浮世絵連作を豊洲で観賞 »

01.Art 美術 (展覧会)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/562700/52672553

この記事へのトラックバック一覧です: 【美術展】『コーニング・ガラス美術館特別出品 あこがれのヴェネチアン・グラス』サントリー美術館/ガラス美術の白眉を堪能する:

« 【美術展】北斎とリヴィエール 三十六景の競演|ニューオータニ美術館/『冨嶽三十六景』と『エッフェル塔三十六景』を見比べる | トップページ | 【美術展】『東海道五十三次展』平木浮世絵美術館/『冨嶽三十六景』と並ぶ歌川広重の傑作浮世絵連作を豊洲で観賞 »

フォト
サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  
無料ブログはココログ