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2011年9月11日 (日)

【美術】宮本武蔵『枯木鳴鵙図』9/10『美の巨人たち』より/最強の剣豪が絵に託した思いとは

9月10日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』のテーマ「今週の一枚」は
宮本武蔵(1584年?-1645年)『枯木鳴鵙図(こぼくめいげきず)』でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/110910/index.html

Koboku_001
正確な制作年は定かでないようですが、熊本細川家に仕えた晩年(1640年-)の作と推定される水墨画です。
だとすれば、著名な兵法書『五輪書』とほぼ同時期の作となります。


以下、番組の流れに沿って記します。

宮本武蔵といえば日本人なら誰でも知っている有名人、スーパースターですが、
それは無敵の剣豪、剣の達人としてであって、画家としてはどうでしょうか。
そもそも、古来、画家としてどう評価されていたのか?
番組ではそれを知る貴重な資料が紹介されました。

江戸時代後期に発表された書物『画道金剛杵』中に『古今画人品評』という
画家のランキングが掲載されています。
それによると「上中品」というランクには雪舟や狩野探幽、
「上下品」には琳派の二代巨匠、俵屋宗達と尾形光琳、
「下上品]に円山応挙や伊藤若冲などそうそうたる絵師の名前が並んでいます。

その中で、宮本武蔵は上から6番目の「中下品」にランクされています
これは応挙や若冲よりもひとつ上のクラスで、武蔵は画人としても一流だったことが伺えます。

さて、今回のテーマである『枯木鳴鵙図』です。
この絵には兵法の道を究めた剣聖・宮本武蔵の魂その全てが込められているといわれています。
枯木のてっぺんに一羽の鵙(もず 百舌 百舌鳥)が佇んでいます。
その堂々たる威風、眼光の鋭さは武蔵のイメージそのものです。

Koboku_002

枯木をよくみると、もうひとつ何かがいます。
鵙のいるてっぺんに向かって一匹の芋虫が枯木を這い登っているのです。

Koboku_003

この後、鵙は一瞬にしてその獲物を捕らえるでしょう。
芋虫を狙う鵙の姿は生と死の狭間の厳しい弱肉強食の世界を思わせます。

しかし、この絵はそのように単純な弱肉強食の図なのであろうか、
という問いかけが今回の番組のテーマでした。
では、武蔵は一体何を描いたのか?

雄々しい鵙は武士道、剣の道の到達点としての象徴のような位置付けで、
そこに向かって這い上がっていく芋虫こそが、
剣の修行者の姿を示しているのではないかと、というのが番組の解釈でした。

この絵についてはネット上にも論評が少なく、
一般的にどのような解釈をされているのかがよくわかりません。
しかし、この解釈はなかなか面白いと感じました。

今回の番組ですが、いかに強い武蔵でも『美の巨人たち』のテーマとしては弱いと考えたのか、
特別ゲストとして大相撲の横綱、白鵬が登場、
またドラマ部分に名脇役の渡辺哲さんを出演させるなど、豪華でした。

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