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2011年6月 9日 (木)

【美術】『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション』 観賞の為の印象派超入門/京都市美術館(六本木国立新美術館展は終了)

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ワシントン・ナショナル・ギャラリー展

印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション 

京都展 2011913日(火)-1127日(日) 京都市美術館
公式サイト http://www.ytv.co.jp/washington/


東京六本木の国立新美術館開催されていた、
『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション』は95日に終了、
引き続き、京都市美術館にて11月27日まで開催中です。


震災の影響で中止、または規模縮小となった展覧会も多い中、今年首都圏で予定される展覧会の中で、
もっとも大規模なもののひとつである本展が
無事開催されたのは喜ばしいことでした。


さて、この展覧会には「これを見ずに、印象派は語れない」
とのキャッチコピーが付けられています。
随分大きな看板を背負ったものです。
今回は印象派について、ほんのさわりの基礎知識です。

絵画の本などを読むと、有名な画家達はジャンルで分けられています。
例えば、ダ・ヴィンチやミケランジェロ、ラファエロは「ルネサンス」
ルーベンスやベラスケス、レンブラントは「バロック」
アングルは「新古典主義」、ドラクロワは「ロマン主義」、
ミュシャは「アール・ヌーヴォー」、シャガールは「エコール・ド・パリ」…。

その中でも「印象派(印象主義)」というジャンルはよく聞く名前です。
代表的な画家といえばモネやルノワール。
セザンヌやゴッホもそうだったような、違うような…。

そもそも「印象派(印象主義)」とは何か?
まずは名前の由来から記します 

印象派(仏:Impressionnistes 英:Impressionism)命名の由来
19世紀半ばのフランス、美術界の権威は保守的なサロン(官展)でした。
当時のパリには新しい芸術を志すもサロンで認められない若者達が多くいました。
1874
年、そのような画家達、モネ、ルノワール、ピサロ、ドガ、セザンヌ、、モリゾ、シスレーら
後に絵画史のビッグネームとなる人達が集い、独自の展覧会が開催されました。
世の常通り、この展覧会は旧権威側である批評家達から高い評価は得られませんでした。

特に批判の対象となったのがこの絵です。

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クロード・モネ『印象、日の出(Impression, soleil levant)』
(今回の出展作ではありません)

この絵を見た批評家ルイ・ルロワは
「印象…、たしかにその通りだが、それしかない。」と酷評しました。
批評の内容については見方が分かれるようですが、
いずれにしろ、元々は批判の言葉だったのです。

不評にも負けず、この展覧会はだいたい1~2年に一度のペースで回を重ねます。
やがて名称も印象派展となります。揶揄の言葉が正式名称になったのです。

会や、参加する画家達の評価も高まり、1886年の第8回展まで続きました。

印象派絵画の特徴
このような経緯ですので、印象派とはこの印象派展に参加していた
若い画家達のグループを指す面があります。

ただ、必ずしも作風が同じだから集まった画家達ではないので、スタイルに違いはあります。
その中でやはり『印象、日の出』に近い絵を印象派絵画とよぶ傾向が強いようです。
輪郭をハッキリを描かず、自然の中できらめき、そして刻々と移ろいゆく光の一瞬をとらえたような作風です。
陽光の表現が特徴ですので、屋外での制作が好まれました。

それでは今回の出展作から典型的なものを紹介します。

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クロード・モネ 『ヴェトゥイユの画家の庭』1880
明るく綺麗な絵。
一際輝いていました。
降り注ぐ明るい陽光を受け描かれる花と緑、人々の生活、これぞ印象派絵画。

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クロード・モネ 『日傘の女性、モネ夫人と息子』1875年
モネの絵は日本にも多くありますが、今回は傑作中の傑作が2点来ています。
この絵などは本当に代表作のひとつですね。これこそ印象派絵画。
*6月25日(土)放映のテレビ東京系『美の巨人たち』はモネの『日傘の女』がテーマでした。
  この番組についての記事は
こちら



