【美術】6月25日放送『美の巨人たち』はモネ『日傘の女』/ワシントン・ナショナル・ギャラリー展来日中の絵との関係は?
★放送は終了しました。下に視聴後の感想を記しています。
今週土曜日、6月25日放送のテレビ東京系『美の巨人たち』のテーマは
美女シリーズ第4弾 クロード・モネ『日傘の女』です。
『日傘の女』といえば、東京六本木の国立新美術館で開催中の
『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 印象派・ポスト印象派 奇跡のコレクション』に
モネの『日傘の女性、モネ夫人と息子』という作品が展示されています。
(この展覧会の紹介はこちら)
クロード・モネ 『日傘の女性、モネ夫人と息子』(1875年)
モネが自らの妻のカミーユと息子ジャンを描いた作品です。
しかし、番組公式サイトに掲載されているのは、来日中のこの絵とは別のものです。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/bijo/index.html
『日傘の女 右向き』
この絵のようですね。
1886年、来日中の絵から11年後の制作です。
実はモネは日傘をさした女性を描いた、よく知られている絵を3点描いています。
予告編には公式サイトに載っている絵、
来日中の『日傘の女性、モネ夫人と息子』を含む3点がすべて映っていたと思います。
もう1点はこの絵です。
『日傘の女 左向き』
この絵も1886年に描かれています。
つまり、来日中の妻と息子を描いた絵は1875年に、
よく似た構図だけど、女性だけを描いた2点の絵は11年後の1886年に制作されたのですね。
実は、最初の絵のモデルとなった妻カミーユは1879年に亡くなっています…。
さて、いつもユニークな視点で名画にせまる『美の巨人たち』
今回はどんな切り口で魅せてくれるでしょうか。
追記:視聴後の感想
3点のうち、最初に登場したのは描かれた順番通りで、
来日中の『日傘の女性、モネ夫人と息子』でした。
しかし、現在日本で展示されていることにまったくふれませんでしたね。
ワシントン・ナショナル・ギャラリー展の主催が日本テレビだからでしょうか。
絵のタイトルも違って『散歩、日傘をさす女』となっていました。
これは、こちらの名の方が一般的かも知れないのですが、
別の絵かと勘違いしてしまいそうですね。
この絵のモデルであった妻カミーユは1879年に亡くなります。
それより少し前、モネのパトロンであったエルネスト・ オシュデの破産に伴い、
モネはオシュデ夫人のアリスとその子ども達を引き取ります。
ほどなくしてカミーユが亡くなるのです。
そしてモネとアリスは実質上の夫婦となっていきます。
(正式な再婚はもっと後。)
そして、数年後描かれた2点の『日傘の女』について。
番組では、この2点のについては、亡くなった妻カミーユをイメージして描いたものとしていました。
一般的にはこの2点のモデルはアリスの娘(三女)シュザンヌであるとされています。
番組でも実際のモデルは別にいると匂わせているので、シュザンヌがモデルであることを否定してはいません。
後年の2点の顔がはっきりと描かれてないのは、カミーユへの想いからという見方もありますし、
人物をより風景に溶け込ませいるための手法という考え方もされます。
カミーユを描いたものとまで断言できるかは難しいところです。
モデルとなった当時18歳のシュザンヌが可哀そうにも思えますしね。
そのような問題は別としても、この3点は良いですね。
一番好きなのは最初の『日傘の女性、モネ夫人と息子』です。
多くのモネの作品の中で、人物が描かれているものは多くはないのですが、
私はこの絵、また来日中の『ヴェトゥイユの画家の庭』などが好みです。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/backnumber/110625/index.html
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