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2011年8月 4日 (木)

【時代劇】『水戸黄門』終了/黄門の申し子里見浩太朗と、黄門映画の超基礎知識|月形龍之介

TBS系『水戸黄門』が現在放送中の第43部をもって終了するそうです。
パナソニック ドラマシアター枠、というよりもナショナル劇場といった方が馴染み深いですが。
1969年スタートなので42年目、この国民的人気シリーズも
五代目となる里見浩太朗さんを最後の黄門役として終焉を迎えることとなったようです。

Mito_004
歴代水戸光圀役俳優
1.東野英治郎 第1部 - 第13部  1969-1983
2.西村晃 第14部 - 第21部  1983-1992
3.佐野浅夫 第22部 - 第28部  1993-2000
4.石坂浩二 第29部 - 第30部  2001-2002
5.里見浩太朗 第31部 - 第43部  2002-2011

里見さんはついこないだ黄門に就任したような気がしていましたが、2002年からなのでもう9年、
佐野さんを抜いて西村さんに並び、東野さんに次いで二番目に長くなるようです。

里見さんは『水戸黄門』の申し子のような存在です。
1971年から1988年まで17年間佐々木助三郎役を務め、2002年に光圀として復帰しました。
そもそも、初代の東野英治郎氏降板の時点で次の候補の一人として名前が挙がっていたくらいです。

しかし、里見さんの水戸黄門との関わりはもっと古いのです。
テレビで助さんを始める12年前の1959年、時代劇映画全盛期の東映準オールスター作
『水戸黄門 天下の副将軍』で渥美格之進を演じた、「黄門」歴52年の人なのです。

今日は映画における水戸黄門基礎知識を、ほんのさわりだけ記します。


●水戸黄門映画 超入門
サイレント映画の時代から『水戸黄門漫遊記』の映画化は無数にあり、
多くの俳優が徳川光圀を演じていますが、
最もよく知られるのは戦後の時代劇映画黄金期の中核であった東映の制作、
剣豪スター、月形龍之介主演のシリーズでしょう。
1954年から1961年まで14本作られました。

月形龍之介の水戸黄門シリーズ
月形龍之介は戦前からの剣豪スター、戦後は渋い脇役、悪役として東映時代劇の大御所的存在でした。
例えば、『忠臣蔵』では吉良上野介、『一心太助』では大久保彦左衛門、
しかし『水戸黄門』では主人公、正義のヒーロー水戸光圀役でした。
月形版『水戸黄門」というと、豪華オールスター総出演大作というイメージがあるのですが、
実はそれは後になってからで、元々は低予算娯楽作として量産されていました。

元々、東映は看板スター市川右太衛門主演で『水戸黄門漫遊記』を2本作りました。
この、右太衛門が黄門をやっているというのも結構興味深いのですが、今回は置いておきます。
その2本の後、遅れて東映に参加した月形に譲る形で黄門役が引き継がれたのです。

そこから3年間で10本作られるのですが、このシリーズ、副題が実に面白い。
例を挙げると、
『水戸黄門漫遊記 第五話 火牛坂の悪鬼
『水戸黄門漫遊記 幽霊城の佝僂男
『水戸黄門漫遊記 怪力類人猿
『水戸黄門漫遊記 怪猫乱舞
『水戸黄門漫遊記 鳴門の妖鬼

…、これって化け物映画?
相手が妖怪・魑魅魍魎では、光圀の印籠も役に立たないように思いますが。
この当時の作品は視聴は難しく、資料も乏しいのですが、おそらく本物の怪物ではなく、
裏では人間の悪者による企みが…ということだと思います。

ともかく、こんな感じの軽い作品が10本作られた後、
1957年に豪華絢爛なるオールスター超大作『水戸黄門』が公開されました。
しかし、これにはまだ里見浩太朗(当時は浩太郎)さんは出ていません。

それから2年後の1959年の準オールスター作『水戸黄門 天下の副将軍』で格さんに抜擢されます。

Mito_003
『水戸黄門 天下の副将軍』(1959年)
一番下、手前が若き里見さん。

「準オールスター」との呼び方は私が勝手に付けたのですが、なぜ「準」かというと、
東映の両御大と呼ばれた片岡千恵蔵、市川右太衛門、プラス大友柳太朗の、
戦前からの大スター3人は出演していないのです。これだと「オールスター」とは呼び難い。
戦後派の若手大スターである東千代之介(助三郎役)、大川橋蔵、中村錦之助、美空ひばり、若山富三郎、 
加えて長老格の大河内伝次郎、進藤英太郎、山形勲らが出演しています。これでも充分豪華です。
当時、里見さんは23歳、デビュー2年そこそこ、子ども向け映画での主演などはありましたが、
まぁ大抜擢といっていいのではないかと思います。

ただ、里見さんの月形黄門出演はこの1本のみです。
翌1960年に再び作られた大作『水戸黄門』には出演していません。
(ややこしいですが、57年版と60年版大作のタイトルは同じ『水戸黄門』です)

そのかわり、同じ1960年に大河内伝次郎主演で作られた『水戸黄門 天下の大騒動』に
剣客役で出演しています。(この映画の格さん役は山城新伍)


●テレビ時代劇へ
まもなく戦後の映画黄金期は終わりを遂げ、特に時代劇映画は壊滅状態となり、
昭和40年代、時代劇の舞台はテレビドラマに移ります。
昭和40年(1965年)の時点で里見さんは29歳、いい年齢にも関わらず、テレビ時代劇に少し乗り遅れます。

ナショナル劇場『水戸黄門』の助さん役も、時代劇映画では実績のない杉良太郎さんが2部まで演じた後、
杉さんが自分の主演ドラマで手一杯になり、降板した後を引き継いだものです。

Mito_001

しかし、ここから『水戸黄門』は国民的人気番組に育ち、
里見さんも助さん役と並行して数々の時代劇ドラマに主演、テレビ時代劇を代表するスターとなりました。
『大江戸捜査網』(これも杉さんからの引き継ぎですが)、『長七郎シリーズ』『松平右近シリーズ』、
70年代から90年代まで、常に主役を演じてお茶の間の顔でした。

しかし、テレビ時代劇の数は少しずつ減っていきました。
まだNHKの大河ドラマはありますし、民放でも『JIN』のような話題作が作られてはいますが、
それでも、『水戸黄門』の終了はテレビ時代劇の終焉と同義のように思えます。

私見では、フィルム撮りからVTR撮りへの変更がどうにも受け入れ難かったです。(26部より)
内容とは関係ないことだし、世代が変われば気にならないのでしょうけどね。
(もっとも、その後33部からは新技術によりフィルムの質感が再現されるようになりましたが)

残念ではあるけど、しかたないですね。
放送は12月までの予定。制作に関わられた方は長い間おつかれさまでした。

番組公式サイト http://www.tbs.co.jp/mito/

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