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ピエール=オーギュスト・ルノワール 『モネ夫人とその息子』1874
盟友モネの家族を描いた作品。彼らは家族を含めお互いモデルになる事も多かったのです。
女性や子どもの愛らしさはルノワールの真骨頂。

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エドガー・ドガ 『舞台裏の踊り』1876/1883
ドガ十八番のバレエをテーマとした作品。

ドガもまた印象派展を代表する画家です。
しかし、競馬場の光景などは描きましたが、屋外での制作をあまり好みませんでした。

新印象派とポスト印象派

この二つのジャンルもよく聞きます。印象派とは何が違うのでしょう。
今回の展覧会にもそれぞれに属する作品が来ていますので、簡単に記します。
本展のタイトルに名が含まれているのは「ポスト印象派」ですが、先に「新印象派」から記します。

新印象派(neo-impressionism
印象派による光の描き方を科学的に理論化し、点描法によって光を捉える作風が特徴。
点描法とは読んで字のごとく、細かい点で描かれたような絵です。

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ジョルジュ・スーラ 『オンフルールの灯台』1886 
このような絵が「新印象派」だと覚えて、とりあえずは間違いないです。
この絵のスーラと、シニャックが代表的画家。
シニャックは今回は油彩画は来ていませんが、版画が1点展示されています。


ポスト印象派(仏: Post-impressionnisme : Post-Impressionism

この分野は日本では「後期印象派」と訳され、そう呼ばれてきました。
つまり、日本で言う「ポスト印象派」と「後期印象派」は同じ派を指します。

しかし、意味でいうと「後期印象派」は印象派に内包されるものと解釈されますが、
Post-Impressionism
なら、印象派より後、印象派とは別のものです。
最近は本来の意を尊重して、「ポスト印象派」という言葉が使われます。

「ポスト印象派」という言葉自体は、「印象派の後」というポジションを指し示していますので、
作風で括るのは難しくなります。
広義に解釈すれば相当多くの画家が含まれることになりますが、

一般に代表的な画家としては、ポール・セザンヌ、ポール・ゴーギャン、
フィンセント・ファン・ゴッホの
日本でも人気の高い三大画家がいます。
ちょっと乱暴な言い方をすれば、とりあえずこの3人のことだと覚えてもいいくらいです。

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フィンセント・ファン・ゴッホ『薔薇』1890
最晩年ですが、精神状態が一時的に復した時の作品で、なかなか美しい絵です。
爽やかで涼しげな色使い、花瓶か溢れ落ちそうなバラのボリューム、
明るい生命感に満ちており、間近に迫っていた悲劇を感じさせませんね。

『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション』
ワシントン・ナショナル・ギャラリーでは作品寄贈者の意向等により所蔵作品は貸し出しが制限されており、
大規模な「美術館展」の開催が困難とされています。
今回は所蔵12万点の中でも質の高さに定評のある400点もの印象派及びポスト印象派作品群から、
日本初公開作品約50点を含む、全83点が来日しました。
「奇跡のコレクション」と名付けられた所以です。

展示は4つのブロックに分かれています。
1.印象派登場まで
2.印象派
3.紙の上の印象派
4.ポスト印象派以降

1.印象派登場まで
印象派以前、フォンテンブローの森にあるバルビゾン村に住み森林や田園を描いた
バルビゾン派周辺の画家達や、写実主義の旗頭クールベ、
「印象派の父」と呼ばれるエドゥアール・マネ、

そしてモネ達の盟友ながら、印象派展の開幕を待たず普仏戦争で1870年に戦死した
フレデリック・バジールらの作品が展示されています。

“印象派の父”マネは印象派なの?
エドゥアール・マネはモネより8歳、ルノワールより9歳年上。
革新的な画風で画壇にセンセーショナルな話題を振り撒いた一方、
社交的で粋なパリジャンでもあり、モネやルノワールの兄貴分で良き相談相手でした。
若い多くの画家がマネに回りに集い、彼らの精神的な支柱でもあったのです。
「印象派の父」と呼ばれる所以です。

