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2010年9月13日 (月)

シャガール展/東京藝術大学大学美術館 『ロシアとロバとその他のものに』

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上野の東京藝術大学大学美術館で10月11日まで開催中の
「ポンピドー・センター所蔵作品展 シャガール―ロシア・アヴァンギャルドとの出会い~交錯する夢と前衛~ Marc Chagall et l'avant-garde russe dans lescollections du Centre Pompidou」を観覧してきました。

会期はもう後、一ヶ月ほどですね。

マルク・シャガール(Marc Chagall 1887-1985)
シャガールは20世紀を代表する大画家です。
97年に及ぶ生涯において、永く偉大な画業を残しました。
主にフランスで活動し、後年にはフランス国籍を取得しています。
エコール・ド・パリの画家の一人ともされます。

エコール・ド・パリ(パリ派)とは
定義が難しい面もありますが、
20世紀初頭、芸術の都となっていたフランスのパリに集って創作を行っていた、
主に外国から来た若い芸術家達を指します。
モディリアーニ、ユトリロ(フランス人ですが)、キスリング、スーティン、マリー・ローランサン、そして日本の藤田嗣治(レオナール・フジタ)らがそうですね。

シャガールは旧ロシア帝国のヴィテブスク(現ベラルーシ共和国)のユダヤ人居住区で生まれました。
画学校を出て1910年に23歳でパリに来て、当時若い画家達が集まっていたモンパルナスのラ・ロシェル(蜂の巣)と呼ばれた伝説的な集合アトリエで創作を開始しました。
若きシャガールは比較的短期間で一応の成功を収め、1914年にドイツで個展を行った後、ロシアに戻ります。
次にフランスに来るのは1923年、既に36歳です。
“エコール・ド・パリの画家”と呼ぶには、青年期にパリで過ごした時間が意外と短いですね。
ロシアに戻ったのは、まさにシャガールにとってミューズ(文芸・学術の女神)となる婚約者ベラを残してきた為でもあるでしょう。


「ポンピドー・センター所蔵作品展 シャガール―ロシア・アヴァンギャルドとの出会い~交錯する夢と前衛」
長いタイトルです。
「ポンピドー・センター」とは聞き慣れない名ですが、パリのこの施設の中に、国立近代美術館があります。
Centre Georges Pompidou
Centre_georges_pompidou

さて、今回の展覧会はシャガールが生前語ったという以下の旨の言葉に基づいて企画されています。

「私がロシアで描いた絵画が、ヨーロッパの画家の作品と共に展示されるのは奇妙。
むしろ20世紀初頭のロシア美術の為の美術館に展示されるべき」


このシャガールの意向通り、彼の絵と20世紀初頭のロシア・アヴァンギャルドの画家達の絵を併せて展示するというのが今回の試みです。
といっても、シャガールがロシアで描いた絵ばかりが展示されているわけではありませんが。

実は、パリから一度ロシアに戻ったシャガールは国立美術学校の校長にまでなっています。
ここで教師を務めたのが、まさにロシア・アヴァンギャルドの画家達なのですが、
彼らとシャガールに深刻な対立が生じ、その権力闘争に敗れる形でシャガールは学校を離れ、やがてロシアを離れたといいます。

このあたりの経緯については、今回の展覧会のサイトには記されていません。
後年、大芸術家となったシャガールは、どんな想いで上記の言葉を語ったのでしょう。


さて、シャガールは最初のパリ時代から、故国をテーマにした絵を多く描いてます。
しかし、それは写実的な光景ではなく、幻想的で詩情溢れるものです。
そして、そこには東方ユダヤ文化(イデッシュ文化)が反映されているといわれます。
ですので、シャガールには“ロシア”もですが、“ユダヤ”というイメージも強いですね。

『ロシアとロバとその他のものに』(1911年)Chagarussia01 今回の展示会の看板ともいえる作品です。

パリに来てまもなくの時期に故国のイメージを描いた絵です。
シャガールは「幻想」と「詩情」の画家、
「愛」を描く画家、
そして「色彩」の画家ともいわれます。

その鮮やかな色は印象的ですが、この絵などもまさにそうですね。
特に青が特徴的ともいわれますが、私は緑の印象も強いです。
この絵の緑の美しさは際立っています・・・勿論、緑だけではないですが。

シャガールの色使いはフォーヴィスム(野獣派)の影響とも言われますが、
その豊かな詩情からして、野獣派といわれてもちょっと違和感がありますね。

女性の首が体から離れて空を飛んでいる描写は少しドキリとさせますが、
夢想に動かされるがままの人物を「頭が飛び立っている」と表現する故国の文化に基づいているそうです。

この絵はシャガールのドキュメント映画のタイトルにもなっています。


今回の展示作ではありませんが、シャガールの代表作のひとつ
『私と村』(1911年)
Chagall_118515
同じ年に描かれた絵ですが、色、イメージ・・共通する面も多いのではないでしょうか。


第二次大戦中、ユダヤ人であるシャガールはナチスの脅威から逃れる為アメリカに亡命しますが、
ここでいくつかの舞台美術を手がけます。
戦後、フランスに戻りますが、
1964年、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場からの依頼で新劇場のこけら落とし公演の、
モーツァルトの歌劇「魔笛」の装飾と衣裳の素案を手がけ、翌年には劇場用の壁画も製作しました。
今回の展覧会ではこの時の作品も展示されています。


そして、この展覧会ではタイトル通り、ロシア・アヴァンギャルドを代表する画家ながら、日本ではあまり知られていないナターリヤ・ゴンチャローワとミハイル・ラリオーノフの貴重な作品、
また同時代ロシア出身の巨匠であるマレーヴィチ、プーニー、カンディンスキーらの作品も鑑賞する事が出来ます。


会場  東京藝術大学大学美術館
ここへは、上野駅からですと、美術館や博物館、もちろん上野動物園などが並ぶ文化と芸術の楽園、上野公園を抜けて行きます。
気候の良い時期なら散策に最高でしょう。
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しかし、今回はちょっと暑すぎましたが・・。
ようやく到達です。

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展覧会公式サイト

mixi日記

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