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2010年9月23日 (木)

ウフィツィ美術館 自画像コレクション/『マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン』新宿 損保ジャパン美術館/王妃に愛された女性画家

201091721120
新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で11月14日まで開催中の
「ウフィツィ美術館 自画像コレクション巨匠たちの「秘めた素顔」1664-2010」を観覧してきました。

(2011年2月20日まで大阪の国立国際美術館で開催中。)

ウフィツィ美術館
ウフィツィ美術館はルネサンスの中心地フィレンツェにある世界有数の美術館です。
日本ではパリのルーブル美術館の方が名前を知られているでしょうが、
「世界最高の」と言っていいかも知れません。

当然、ルネサンスの至宝を数多く所蔵している美術館ですが、
1664年以来、近現代に至る画家の自画像を多くコレクションしています。
その数約1700点、美術館とピッティ宮殿を繋ぐ、かのヴァザーリの回廊に展示されていますが、
予約見学制でもあり、あまり知られていません。

今回の展覧会には、このコレクションから60点ほどが来日を果たしました。
自画像ですから描かれているのは当然画家本人。
60人もの画家の人生やその作品、その時代に思いを巡らす展覧会です。
公式サイト

マリー=ルイーズ=エリザベート・ヴィジェ=ル・ブラン
『マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン』(1790年)

Lebrun_selfportrait03今回の展覧会の看板作品、18世紀フランスの女流画家ヴィジェ・ル・ブランの自画像です。
遂に彼女の作品を大看板とする展覧会が催されました。

ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブラン(Elisabeth-Louise Vigee-Le Brun 1755年-1842年)
名前が原語表記も日本語表記も色々あってややこしいです。
今回の展覧会では「ル・ブラン」ですが、Wikipediaでは「・」なしの「ルブラン」としています。

ヴィジェ・ル・ブランは、フランス王妃マリー・アントワネットに寵愛され、
王妃の肖像画を多く描いた画家として知られます。
マリー・アントワネットは日本では、かの『ベルサイユのバラ』のヒロインとしても有名です。
フランス革命で断頭台の露と消えた、伝説的な女性です。
ル・ブランは美貌と才能、知性に恵まれた女性で、王妃とは親友のような関係だったとされます。
美しい自画像を多く残した事でも知られています。

参考資料:ル・ブランによる王妃の肖像画
『ガリア服を着た王妃マリー・アントワネット』(1783年)*今回の展示作ではありません。
Malebrun_2


1789年、フランス革命が起こるとル・ブランはイタリアに亡命します。
翌1790年にイタリアで描かれたのが、
この自画像『マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン』 です。
だから、イタリアの美術館にすんなり納まったのですね。

さてこの自画像、勿論良い意味ですが、少女マンガを思わせるような可憐で美しい絵です。
「愛らしい」といえば、これほど愛らしい自画像も他にないでしょう。
その可憐さに目を奪われてしまいますが、間近で観ると、
髪やレースの柔らかく繊細な描写には感嘆します。

これは折角の機会なので、是非実物の鑑賞をお奨めします。

35歳の自画像?
ところで、この絵を描いた時ル・ブランは35歳です。
その年齢の自画像にしては、いささか可愛く描き過ぎという気もしないでもないですね。
ネット上でもそのような指摘が見受けられます。
しかしこれは、タイトルにもあるように「マリー・アントワネットの肖像を描く自分」を描いた絵です。
実際に、よく見ないと判らないほど薄くですが、画中のカンパスには王妃の顔が描かれています。
だとすれば、王妃と過ごした若い頃の自分を描いたと解釈すべきかも知れません。
といっても、この前年までは一緒にフランスにいた筈ですけど。
例えば、上に参考として挙げた肖像画は1883年の作ですから、ル・ブランは28歳頃だった事になります。

ル・ブランはこの後、オーストラリア、ロシアでも立派な画業を残してフランスに戻ります。
その後も各国に招かれ活躍を続け、1842年、86歳でパリで亡くなります。
動乱期の一時に可憐に咲いた儚い花のようなイメージがありますが、
息の長い大画家だったのですね。晩年は旺盛な制作はしていないようですが。

この絵がデザインされたクリアファイル。
Vigeele_brun001
強めのピンクを使い、なかなか綺麗に出来ています。

右のクリアファイルはやはり今回の展示作品、
エリザベート・シャプラン『緑の傘を手にした自画像』(1908年頃)
アンニュイな表情がいいですね。

さて、今回の展覧会には他にも興味深い自画像が多く展示されています。

フランス新古典派の巨匠、ドミニク・アングルの堂々たる自画像。
Dominique_ingresこの絵がフランスでなく、イタリアにあるというのも不思議な気がします。

他にもビッグネームではレンブラントからシャガールまで、まさに古今の画家の自画像が揃っています。
女性画家も多く、面白いところでは、ベネツィア派の巨匠ティントレットの娘で、父の手伝いをしていたというティントレッタなど。
日本の藤田嗣治のユニークな自画像も見ものです。

更に、今回の展覧会を記念して、日本の草間弥生、横尾忠則、杉本博司各氏の自画像が寄贈され、
ウフィツィでの展示に先駆け、今回の展示会でお披露目されています。

この展覧会は11月14日まで。
その後、11月27日から来年2月20日まで大阪の国立国際美術館で開催されます。


損保ジャパン東郷青児美術館

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損保ジャパン本社ビル42階。西新宿の高層ビル街にそびえ立つ美術館として知られます。201091721111
前身の安田火災が1987年にフィンセント・ファン・ゴッホ『ひまわり』を約58億円で購入して話題になりました。

もちろん、『ひまわり』をはじめとして、
ポール・ゴーギャン『アリスカンの並木路、アルル』
ポール・セザンヌ『りんごとナプキン』
東郷青児、グランマ・モーゼス等の所蔵作品も鑑賞出来ます。

損保ジャパンビルと周辺の光景。まさに大都会の美術館です。
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