ただ、マネ自身にスキャンダラスな絵を描いているとの意識は希薄で、
あくまでサロンでの正当なる評価を望み、印象派展には一度も参加していません。
だから、印象派の中に入れ難い面もあるのです。
2011年7月30日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』で、当時のマネの様子が描かれました。
こちらで紹介しています。

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エドゥアール・マネ 《鉄道》1873 
本展のポスター等にもメインで使われている絵です。
柵の向こうに見える煙は汽車から吹き出されたものでしょう。
女性は何かに気づき、読んでいた本からふと目を上げたところでしょうか。
都市生活の一片を、人々の一瞬の表情を切り取った、マネらしい絵です。
モデルの女性はヴィクトリーヌ・ムーラン。
マネの問題作『オランピア』(1863年)のモデル。それから10年後の姿です。


2.印象派
上述のモネ、ルノワール、ドガにピサロやシスレーら大物に加えて。
ベルト・モリゾ、メアリー・カサット、エヴァ・ゴンザレスら女性画家の絵も出展されています。
中でも大変魅力的に感じたのがカサットです。

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メアリー・カサット 『青いひじ掛け椅子に座る少女』1878 
なんとも魅惑的で、ちょっと危険な感じさえする少女像です。
この絵は今回の展示作中でもフィーチャーされているようですが、
カサットはもうひとつ、この作品もお奨めです。

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『浜辺で遊ぶ子どもたち』1884年

カサットは今回油彩画3点、版画5点が出展されています。
画家としては私の一押しです。

3.紙の上の印象派
つまり版画、印刷物の展示ブロックです。
印象派、新印象派、ポスト印象派にまたがり、ロートレックのリトグラフも。

4.ポスト印象派以降
前述のセザンヌ、ゴーギャン、ゴッホに新印象派のスーラ、ロートレックの油彩画で構成されています。

昨年同時期に同じ国立新美術館で開催された『オルセー美術館展2010「ポスト印象派」』の
空前のスケールに比べればややこじんまりとはしていますが、
今年予定されているの中では、絵画ファンにも初心者にもお薦めできる展覧会だと思います。


ワシントン・ナショナル・ギャラリー(1941年-)
アメリカ合衆国ワシントンD.C.にある美術館。ナショナル・ギャラリー。
実業家でアメリカ政府の財務長官も務めたアンドリュー・メロンが、
イギリス大使として滞在中に目にしたロンドンのナショナルギャラリーに感銘、
自ら資金と美術コレクションを提供、賛同者を募り設立。

*6月25日、日本テレビにて同館設立の事情を追った開催記念特別番組
 「アンジェラ・アキ I Have a Dream 夢が創った奇跡のコレクション」が放送されました。

Dsc06921国立新美術館

20071月開館。延床面積では日本最大の美術館。
所蔵品の収集は行わず、展示を専門としています。
公式サイト  http://www.nact.jp/ 


観賞後のワイン求めて夜の六本木散策編はこちら。

my mixi
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=25686164

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コメント

放射能列島でヨーロッパの所蔵作品が来なくなった中、ワシントン・ナショナル・ギャラリーはこんなにもスゴイ作品を貸し出してくれて、私は大興奮で参りました。
ところが驚いたことに、版画などの「紙の部屋」を除いてほとんどすべての作品が左に傾いて展示されていたのです!
(僅かな傾きですが絵画展示ではもっとも気にされることです。)

私はめまいがして、結局鑑賞を続けられなく、京都市美術館を後にしました。
あなたの時はどうでしたか?
キュレーターの方がご病気なのかもしれません…。

修正されたらもう一度行きたいものです。

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