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2011年7月18日 (月)

【文学】『銀河鉄道の夜』がテーマのアート展/夏の表参道の宮沢賢治展は少し残念

午后、ちょっと時間があいたので、表参道(渋谷区神宮前)の「Gallery COMMON」で行われていた、
宮沢賢治の名作童話『銀河鉄道の夜』をテーマとしたアート作品の企画展、
『88 Play-Labo 01 「銀河鉄道の夜」』 を見聞してきました。
http://88hachihachi.com/

なぜいきなり宮沢賢治? と思われるかも知れませんが、
実は私は大学は国文学科の出身で、卒業論文のテーマが賢治なのです。

Ginga_001

さて、この展示についてはmixiの宮沢賢治コミュで知ったのですが、
武蔵野美術大学を2006年に卒業した若いクリエイターの人達(グループ「88(ハチハチ)」)による、
『銀河鉄道の夜』をテーマに制作した作品が出展されていました。

それぞれのイメージの中での『銀河鉄道の夜』なので、ある程度は理解できるものから、
「これのどこが『銀河鉄道』?」というものまで様々でした。
『銀河鉄道』からどのようなインスピレーションを得てその作品を創ったのか、
なかには興味をいだかせるような作品もありました。

しかし、予想はしていましたが、若い世代の同期による会とあって会場は既に同窓会状態で盛り上がっており、
ほとんど一般観覧者のことなど目には入っていない様子。
そもそも誰が作品を出展している主催者側で、誰が遊びに来たその友達なのか、区別すら難しい状況で、
残念ながら部外者が作品について訊ねる雰囲気でもなく、早々に退散しました。

せっかく自分達の作品を展示する場所と時間を設けての催しなのに、
これではちょっと勿体ないように思えます。

SSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSSS

『銀河鉄道の夜』

そんな状況で、このアート展についてはこれ以上特に書くこともないので、
『銀河鉄道の夜』について少し書くことにします。
私にとってあまりに魅力的だけど、深い迷宮の彼方にある作品です。

ある程度の年齢の方なら、私と同じ経験をされた場合があるかも知れませんが、
この童話、子ども頃に読んだものと、大人になって読み直したものの内容が違うのです。

『銀河鉄道の夜』は宮沢賢治の生前に発表された作品ではありません。
賢治が晩年まで10年近くにわたり書き直しを重ね、それでも未発表に終わりました。
賢治の没後まもなく、度重なる推敲によって複雑になった草稿を
整理・編集して発表され、名作として評価されてきました。

1970年代、賢治の校本全集の発行にあたり、遺稿の徹底的な調査が行われました。
その結果、従来流布していたものには最終的に賢治が削除していた部分が混在していたことが判明しました。
それらを整理し、賢治が最終的にまとめていたと思われる形を「最終形」とし、
それが正式な『銀河鉄道の夜』として公表され、流通するようになったのです。

ただ、これにより、従来は多くの人がこの作品のクライマックスだと思っていた箇所が、
まるまる無くなってしまったのです。
この他にも変わってしまった点があります。いずれわかり易く超入門編(?)でも書きたいと思っています。

校本全集以降もしばらくは古い形態のものが流布していたでしょうから、
最初にそちらを読んだ世代は結構広いかもしれませんが、
たとえば今回の展示会の人達のように2006年に大学を出た年代となると、
さすがに旧形態は読んでないかも知れませんね。

また「銀河鉄道」というと、年代によっては松本零士氏による漫画、アニメ『銀河鉄道999』の
イメージが強いかも知れません。メーテルと鉄郎、これもそれなりに上の世代でしょうけど。

若い人達は『銀河鉄道の夜』をどう感じているか、
これもまた、一応賢治研究者の超端くれとして(笑)、興味深いところではあります。

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