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2011年8月17日 (水)

【未確認動物】南米の伝説の猿人モノス超入門編/『中居正広の世界はスゲェ~ココまで調べましたSP』で映像に

追記:モノスの特集が2016年6月12日21時『NHKスペシャル』で放送されます。
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/612nhk-af1f.html


8月16日夜にフジテレビ系で放送された
カスペ『中居正広の世界はスゲェ~ココまで調べましたSP』で、
南米の伝説の猿人モノスが取り上げられました。

モノスは未確認・未知動物の分野では比較的られた古典的なスターの一人(?)です。
大スターではないですが、この番組でデッチ上げられたものではありません。
まさかこのモノスが2011年に、ゴールデンタイムにテレビで大きく取り上げられるとは思いませんでした。

Loys_ape_001
今回はこの「モノス」について、少し書いてみます。


未確認動物(UMAなどともいわれますが)といえば、
イギリスのスコットランドにあるネス湖の怪物ネッシー
ヒマラヤの雪男、イエティなどが代表的です。
モノスは分類すれば雪男と同じ猿人系ということになります。

ただ、「モノス」という名は、少なくとも日本ではそれほど古くからは使われてないかも知れません。
「mono」はスペイン語で猿のことです。
日本では発見者のFrancois De Loys(フランソワ・ド・ロワ、またはロイ、ロイス)
にちなんで、「ロワの猿人」「ロイの怪物」などと呼ばれてきました。
どちらかといえば英語読みの「ロイ」「ロイス」が使われることが多かったかと思います。
私は「ロイ」がなじみがあるので、一応これを使います。

なぜモノスが知られているかといえば、やはり番組でも紹介された写真が印象的だからでしょう。
死骸を座らせて写したものとされますが、生きているようですね。
この写真だけが知られていて、モノスに関わるエピソードはそれほど知られてないかも知れません。

さて、UMA関係で信憑性の高いものなどはそもそもないのですが、
実は、このモノスはその中でも信憑性の低いものとされてきました。


「ロイの怪物」の伝説
1920年、地質学者のフランソワ・ド・ロイは南米ベネズエラのジャングルで油田開発の為の調査をしていた。
その調査隊を二頭の猿人が襲った、ロイ達は銃で応戦し一頭を射殺、もう一頭はジャングルに逃げた。
射殺された猿人は身長150cmほどの見たこともない生物。死骸を座らせて写真を撮影した。

その後、1929年にロイの知人とされる人類学者ジョージ・モンタンドンがこの猿人に学名を付けたり、
1957年に二人のイギリス人ハンターが目撃したりとありましたが、
関連エピソードといえるのはこれくらいです。


正体はクモザルか?
見方としては、実はただのクモザルだろうというのが一般的でした。
クモザルは今回の番組でもちょっと出てきましたが、最大でも70cmほどのようです。
つまり、ただのクモザルを写して「150cmの巨大な猿に襲われた」という話を捏造したということですね。
もちろん、それが事実かどうかもわかりませんが、一般的な見方です。
そしてロイについても、怪しげな人物というのが通説になっていました。

クモザルには尻尾があります。
ロイが見た怪物には尾がなかったといいます。
日本語ではひとまとめに「猿」と呼ばれることがおおいですが、
英語では「Monkey」(猿・サル)と、「Ape」(類人猿)をしっかりと使い分けます。
尾があればサル、なければ類人猿です。
ロイの猿人に本当に尾がなければクモザルでもありませんが、写真からは判断できません。

モノスの写真は下のように左右をトリミングして使われることが多かったと思います。

Loys_ape_002

本などに掲載する場合はこの方が見易いからでしょうが、
こうした方が大きさがわかり難い、少し大きく見える、という面もあったのかも知れません。


カスペ! めざましテレビPresents
『中居正広の世界はスゲェ~ココまで調べましたSP』ナカ調VSココ調 真夏の激突編

さて、今回の番組についてです。
モノスの伝説だけを根拠としたのではなく、最近の目撃例をもとにして、
若手のお笑いコンビのオレンジサンセットが南米アマゾンの奥地に巨大猿の調査に向うという内容でした。

「南米にいる猿は最大でも70cmほど、ゴリラやオランウータンのような大型の類人猿はいない。」
これを前提としていますので、1mを超えるような大きな猿を見つけたらそれだけで大発見です。
そして、色々あって後、見事1m超の大型の猿を映像に収めたのです。

日本の生物学者にその映像を見せても、大変な発見の可能性があると評価され、
現在も調査が行われているとのことです。
だいたい、この手の番組は肩透かしに終わるか、まったく怪しいかで、
(俳優川口浩によるテレビ朝日系「水曜スペシャル」の探検隊番組などありましたが)
まともな成果が報告されるのは珍しいですね。

今回の放映がやらせなしの事実なら、モノスの伝説がなくても、
生物学上の新発見ということになるのでしょう。


そして、未確認動物学史的にいえば・・・
だいたい、ネッシーなどの未知動物系分野そのものが「疑似科学」「トンデモ系」などといわれるのに、
その分野の研究者、愛好者、ファンからもほとんど問題にされてなかったモノスが、
俄かに信憑性を帯びてきたのだから、大事件です。
ロイの名誉回復にも繋がりますし。

しかし、今回撮影された猿がモノスと同種かはわかりません。
撮影された猿は大きな尻尾がありました。
モノスには尾はなかった、つまり類人猿だとされています。
となると、今回撮影された猿とモノスは別種ということになります。
ロイへの疑念が払拭されたわけでもなさそうです。


ところで、今回気がついたのですが
日本語版Wikipediaには「モノス」の項目があり、
英語版の「Mono Grande」(大きな猿)の項目にリンクされていますが、
「Mono Grande」は1533年まで遡る南米の大猿の伝承についての項目です。

その中で、日本でいう「モノス」はその近代における目撃例のひとつとして、
Loys' Ape」(ロイの類人猿)として紹介され、
「Ameranthropoides loysi」という名で独立した項目もあり、リンクされています。
「Ameranthropoides loysi」とは、上に書いた人類学者によりモノスに付けられた学名です。
2016年6月10日追記:現在は「De Loys' Ape」と項目名が変わっています。

未確認動物の分野もまだ奥が深いです。


【注】
未確認動物研究においては、人名やその肩書、日時、場所等の情報が錯綜している事が多いです。
書籍やネットにも異なる記述があるかも知れませんが、この分野はあまり些事に拘らぬ方が楽しめます。

*番組で撮影された猿ですが、日本でよくあるように、動物園やペットとして飼われていたものが逃げ出した、
   というオチもなくはないかも知れませんね。夢がないですけど。


Old Fashioned Club  月野景史

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