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2010年9月 7日 (火)

ティツィアーノ『聖愛と俗愛(聖なる愛と俗なる愛)』愛の寓意の謎/「美の巨人たち」より

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ作『聖愛と俗愛(聖なる愛と俗なる愛)』(1514年)
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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecellio 1490頃-1576)
はヴェネツィアルネサンスの大画家です。

ルネサンスの中心地はレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロらが活躍したフィレンツェですが、
港湾都市として繁栄したヴェネェツィアにも大輪の花が咲きました。
ティツィアーノはそのヴェネェツィア派を代表する画家です。
90年にも及ぶ生涯において偉大な画業を残し、画家達の王とまで形容されました。

『聖愛と俗愛』は画家二十代の若き日の作品。
9月4日に放送されたテレビ東京系「美の巨人たち」は、この絵の謎にせまる内容でした

西洋絵画は聖書や神話の知識がないと理解し難いものも多いですが、
この作品はそれがあっても意味が判り難い、謎めいた作品として知られています。

昨年小学館から刊行された「週刊西洋絵画の巨匠」には、
そもそも依頼主が謎解きを楽しむ事を意図して描かせたものだとしています。
そうであるなら謎めいているのも当然ですが、この見方が一般的というわけでもないようです。

『聖愛と俗愛』というタイトルで二人の女性が描かれているのですから、
当然、片方が「聖愛」、もう一方が「俗愛」を象徴していると推測されます。

「俗」という言葉の語感から一瞬、裸の方を「俗」と勘違いしてしまいそうですが、
これは逆で、服を着ている方が地上の俗なる姿、裸身の方が天上の存在ですね。
美の女神ウェヌス(ヴィーナス)ともされます。

二人が腰掛ける中央の石造りのもの。
水を張ってあるのだから水槽の役目をしているのですが、石棺のようにも見えます。
水に手を突っ込んでいるキューピッド(アモル)は何をしているのか、不可解な点が多いです。

この絵が、ベネツィアの高級官僚であったニコロ・アウレリオとラウラ・バガロットの結婚にあたって描かれた事は、
石棺に描かれた紋章がアウレットものである事、
左側の女性の着衣が花嫁衣裳と思われる事などから知られています。
当然ながら、主題が「愛」「結婚」である事は間違いないとされます。
ではそこに込められた寓意はなになのか?古来、様々な推測がされてきました。

今回の「美の巨人たち」はニコロとラウラの結婚の複雑な背景に言及して、
この絵の秘密にせまろうといういう切り口でした。


ラウラ・バガロットは再婚なのですが、彼女の父は国家への反逆の罪で死刑になりました。
番組では、記録にはありませんが、この時ラウラの前夫も共に処刑されたと推測しています。
そして、彼らを裁く側にいたのが、ラウラの新たな夫となるニコロ・アウレリオだというのです。
随分因縁めいた話です。

この絵について記された資料で、この因縁に言及したものは読んだことがありませんでした。
なんともドラマチックで興味深い話ですが、かといって、それでこの絵の秘密が解き明かされたともいえないでしょう。

何百年も判らなかったことがそう簡単に氷解するわけもないし、
永遠に謎を秘めて伝わる絵なのだと思います。
この絵に纏わるドラマをひとつ知ったのは、いい経験といえるかも知れません。

ところで、ティツィアーノにはどこか謎めいたイメージがあります。

生年こそ定かではありませんが、前述のように圧倒的な高評価を得て大画家としての生涯を終えた人なので、その人生に不可解な部分が多い筈はありません。
にも関わらずそのような印象があるのは、ひとつはこの作品があるから。
また、ティツィアーノの師匠であり、これは本当に謎の部分の多い
早世の大画家ジョルジョーネとの共作問題もあります。
若くして亡くなったジョルジョーネが残した未完成作をティツィアーノが完成させたとされる
著名な作品があるのですが、その帰属をめぐって永く議論が続けられてきました。

ジョルジョーネについてはまた改めて。


関連ブログ(Tizianoという店名の新宿のBarを紹介しています。)
http://oldfashioned.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/barbar-tiziano-.html

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