【美術】マネ『笛を吹く少年』7/30『美の巨人たち』より/「絵画新時代の開拓者」「印象派の父」のあくなき挑戦
7月30日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』のテーマ作品(「今週の1枚」)は
エドゥアール・マネの『笛を吹く少年』(1866年)でした。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/110730/index.html
番組でもそう紹介されていましたが、
誰しもが見覚えのある、とごかで見かけたことのある絵かも知れません。
エドゥアール・マネ(Édouard Manet, 1832年1月23日 - 1883年4月30日)
「新時代の絵画の開拓者」「印象派の父」など、
絵画史のキーマンのごとき呼び方をされるマネ。
しかし、実際にどうような行動からそのように呼ばれるのか?
今回の番組ではマネの当時のフランス画壇権威との関わり、
また後に「印象派」と呼ばれる新しい世代の画家達との関係、
それらが簡潔にまとめられていました。
2011年9月5まで東京都六本木の国立新美術館で開催されている
「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション」
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-3fdd.html
この展覧会鑑賞の為にもいいガイドになるでしょう。
マネは世間的にもスキャンダルに絵として話題になるような作品を描き、物議を醸しますが、
自身はあくまで古典に取材し、それを元に新しい絵画を創造しようとしていました。
そして、当時のフランス画壇の権威であったサロン(官展)で評価されることを望みました。
一方で、ブルジュワ階級の出身で生粋のパリジャン、社交的で面倒見の良かったマネの元には、
多くの若い画家達が集まりました。
その中には8歳年下のモネ、9歳年下のルノワールらがいました。
マネは彼らの兄貴分で、良き相談相手でありました。
しかし、モネ達若い画家が自ら印象派展を開催するにあたっても、
サロンでの評価を重視する彼は参加することはありませんでした。
もっとも、これは今回のテーマ作の制作よりは少し後の話ですが。
1860年代、マネはサロンで入選・落選を繰り返していました。
入選しているのだから、まったく評価されてないのではないのですが、
スキャンダラスとしてそれ以上に非難されていたのも事実です。
そんな状態にいささか疲れたマネがスペインを旅した時出会ったのがこの絵です。
ディエゴ・ベラスケス 『道化師パブロ・デ・バリャドリード』(1632年)
この絵にインスピレーションを受けて描かれたのが『笛を吹く少年』です。
しかし、高い評価は得られませんでした。
その後もマネの新しい試みとサロンへの挑戦は晩年まで続きます。
『笛を吹く少年』は色々な視点でみても興味深い作品です。
番組でも日本絵画との関わり、色使いや背景の描き方、
人物の表現方法などについて言及されていました。
また、今回の番組ではサロンのシステムも簡潔に紹介されており、
19世紀フランス絵画事情の入門編としても興味深いものでした。